2017年度 第23、24回 平衡覚、可視光線の特徴、視覚

 先週の授業の記録を忘れていましたので、2週分を一緒にまとめます。

 平衡覚は大きく2つの受容器があり、それぞれが動的平衡と静的平衡を分担しています。ただ、有毛細胞を中心とした検知のしくみはよく似ています。半規管も卵形囊・球形囊も内腔は内リンパで満たされています。半規管は有毛細胞を覆っているクプラが慣性によって生じる内リンパの流れが感覚毛を動かします。卵形囊・球形囊では耳石膜の上に載っている耳石が頭部の動きに応じて移動することによって感覚毛を動かします。いずれにしても、感覚毛がある方向に倒れるとカリウムチャネルが開放して脱分極が生じ、反対方向に倒れるとカリウムチャネルが閉鎖して過分極が生じます。

 平衡覚の伝導路はかなり特徴がはっきりしています。第9章で運動機能について考えますが、この中で平衡覚と密接に結びついた反射をいくつか取り上げますので、そこで平衡覚の伝導路が一次中枢を経ずに運動機能と直接つながっていることが理解できると思います。

 特殊感覚の最後に取り上げる視覚は、受容器である視細胞の機能だけではなく、網膜に照射される光をどのように調節するかを一緒に考えますので、他の感覚よりも内容が豊富です。また、伝導路もやや複雑です。

 眼球の構造のうち、機能に直接関わる部分は説明しています。先週の後半と今週の前半で取り上げた遠近の調節と明るさの調節は、ともに水晶体とその周囲の構造が関わっています。解剖学で学んだ内容をよくおさらいしておきましょう。毛様体と虹彩は、ともに輪状筋と放射状筋よりなっています。毛様体については、特に輪状筋のはたらきによって水晶体の変化を考えました。また、虹彩は輪状筋(括約筋)と放射状筋(散大筋)の両方のはたらきによって、瞳孔の大きさの調節を考えました。これらの筋はいずれも平滑筋ですから、自律神経系(交感神経と副交感神経)によって支配されています。

 網膜の構造は、機能的に重要な視細胞層と神経節細胞層を中心によく見直しておきましょう。特に、光がどの方向に進行するのかを間違えないように。

 光に反応する視細胞の機能はやや複雑ですので、単純化して説明しました。順序よく現象を追いかけていけばそれほど難しいことはないでしょう。今回は杆状体細胞がどのように光に反応するかを考えました。ロドプシンは可視光線が当たっているか否かによって構造が変化し、杆状体細胞の状態を変化させます。視覚機能としては、この状態の変化が杆状体細胞に続く双極細胞、神経節細胞と伝えられて、視神経を介して視覚を生じさせることにつながっていきます。可視領域の中央付近の波長の光によく反応し、明暗の状態の変化を検知していると考えられます。したがって、もし私たちの網膜に杆状体細胞しかなかったならば、世の中は「白黒の世界」でしょう。

 錐状体細胞は、杆状体細胞のロドプシンにあたる視物質として、フォトプシンをもっています。特性の異なる3種類があり、1個の錐状体細胞は1種類のフォトプシンだけを発現しています。したがって、錐状体細胞にも特性の異なる3種類があります。この3種類の反応性の違いによって、私たちは色を感じています。

 来週は、色の感覚がどのように生じるかに触れた後、視覚の伝導路を取り上げます。さらに、後半は第9章に入ります。