2016年度 第24回 視覚(遠近と明るさの調節他)

 先週は授業後に学会出張があり、そのまま横浜に行ったため授業の記録がアップできませんでした。質問に先に答えてしまい、順番が前後しますが、簡単にまとめます。

 入射する光は角膜と水晶体で屈折しますが、角膜は厚みや曲率(丸みの度合い)を変えることができませんから、遠近調節のために変化するのは水晶体だけです。水晶体の周囲の構造について、プリントでは断面図しかないためややわかりにくいと思いますので、この部分について補足します。まだ十分に解明されていないしくみがあるようですが、わかりやすさを優先して説明します。

 前方から見ると水晶体はほぼ円形で、その周囲を毛様体筋が取り囲んでいます。毛様体筋には輪状の筋線維と放射状の筋線維があります。ちょうど虹彩と同じで、内側(水晶体側)にあるのが輪状筋、外側にあるのが放射状筋です。そして、毛様体筋から水晶体に向けて毛様体小帯(チン小帯とも言います)が伸びています。毛様体小帯は弾性繊維などを中心にしてできた結合組織性の構造です。ここで、重要なのは毛様体筋を構成する輪状筋と毛様体小帯です。

 プリントの図の毛様体筋の部分をよく見ると輪状筋と放射状筋の様子が分かると思います。

 近くを見るときには輪状筋が収縮するため、毛様体筋全体は水晶体に向かって閉じていきます。したがって、毛様体小帯は緩み、水晶体は自らが持っている弾性によって丸みを帯びたような形状に変化します。遠くを見るときには輪状筋が弛緩して毛様体筋全体が水晶体から遠ざかるようになります。その結果、毛様体小帯に張力がかかって水晶体を周囲に向かって引っ張るため、水晶体は扁平になります。

 虹彩の変化のしかたとよく似ています。それぞれが遠近、あるいは明暗に応じてへに平滑筋の収縮状態を変化させて調節していることが分かると思います。

 最後に、網膜の構造を簡単に説明しました。明日の授業でも改めて考えますが、視細胞を中心とした光に対する反応のしかたを理解する上でどうしても必要な知識ですから、よく見直しておくようにしてください。