2018年度 第10回 脱分極と活動電位、興奮の伝導

 今回は2限目の小テストにあたって、一部の学生に過去の小テストの印刷のあまりを配ってしまうというミスがありました。大変失礼いたしました。該当する学生については、評価点をつける際の集計において、今回の成績を分母から外します。もちろん欠席扱いというわけではありません。

 さて、今回の授業内容は前期の中でもとりわけ重要です。これまでに学んだ、細胞膜の構造や性質、細胞内外のイオンの組成、受動輸送やイオンチャネルのはたらきをしっかりと理解している必要があります。その上にたって、細胞膜、特にニューロンなどの興奮性細胞の細胞膜で生じている現象を考えました。

 過去の前期末試験問題を見ていればよく分かると思いますが、毎年出題しています。どの部分をどのように問うかは異なりますが、活動電位の生じるしくみや、興奮の伝導や(来週取り上げる)伝達のしくみは神経系のはたらきを考える上で基礎となる内容です。しっかりと復習しておきましょう。

 その場合、図やフローチャートを声に出して見ながら自在に説明できるようにしておくことが肝要です。黙って頭の中で考えているだけでは必ずごまかしてしまいます。声に出せば、うまく説明できていないことが自分でよくわかすはずです。できるなら、他人を前にして、講義をしているつもりで説明するとより効果があるでしょう。

 脱分極と過分極は、ちょうど正反対の現象です。過分極を考える機会は少ないですが、一緒にしてよく見直しましょう。まずは、陽イオンと陰イオンが細胞内へ流入する現象であるとしていいと思います。

 脱分極が生じるとき、ニューロンに加わる刺激の強さによって開放するゲート型イオンチャネルの数や時間が変化します。この結果、脱分極の大きさや持続する長さが変化します。したがって、強い刺激が与えられれば、生じる脱分極が大きくなる、すなわち、より多くのイオンチャネルが、より長く開放することになります。そして、脱分極が閾値を超えると活動電位が生じます。言い方を変えると、活動電位が発生するためには、閾値を超える脱分極を生じるような刺激が加えられる必要があります。

 活動電位のしくみを考える上でポイントは2つの電位依存性イオンチャネルです。順を追って考えていけば難しくはないはずです。閾値を超えるという刺激が電位依存性ナトリウムチャネルを開放させ、逆にオーバーシュートしたという刺激がこのチャネルを閉鎖します。また、オーバーシュートしたという刺激は電位依存性カリウムチャネルを開放し、オーバーシュートから静止膜電位へ戻ると電位依存性カリウムチャネルは閉鎖します。これらの現象を、活動電位のグラフの上に載せて考えるとすぐに分かるでしょう。

 全か無かの法則も同様に考えてみると、閾値を超えると必ず活動電位が生じるということは、閾値を超えたところで電位依存性ナトリウムチャネルが開放するということです。電位変化のピークの大きさが一定であるということは、常に同じ電位の大きさのところで電位依存性イオンチャネルが閉鎖し、電位依存性カリウムチャネルが開放するということです。

 活動電位の性質のうち、不応期は少しわかりにくいかもしれません。電位依存性チャネルが機能している状態では、たとえ刺激に反応したゲート型イオンチャネルが開放して細胞外の陽イオンが細胞内へ入ることになったとしても、その量は電位依存性チャネルによって移動しているイオンの量に比べると微々たるものです。したがって、細胞は全く反応しないと考えていいでしょう。このことは、興奮の伝導を考える上で重要です。興奮は必ず外側へ移動していくことを保証しているといってもいいでしょう。

 来週は興奮の伝達について考えますが、ここでも電位依存性チャネルが重要なはたらきをしています。さらに、先週の授業で取り上げたエキソサイトーシスの実例も考えることになります。今日の小テストができなかった場合にはよく復習をしておきましょう。