第15回 筋線維の構造、筋収縮のしくみ、神経筋接合部での興奮伝達と興奮収縮連関

 夏休み明けでいきなり実技試験があり、落ち着かないかもしれませんが、期末試験の勉強にも直接結びつきますのでしっかりと復習をしましょう。

 今回ははじめに筋線維の構造を考えました。一般的な細胞が持つ特徴に加えていくつかの大きな特徴があります。細胞の大きさはもとより、多核であること、細胞膜が陥入していること、細胞質の構成としてタンパク質性の線維成分が大きな割合を占めていることなどです。それぞれ、具体的な構造、その名称、そして筋収縮における役割が明確になるように押さえましょう。

 細胞質の構成としてのタンパク質性の線維成分とは、すなわち筋原線維のことです。筋収縮の主役ですから、構造は必ず説明できる=図が描けるようにしておきましょう。筋節の構造がわかれば、これが繰り返されているわけですから簡単でしょう。

 筋収縮のしくみは、筋原線維(あるいは筋節)のレベルでの滑走機構をまずしっかりと理解すること。ミオシンとアクチンが結合すること、ATPの分解によって生じるエネルギーが利用されていること、そして、このエネルギーを使ってミオシン分子が構造を変化させていることがポイントです。これらの結果、太いフィラメントと細いフィラメントが互いに滑走するように動くことで各筋節が収縮します。各筋節が収縮するということは筋原線維全体が収縮するということです。筋原線維の両端は筋形質膜と結合していますから、筋原線維の収縮は筋線維の収縮を引き起こします。すべての筋繊維が収縮すれば、筋が収縮します。

 骨格筋は随意筋です。つまり、体性神経系運動神経からの興奮の伝達を受けて収縮します。ここで重要なポイントは、神経筋接合部での興奮の伝達とその後の興奮収縮連関です。

 運動ニューロンと骨格筋線維がつくるシナプスである神経筋接合部はよく研究されており、図で説明したとおり、構造もしくみもよくわかっています。運動終板側の構造が特徴的で、興奮の伝達によって生じたEPSPが加重されて必ず活動電位が生じるための工夫が凝らされています。

 筋活動電位は筋形質膜を伝導します。ここで重要なことは、T細管の存在です。筋小胞体終末槽とほとんど接しています。したがって、T細管を興奮が伝導すると筋小胞体の膜タンパク質である電位依存性カルシウムチャネルが開放します。筋小胞体内には高濃度のカルシウムイオンが貯蔵されているため、チャネルが開放すると同時にカルシウムイオンが筋形質へ放出されます。

 筋形質内のカルシウムイオン濃度は低いため、カルシウムイオンは拡散によって広がります。そして、細いフィラメントを構成するトロポニンと結合します。

 トロポニンはトロポミオシンと結合していますが、さらにカルシウムイオンが結合することで細いフィラメント全体の構造が変化します。この結果、アクチンタンパク質のミオシン結合部位が露出し、アクチンとミオシンが結合できるようになります。

 ミオシンはATPを分解する活性を持っていますが、アクチンと結合した状態でないとうまくATPを結合できないようです。したがって、トロポニンにカルシウムイオンが結合していない状態(興奮が伝達されていない状態)ではミオシンはATPを分解することはなく、筋収縮は生じないと考えてよいでしょう。

 神経筋接合部での興奮伝達が終わった、あるいはない状態では興奮収縮連関は生じません。つまり、カルシウムイオンは筋小胞体から放出されません。したがって、アクチンとミオシンが結合することはありません。

 筋小胞体には能動輸送体であるカルシウムポンプが存在し、常に稼働しています。したがって、電位依存性カルシウムチャネルが閉じられると、このポンプの作用によって筋形質ないのかルシウムイオンは筋小胞体内へ移動していきます。そして、筋形質内のカルシウムイオン濃度が低下すると、トロポニンに結合していたカルシウムイオンも遊離します。

 この結果、アクチンとミオシンの結合は維持できなくなり、細いフィラメントと太いフィラメントの間にはたらいていた引っ張り合いがなくなります。したがって、両フィラメントは収縮時とは逆方向に滑走します。これが弛緩です。

 プリントには多くの図を入れました。それぞれを見ながら順に説明してみましょう。言葉が詰まったり、しどろもどろになったりせずに説明できればわかっているということです。もちろん、自分で勝手に判断するのではなく、誰かに聞いてもらって判断してもらうのがよりよいでしょう。

 プリントp221のずはすべてを網羅したすですから、この図が説明できるようになることを目標にするとよいでしょう。また、筋節レベルでの滑走機構はp217や218を使うとよいでしょう。

 筋収縮には莫大なエネルギーが必要です。つまり、多くのATPが消費されています。来週は、このATPをどのようにまかなっているのかについて考えます。また、筋線維はATPの産生方法の得手不得手によっていくつかの種類に分類することができます。これも非常に重要なテーマです。しっかりと予習しておきましょう。