2018年 第19回 表在感覚

 少し遅くなりましたが、先週の授業内容をまとめておきます。

 感覚機能は一般感覚から取り上げられることが多いようですが、名前の通り、感覚受容器が全身に広く分布しているからでしょう。表在感覚の受容器は、一様ではないにしろ、全身の皮膚に分布しています。

 授業で説明したように、受容器は主に真皮に存在していますが、その構造や反応性はそれぞれに特徴があります。特に触圧覚の受容器は、反応性の違いによってはっきりと分類されていますので、よく整理しておきましょう。

 触圧覚受容器の実体(受容体)は、圧迫や接触、振動などの機械的な刺激に反応して開放するイオンチャネルです。イオンチャネルは多くは樹状突起部分の細胞膜に存在し、刺激によって開放すると陽イオンが細胞外から細胞内へ流入して電位変化が生じます。

 温度覚受容器(受容体)は、温度変化によって開放するイオンチャネルです。侵害受容器(受容体)もそれぞれの適合刺激によって開放するイオンチャネルです。まだまだ詳細が不明なものも多いようですし、今後新たに発見されるものもあることでしょう。授業の最後で触れたように、ポリモーダルな反応をするイオンチャネルも多く、温度受容器や侵害受容器として機能しています。

 プリントの283ページには侵害受容器として機能するイオンチャネルを列挙しました。さまざまな性質を持ったイオンチャネルがあることが分かるでしょう。文中のTRPV4チャネルに関する説明の一部に誤字があるので訂正します。
「低浸透圧や圧などの機械的刺激、案や内因性の発痛物質に反応するほか」とあるのは「低浸透圧や圧などの機械的刺激、内因性の鎮痛物質に反応するほか」と訂正して下さい。これらの他にも、アラキドン酸という鎮痛物質の前駆体となる脂肪酸なその代謝産物にも反応するようですが、詳細は不勉強のため分かりません。

 ところで、「受容器」と「受容体」というよく似た二つの用語がありますが、この区別を簡単に説明します。「受容器」は刺激を受け入れる構造(複数の細胞によって構成される場合もあります)をさして用い、パチニ小体やルフィニ終末、自由神経終末などがそれにあたります。来週取り上げる筋紡錘なども受容器に含めて考えます。これに対して「受容体」は、刺激を受けて次につながる現象へとつなげていく分子(いずれもタンパク質であり、複合体として機能している場合もあります)を指します。つまり、ここで説明しているイオンチャネルや神経伝達物質の受容体などです。

 表在感覚の受容器である細胞レベルの構造からは、一部を除き直接神経線維が伸びています。触圧覚受容器の場合はAβ線維、温覚受容器はC線維、冷覚受容器はAδ線維またはC線維、そして侵害受容器からはAδ線維またはC線維です。侵害受容器には大きく2種類あり、それぞれ受容器としての反応性にも差がありますが、神経線維も異なっています。しっかりと区別しておきましょう。

 受容器から伸びている神経線維がそのまま各感覚の中枢へ至るわけではなく、途中で他のニューロンとシナプス接続しています。来週取り上げる伝導路です。

 生理学に限らず、医学系の学問はすべて知識の積み上げによって成り立っています。各学年ごとにも、教科ごとにも、そして毎回の授業ごとにも、「後でまとめて」できるようなものではありません。予習と復習を毎回しっかりと取り組んでこそ、結果(=成績)がついてきます。しっかりと取り組みましょう。