第23回 聴覚の中枢、平衡感覚、可視光線と眼の構造

 聴覚の一次中枢=一次聴覚野の位置はしっかりと頭に入れておきましょう。また、一次聴覚野とその周辺の連合野は、左右の半球にともに存在しますが、言語機能に関わった機能でもあるため非対称であることが知られています。これについては後期の最後に改めて取り上げます。

 音源定位の機能についてはまだよくわかっていないこともあるようですが、伝導路が左右の並行回路であることがその大きな要因です。

 今週の中心は平衡感覚でした。卵形囊・球形囊=耳石器と半規管の構造と役割分担をしっかりと整理しておきましょう。

 卵形囊は水平方向の加速度を検出します。つまり前後や左右、あるいは水平に斜め方向へ動いた場合に反応します。一方で球形嚢は上下方向の加速度を検出します。したがって、頭部が上下方向に動いた場合に反応しています。頭部を傾ける場合にはおそらく両方が反応しています。

 半規管は、X軸、Y軸、Z軸に対応するように3本の管があり、頭部が回転する(頭部を傾けるような動きも含まれます)動きに伴う加速度を検知します。

 反応の基本的なしくみは全く同様と考えてよいでしょう。卵形囊、球形囊、そして半規管も骨の内部にあるため、頭部の動きに応じてこれらの器官全体が動いています。卵形囊・球形囊では、この動きに応じて比重の大きな平衡斑の耳石が全体の動きに応じた方向へ動きます。耳石は耳石膜の上に層状に集積しているため、耳石の動きは耳石膜を誘導し、同時に耳石膜の中に埋まったようになっている感覚毛を傾斜させます。半規管の場合は、完全体の動きに対して、内部の内リンパには慣性がはたらくため相対的には逆方向に動きます。この結果、膨大部のクプラが半規管の回転方向とは逆方向に倒れ、感覚毛も同じ方向に傾斜します。

 平衡斑と膨大部にある有毛細胞の感覚毛は、コルチ器の感覚毛とやや異なった組合せになっていますが、ある方向に傾斜すると陽イオンチャネルが開放し、その反対方向に傾斜すると陽イオンチャネルが閉鎖するという点では共通しています。このイオンチャネルの開放具合によって、有毛細胞の脱分極が増大したり減少したり、あるいは過分極したりします。

 有毛細胞が脱分極すると感覚神経に対して興奮性伝達物質(グルタミン酸)が放出され、前庭神経の興奮を生じます。

 前庭神経は前庭神経核へ伸び、ここで二次ニューロンと接続しています。しかし、この二次ニューロンの投射先はさまざまで、大脳新皮質から脊髄まで、広がっています。このうち、視床を介して一次体性感覚野へ入力した情報は回転や移動、重力方向の変化に対する知覚を生じます。しかし、これ以外はすべて運動に関する中枢あるいは直接に運動神経とつながっており、眼球や頭部の運動、体幹や四肢の反射性に運動を生じます。これらの反射の運動については第9章で改めて取り上げます。

 今週は最後に視覚機能の適合刺激である可視光線の特徴(あるいは電磁波の特徴)と、視覚器である眼の構造を概観しました。電磁波としては、高等学校の「物理基礎」で取り上げられています。可視光線や視覚機能は「科学と人間生活」でよくまとめられています。時間を作って見直しておくとよいでしょう。

 来週は視覚機能を具体的に考えます。すべてを取り上げることはできないと思いますが、はじめに。眼球前方の構造によって入射光がどのように調節されているかを考えます。