『医は仁術』展

 月曜日のコンサートの翌日も休暇にして上野・国立科学博物館の「医は仁術」展(HPはここ)を観に行きました。

 少し前に同名のテレビドラマがあったようで、昔からの格言である「医は仁術なり」にかけているのでしょう。内容は江戸時代を中心にした日本の中世から近世の医学事情の紹介。特に室町時代後期にヨーロッパより西洋医学(といってもまだまだ科学というにはほど遠い内容です)が伝来して以後、江戸時代には国内でも腑分けと称する解剖が行われ、それまで中国や朝鮮半島から伝えられ引き継がれてきた日本の「医」と西洋の「医」がどのように結びついていったのか、どのような人物が牽引していったのか、古い書物や道具類の展示を通して理解することができます。

 テレビドラマつながりということで、正直言ってあまり期待していなかったのですが、どうしてどうして、なかなか見応えがありました。特に、江戸時代に発行された様々な医学書、あるいは西洋の解剖学書などの翻訳本、日本人がつくった解剖図譜など、初めて目にするものばかり。不明を恥じると同時に、古人の旺盛な活動に感銘を受けました。

 ターヘル・アナトミアと杉田玄白の解体新書、さらにその改訂版や稿本などショーケースにかぶりつきになってしまいました。また、初期の解剖図は、刑死者を実際に解剖して描かれていますが、古来の「五臓六腑」が頭にあるために、はなはだ正確性に欠けていました。「思い込み」があると、見ているはずにもかかわらず、正しくは見えないということ。これは肝に銘じる必要があります。
中には華岡清州家で修行を終えた弟子が書いた誓約書がありました。そこでは秘伝を他には漏らさないという約束をさせられており、日本医学史のヒーローも実は「嫌らしい奴」でした。

 3月から始まっていますが、6月15日までです。そのうち名古屋にも来るかもしれません。皆さんも是非行ってみて下さい。

 ただ、1つだけ気になるのは、「医の原点は江戸にあった」「日本では古来和を尊ぶ」など、結論ありきで無理矢理ストーリーをつくっているようなところ。一般市民に広く、わかりやすく、が博物館の重要な仕事ですからやむを得ないところもありますが、素直にみていけば、命の尊さのためにいかに多くの優れた才能が費やされたのか、十分に理解できると思います。