食べた後にすぐ寝ると牛になる?

 体調を崩していませんか? 身の回りの方々は大丈夫でしょうか? 勉強はもちろんですが、心身の健康維持には何事にも積極的に、つまり、しっかりと考えて、意味や意義を見いだして取り組むことが大切です。そのためにも事実を正確に把握することが必要です。

 昨日の夕刻(?)に学校のWebサイトに授業再開日が告示されましたね。子どもの作文のようでした。GW明けで大丈夫なのかな? わたしのところには14日正午現在、まだ連絡はありません。週末に文書が送付されるようですが、そんなに時間がかかるのかな? いろんなシナリオをつくって準備しておけばすぐにできるだろうに。「メールアドレス聴取について」と記されていましたが、文書でどうやって「聴取」するのかしら。まして、今頃メールアドレスを尋ねるのか? 何ともはや、言葉がありません。「人との接触8割削減のため」とも記されていますが、8割にどのような根拠があるのか、考えたのかな? 「お上のお達しだから」というなら、薄ら寒いものを感じます。(夕刻に、GW明け再開の連絡がありました)

 話題を変えましょう。
 「食べた後にすぐ寝ると牛になる」と言われたことはありませんか? あるいは、そうやって子どもを叱りつけたりしていませんか? 先日、牛の話をしたので思い出しました。私は子どものころによく言われた覚えがあります。そのたびに疑問と感じていましたが、やっぱりおかしいですね。食後にすぐ寝て、実際に牛になった人がいたのでしょうか。

 たぶん、牛は草を食んだ後にすぐに座り込んでしまう=横臥しているをからでしょう。しかし、牛たちはこのときこそまさに食事をしています。生物学的に話をする場合には、人をヒトと記すように、牛はウシです。ウシは反芻動物ですから、立って草を食んでいても、ほとんど咀嚼することなくそのまま胃へ送っています。そして、横臥した状態でゆっくりと反芻、咀嚼をしているのです。
 見た目あるいは表面だけで物事を判断していると真理を見誤るというよい例でしょう。よく観察し、得られた事実に基づいて思考するの大切さを物語っています。

 反芻とは、ウシなどの偶蹄類で行われる摂食消化の形態で、一度嚥下した食物を再び口腔に戻して破砕、再咀嚼することをいいます。反芻を行う動物を反芻動物といい、その多くには胃が四つあります。第一胃から第四胃と呼び、このうち、ヒトで胃にあたる部分は第四胃だけで、第一胃から第三胃までは前胃といい食道の末端部に由来します。つまり、内腔側が単層円柱上皮で構成され胃腺があるのは第四胃だけで、前胃の内腔側は食道と同じく重層扁平上皮で、胃酸などは分泌されません。また、第一胃から第四胃は縦列に配列しているのではなく、食道下部が三叉となり第一胃から第三胃にまでに分岐し、第三胃の後方に第四胃が位置します。
 摂取された食物は、十分に咀嚼されないまま嚥下された第一胃に入り、中にいる細菌や原虫による発酵を受け揮発性脂肪酸が産生されます。この脂肪酸は反芻動物にとって最も主要な摂取栄養素で、一部は第一胃と第二胃で吸収されます。第二胃に入った食塊は口腔に戻されて再び咀嚼され、再嚥下されて第三胃に入ります。ここでさらに発酵した後、第四胃に入り本格的な化学消化を受けます。第一胃で消化されなかった糖質、タンパク質、脂質が消化されて、小腸へ送られて吸収されます。
 反芻するためには大量の唾液が必要なようで、ウシは一日に100〜200 Lの唾液を分泌するそうです。ヒトの唾液量は、1日あたり約1〜1.5 Lです。一般的な乳牛の体重は500 kgほどだそうですから、以下に大量の唾液を分泌しているかがわかるでしょう。また、第一胃にいる微生物の量も約2kgに達します。もちろん種類も多く、セルロースを分解するもの、デンプンを分解するもの、脂質を分解するものなど多岐にわたります。これら微生物の作用、すなわち発酵によって大量の二酸化炭素やメタンが生じ噯気(ゲップのこと)によって体外へ放出されます。ウシは1日に200 Lのメタンを放出し、地球温暖化の大きな要因の一つとされています。

 ウシであれ、ヒトであれ、食事の後は、副交感神経が優位となり消化管の運動をはじめとして消化器系の活動が活発になります。一方で、交感神経系の活動が低下するため、身体を活発に動かすことはもちろん、何かを集中して考えるようなことにも適した状態ではありません。むしろ、余計なことを考えずリラックスをして体を横たえている方が、消化、吸収をスムーズに進めることができます。眠ってしまってはいけませんが、「食べた後にすぐ寝ると牛になる」のではなく、「牛のように寝た方が(=横たわった方が)消化によい」のです。