第9回 浸透、能動輸送、小胞輸送、静止膜電位

 今回は冒頭で浸透圧について、先週の補足をしました。溶質濃度と浸透圧の大きさは比例する関係にありますが、この場合の溶質濃度は倒壊する前の物質濃度ではないことに注意しましょう。また、等張液、低張液、高張液の区別もしっかりと付けられるようにしておきましょう。これらの溶液に細胞を曝した場合の変化は『生理学のための化学』第6章でも詳しく説明しましたので、改めておさらいしておきましょう。また、生理的食塩水の濃度については『生理学ための化学』第4章、第6章の数字の方が正確です。プリントでは概数で示したと考えて下さい。

 また、水チャネル(アクアポリン)は細胞膜を介した浸透=水の移動を考える上で非常に重要なしくみです。現在は高等学校の生物でも取り上げられていますから、膜チャネルの1つとして是非とも頭に入れておきましょう。

 受動輸送と能動輸送の違いは、物質の輸送にエネルギーを使うか否かです。同じイオンを輸送するしくみとしては、イオンチャネルとイオンポンプを比較した考えるとよいと思います。しくみだけではなく、それぞれの膜タンパク質が担う細胞機能も大きく異なっています。

 ナトリウム/カリウムポンプはとりわけ有名で、よく研究されています。授業で見たアニメーションは以下のサイトで自由に閲覧できるはずです。膜タンパク質の構造は、このアニメーションもプリントの図も非常によく似ているのは、立体構造もある程度明らかになっているからです。
   https://www.youtube.com/watch?v=M6_NCdV7YO8
 ナレーションは文字起こし機能と翻訳機能を使えば、よい解説として利用できるはずです。

 二次性能動輸送も生理機能を考える上で欠かせないしくみです。授業でも説明したように、ほとんどの二次性能動輸送ではナトリムイオンの濃度勾配を利用しています。したがって、このしくみがはたらくと、ナトリウムイオンは細胞内へどんどんと移動していきます。したがって、細胞内へ入ってしまったナトリウムイオンを細胞外へ戻すしくみが必要です。これが一次性能動輸送でのナトリウムポンプです。
ナトリウム/グルコースシンポーターのはたらきについてもいかにアニメーションがあります。
   https://www.youtube.com/watch?v=nYC3_3hb54Q
 二次性能動輸送については小腸吸収上皮細胞の例を挙げましたが、他にも腎臓・ネフロンの尿細管で機能するナトリウム/グルコースシンポーターやナトリウム/カリウムアンチポーターなどがよく知られています。

 エンドサイトーシスとエキソサイトーシスも実例を挙げながら説明しました。ニューロンでの神経伝達物質の放出については次回または次々回の授業で触れます。

 後半で第3章に入りましたが、ニューロンの構造については次々回の授業で改めて説明しますが、ここでは細胞体、軸索、樹状突起と3つの部分に分けられることをしっかりと頭に入れておきましょう。

 すべての細胞には膜電位があるという説明をしましたが、ニューロンと筋細胞では刺激によって膜電位が大きく変化します。このしくみが次回のテーマです。したがって、今回は膜電位あるいは静止膜電位とは何かをよく理解しておくことが大切です。A組の授業では静止膜電位が生じるしくみも説明しました。カリウムイオンの移動が大きくはたらいて、細胞内を負に帯電させる状態ができあがっています。前回の授業で配布したプリントをよく見直しておきましょう。