第11回 興奮の伝達、神経系の構成、ニューロンとグリア、神経線維と跳躍伝導

 今回も前半のクラスと後半のクラスでやや進捗が異なりますが、両方をカバーするようにまとめます。

 ニューロンからニューロンへの興奮の伝達はすべて化学シナプスによっています(例外もありますが、無視してもよいでしょう)。また、前期の最後に取り上げるニューロンと骨格筋細胞との間での興奮伝達も同様に化学シナプスです。したがって、化学シナプスによる興奮伝達は、ニューロンの機能を考える上で非常に重要度の高く、神経系の機能全体を考えていく上でも欠かせません。

 プリントにあるような図を実際に描き、さらにしくみを説明できるようにしておきましょう。ポイントは、神経インパルスが軸索終末へ伝導することによって電位依存性カルシウムチャネルが開放することと、このチャネルを通して細胞内(軸索終末内)へ流入したカルシウムイオンの作用によってシナプス小胞がシナプス前膜と融合してシナプス小胞内の神経伝達物質がシナプス間隙へエキソサイトーシスによって放出されることです。この二つを理解すれば、伝達物質がシナプス後膜の受容体に結合して生じる現象は、脱分極と活動電位が生じるしくみを思い出せばよいでしょう。

 今回は化学物質依存性イオンチャネルが受容体である例を挙げました。伝達物質と受容体については来週(または再来週)の授業でもっと詳しく説明します。細胞によって組合せが異なり、この違いによって細胞の反応のしかたが変わってきます。さまざまな生理現象を考える上で大切なところですが、基本的な仕組みが理解できていないと応用が利きません。化学シナプスの構造と伝達のしくみは納得がいくまで繰り返し復習しましょう。

 神経系の構成は解剖学で取り上げられる分野ですが、授業の進捗に整合性がとれていませんので簡単に説明しました。プリントではさらに詳しく説明している部分がありますが、再来週以降に各自で取り組んでもらうことになります。

 神経機能を概観して説明しました。ここでも、神経系全体の構成を少し頭に入れておく必要があります。やや抽象的な説明でしたが、後期に取り上げる感覚機能や運動機能、そして中枢神経系の高次機能などを一通り学ぶと実感がわいてくるでしょう。

 神経系を構成する器官としては、脳や脊髄、あるいは大脳、小脳、間脳、脳幹と考えていくことができます。組織的にはやや曖昧で、上皮組織はないと考えてよいですし、もちろん筋組織はありません。結合組織はありますが、機能的には考える必要は無いでしょう。したがって、機能を担っているのはニューロンとグリアの2種類の細胞です。ニューロンが断然重要であることはいうまでもありません。

 ニューロンとグリアの関わりとしては、ニューロンの軸索の周囲をグリアが覆ってつくる神経線維の構造をよく見直しておきましょう。特に髄鞘の成り立ちと、髄鞘の有無による構造の違いを理解しておくことが重要です。神経線維の外観と断面の電子顕微鏡写真を見ながらイメージを膨らませておきましょう。

 中枢神経系と末梢神経系では髄鞘をつくっている細胞が異なります。また、無髄神経で軸索を覆っている細胞も中枢神経系と末梢神経系では違いがありますので、差をはっきりさせて頭に入れておきましょう。

 さて、髄鞘の有無は単に構造が異なっているというだけではなく、興奮の伝導のしくみにも違いがあります。これが逐次伝導と跳躍伝導の違いです。無髄神経で生じる逐次伝導は前回の授業で説明した、興奮伝導のしくみと全く同様です。むしろ、先週は軸索に特別な仕掛けがない場合に生じる伝導として説明しました。これが逐次伝導です。一方、有髄線維では軸索が髄鞘によって覆われているために、軸索の細胞膜が細胞外液と接することができません。また、電位依存性ナトリウムチャネルもありません。したがって、髄鞘で覆われた部分では活動電位が生じることはなく、ランビエ絞輪の部分でだけ活動電位が生じます。この結果、活動電位=興奮は、ランビエ絞輪の部分を跳ぶようにして順に伝わっていくことになります。これが跳躍伝導です。

来週はすでに学んでいる伝導と伝達について、そのしくみをさらに詳しく考えます。