2016年度第4回 ATP、細胞膜、細胞核 

 今週は前半に化学反応に伴うエネルギーについて、ATPを中心に説明しました。後半では、細胞膜と核について取り上げました。

 生体で生じる生理学的な現象の多くは化学反応を伴っています。今週の授業で取り上げた細胞膜をつくるためにも多くの化学反応が必要で、そのために莫大なエネルギーが消費されています。この生体内、あるいは細胞内で生じている化学反応(同化反応)に必要なエネルギーを供給しているのがアデノシン三リン酸です。また、化学反応(異化反応)によって放出されたエネルギーの多くもアデノシン三リン酸に貯蔵されます。ATPとその働きは、今後の授業でも頻繁に取り上げます。名前とおおざっぱな役割をしっかりと頭に入れておくように。具体的な作用は今後の説明で少しずつ分かってくると思います。また、酵素など、今回は説明を省いた部分は今後の授業で何らかの形で取り上げることにします。

 さて、今回細胞の構造と機能を考え始めましたが、やっと生物学らしくなってきました。地球上の生物はすべて細胞によって構成されています。たとえ単細胞生物であったとして、細胞です。単細胞生物の細胞と多細胞生物を構成する細胞とは構造の異なるところもありますし、動物と植物でも違いがあります。しかし、細胞を単位としている点では共通していますし、細胞である以上絶対に必要な構造や機能があります。

 授業では、動物、特にヒトを含む哺乳類を構成する細胞、という程度の共通項で考えていくことにしましょう。

 最初に考えたのは細胞を覆っている細胞膜です。細胞膜の機能は別の機会に取り上げますが、まずは構造についてしっかりと理解しましょう。細胞膜の構造は全体として「流動モザイクモデル」と考えますが、基本構造は脂質二重膜(脂質二重層)です。脂質二重層、特にリン脂質の二重層が袋状の構造になるとなぜ細胞になり得るのか、授業中に簡単に説明しました。「生理学のための化学」にも同様の説明をしましたので、改めて見直してみると理解しやすいと思います。

 脂質二重膜という場合には、単にリン脂質による二重膜というだけではなく、コレステロールや糖脂質も含んだ膜であるという意味です。そして、この脂質二重膜にタンパク質(膜タンパク質)がモザイク状に入り込んでいます。細胞の種類によって膜タンパク質の種類には差がありますし、同じ細胞であってもそのときの状態によって膜タンパク質の分布は変化します。脂質二重膜自体に流動性があるため、膜タンパク質も細胞膜を移動することができます。細胞膜がこのような性質を持った構造であるということから、流動モザイクモデルとよばれています。

 過去の期末試験問題を見てみれば分かることですが、細胞膜の構造と機能に関する知識は必ず問います。フレッシュなうちにしっかりと見直しをして、理解しておきましょう。

 最後に細胞核について簡単に触れました。内部にあるDNAについてはときを改めて取り上げることにしますので、今回は構造をよく見ておいてください。来週の授業で取り上げる小胞体ともつながっていますが、その成り立ちを理解するためには「envelope」であるということを知っておく必要があります。