2018年 第20回 固有感覚、体性感覚の伝導路

 今回取り上げた固有感覚は、感覚として生じているのか否かがわかりにくく、なかなか実感が持てません。しかし、筋の収縮や弛緩、すなわち運動を考える上では避けて通れない感覚です。とりわけ筋紡錘と腱器官の機能は重要で、次章の「運動と姿勢の調節」では、運動調節機能の基本として、これらを受容器とする反射を取り上げます。

 同じくらいの分量の教科書でも、筋紡錘についてさらに詳しく説明しているものもありますが、授業では最低限必要な構造と機能について説明しました。少し詳しい説明をプリント287ページにつけているので、時間を作ってみておくようにしましょう。

 筋紡錘を構成する錐内筋、感覚神経はともに2種類ありますが、まずはそれぞれをひとまとめにして「錐外筋よりも直径の小さい錐内筋の中央にⅠa群感覚神経が巻き付いている」と理解しておきましょう。試験ではこのレベルまでを問うことにします。

 筋が収縮、弛緩する(=単純に、短縮、伸長すると考える)と、筋紡錘も一緒に収縮、弛緩しますが、このとき、Ⅰa群感覚神経には機械的な刺激が加わり、短縮すると刺激が弱まって興奮の頻度が低下しますが、伸長すると興奮の頻度が高くなります。興奮の頻度は筋の長さに比例すると考えることができ、筋紡錘は興奮(インパルス)の頻度によって筋の長さを伝えていると考えられます。

 一方、筋の長さの変化のしかたを考えると、長さが急激に変化すると興奮の頻度も急激に変化し、長さが変化する速度が小さいと興奮の頻度の変化も小さくなります。したがって、頻度の変化する速度が変わることによって、筋の長さが変化する速度を伝えていると考えるとわかりやすいでしょう。

 プリント290ページの図の説明ではややごまかしたようなところもありますが、筋長の変化と筋紡錘の反応性(Ⅰa群感覚神経の興奮の頻度)をよく比較しておきましょう。

 筋が収縮すると(ときには弛緩するときにも)その両端に連続する腱を引っ張ることになります。この結果、腱には張力がかかります。この張力を検知するのが腱器官です。構造をうまく表した図がないためわかりにくいですが、筋紡錘に当てはめると、錐内筋のかわりに膠原線維に感覚神経が巻き付いているような状態でしょうか。膠原線維には筋ほどには伸縮性がありませんが、張力がかかると構造的に変化が生じるはずです。これがⅠb群感覚神経に機械的な刺激を加えているのでしょう。

 体性感覚は表在感覚と深部感覚に分けられ、それらの感覚受容器はほぼ全身に分布しています。したがって、これら受容器が刺激を受けて生じた興奮が、中枢である大脳皮質へ伝えられるにはしかるべきルートが必要です。ほぼ全身の受容器から脊髄までは脊髄神経によって脊髄へ伝えられ、その後は後索路と脊髄視床路によって視床へ伝導(あるいは伝達)されます。顔面などの受容器からは三叉神経によって脳幹へ伝えられ、さらに視床へ伝えられていきます。これらのルートが「伝導路」で、受容器がどこにあるのか、その受容器がどのような刺激を適刺激とする受容器であるのかによって、脊髄内あるいは脳幹でのルートや興奮の伝達する部位が異なっています。

 上記の点を含めて、3つの伝導路には共通点と相違点がありますが、簡単に整理できると思います。是非まとめておきましょう。ポイントは、一次ニューロンと二次ニューロンの細胞体の存在部位=一次ニューロンと二次ニューロンとの間で興奮が伝達される部位、二次ニューロンが交叉する部位です。もちろん、脊髄内の伝導路は、どの受容器からのルートが脊髄のどこを通るのかをはっきりとさせておく必要があります。

 来週の授業では第7章を最後まで進みますが、その中では皮膚分節について触れます。表在感覚の受容器の存在部位と、そこが脊髄神経支配領域なのか三叉神経支配領域なのかを改めて確認しましょう。