2018年度第31回 自律神経系の中枢

 後期試験後の授業分のまとめがでいていませんでしたので、遅ればせながら簡単にポイントを挙げておきます。先ずは先週の分を。

 自律神経系の中枢として特に重要な部位は、言うまでもなく脳幹と視床下部です。授業ではかなりとばしたところがありますが、時間をつくって必ず見直しておきましょう。

 循環器系(心臓血管系)、呼吸器系に関する中枢機能は、血圧や呼吸のリズムの調節を考える上で必須です。脳幹については、運動機能の中枢としての役割も取り上げましたが、恒常性維持という観点から考えると、脳幹の最重要機能はこれら2つの器官系の中枢としての役割です。

 生理学2または4で「神経性調節」として学んだ内容です。圧受容器や化学受容器の部位、求心性神経である脳神経、そして遠心性神経(交感神経か副交感神経か)、さらに効果器である心臓(心筋)、血管(平滑筋)、呼吸筋の作用を自分なりにまとめてみましょう。プリントには一覧表にしていますが、フローチャートなどを改めてつくってみるといいのではないでしょうか。

 さらに、排尿反射や嚥下反射の中枢としての役割も忘れてはいけません。排尿反射は、脊髄を中枢とする反射として学んでいると思いますが、上位である脳幹から修飾がかかります。

 対光反射という場合には瞳孔括約筋の収縮を中心に考えます。視覚器で取り上げた明暗の調節機能と合わせて、瞳孔あるいは虹彩の機能として見直しておきましょう。

 視床下部の機能も生理学2または4で学んだ内容とオーバーラップしていると思いますが、見方を変えると気がつくこともあると思います。なかでも、体温調節中枢、そして割愛しましたが、飲水中枢としての機能は、恒常性維持という点で欠かすことができません。自律神経系の最高中枢として、多くの器官、器官系の機能を統一的に調節しています。

 体温調節のしくみは、体温を上昇させる機能と体温を低下させる機能にわけて、自律神経系の作用を中心に説明しました。内分泌系の作用や体性神経系の作用も、視床下部が制御していますので、忘れないように。こうした複数の器官系にまたがる機能を理解することは、「生体の恒常性」を考える上で最も大切なことです。

 飲水中枢としての機能は、視床下部に浸透圧受容器があることと不可分です。視床下部を通過する血液(血症)の浸透圧を検知しています。肝臓などにも同様の受容器がありますが、それらの情報はすべて視床下部に集中しています。浸透圧が上昇していると、飲水欲求が発生します。少し外れますが、腎臓傍糸球体装置は腎動脈圧を検知し、血圧が低下していると傍糸球体細胞からレニンが分泌され、レニン・アンジオテンシン系が活性化します。アンジオテンシンⅡも視床下部に作用して、飲水欲求の発生に寄与します。プリントには脱水を始まりとして、飲水欲求の発生にかけてどのような現象が生じているのかを示すフローチャートのような図を入れました。互いの関わり方をよく見ておきましょう。

 摂食に関する機能も、消化器系の作用、さらには代謝に関わるホルモンの作用と密接に結びついています。いくつかのホルモンの名前を挙げましたが、分泌部位や機能がすぐにピンとこなかったものがあれば、よく復習しておきましょう。

 最後に、内分泌系の最高中枢としての視床下部の機能にもふれました。生理学4で取り上げられた内容を重なっています。名称や略号、分泌部位など、覚えることもたくさんありますが、下垂体前葉への作用と下垂体後葉からの分泌はしくみが全く異なることをまずはじめに押さえておきましょう。前葉と後葉は、下垂体として1つになっているといっても、元々全く別の組織からできてきて、たまたま一体になっただけです。

 最後に、ストレス応答に関する図を使って説明しました。視床下部が交感神経系と下垂体ー副腎、甲状腺、肝臓(GHの標的は他にもありますが代表させています)へ、ともに作用していることを示しています。視床下部が自律神経系と内分泌系の両方の中枢として機能していることがよく分かると思います。

 自律機能とそれを担う器官・器官系に対する神経性調節は、恒常性維持機構の要です。生理学2&4で学んだことを振り返りながら、「自律神経系の機能」という切り口でよく見直しておきましょう。来年度に学ぶ病理学や内科学ではこれらの理解が求められます。