抗体検査

 今日は『抗体検査』 のしくみについて考えてみましょう。
 血液中の特定の抗原に対する免疫グロブリンを検出するということですが、大きく二つの方法が考えられます。一つはEnzyme-Linked ImmunoSorbent Assay(ELISA:エライザ)とイムノクロマトグラフィ法(イムノクロマト法)です。簡易キットとしては後者がより普及しているようで、SARS-CoV-2に対してもイムノクロマト法がすでに実用化されています。

 ペーパークロマトグラフィは知っているでしょうか。濾紙を使って実験しますが、細長く切った濾紙の下端から数センチのところに検出したい物質が溶けた水溶液などをスポットし、濾紙の下端を水やアルコール類などの溶媒につけておくと、毛細管現象で溶媒が上昇するのに伴って、検出するべき物質が移動します。しばらくして、発色試薬使ったり、何らかの化学反応をさせたりして、物質の存在を検出する方法です。中学校や高等学校の理科の実験でも取り組んだことがあるのではないでしょうか。原理は同じです。

 IgGは血漿に含まれていますが、採血した血液を、おそらく分離せずにそのまま使うのだろうと思います。免疫グロブリンはサブクラスによって重鎖のアミノ酸配列がわずかに異なっています。この部分を認識するアミノ酸配列と色素(金コロイドがよく使われるようです)と結合させた試薬を血液に混ぜます。たぶん、IgM用とIgG用があるはずで、検出したい方の試薬を用います。スティック状の検出器材には試薬を混ぜた血液をスポットする穴が空いており、数的を加えてしばらく待っていると、移動しまじめます。
 移動するルートに2ヶ所、検出用のおそらくペプチドが予め結合させてあります。1ヶ所は抗原であるウイルスのタンパク質またはその断片で、抗原を認識する抗体の一部はここに結合します。しかし、抗原を認識しない抗体はそのままさらに移動していきます。2ヶ所目にはIgMまたはIgG自体を認識するペプチドが結合してあり、全ての抗体がここでトラップされます。
 この結果、標識のついた抗体が集まった部分に色がつくため、抗原を認識する抗体が含まれていると2ヶ所に色がつき、抗原を認識する抗体がないと1ヶ所にだけ色がつきます。これで、目的とする抗体、すなわちSARS-CoV-2に対する抗体があるか否かが判別できます。

 最近クラボウが販売を始めたキット(ここ:https://www.kurabo.co.jp/pdf/covid19kit20200420.pdf)は、採血から15分以内で結果が出るようにつくられているようです。