第31回 運動機能の調節、伝導路

今回はやや駆け足で説明しましたが、小脳と大脳皮質による運動調節の特徴を概説しました。

小脳は随意運動を協調させること、そして運動学習に関して中枢的な役割を果たしています。とくに、前者についてはいろんな障害についても合わせて学ぶことが大切だと思います。2年生で神経疾患について学習すると思いますので、そのときに改めて見直してください。また、小脳の学習機能については近年研究が進展し、教科書には触れられていないようなこともかなり明らかになってきています。国家試験の対策という意味ではそれほどウェイトを置く必要はないと思いますが、興味のある人はいろんな文献に当たってみるといいと思います。

大脳皮質、特に一次運動野に関する理解は必須です。本来であれば期末試験で「説明せよ」と出題するべき内容です。一次体性感覚野と中心溝を挟んで向かい合っている場所ですが、支配の特徴も非常によく似ています。合わせてよく復習しておいてください。また、補足運動野と運動前野については、サルを使った実験を考えました。いずれもまだ十分に理解されているとは言いがたいところもありますが、典型的な機能の違いを頭に入れておくといいと思います。

さて、後半は伝導路を取り上げました。体性感覚や特殊感覚でも、感覚受容器の情報がどのようにして中枢へ伝えられるのかについて考えました。これは、感覚というものが、受容器で刺激を受けて、そこで発した興奮が中枢へ伝えられて初めて感覚が生じるからであり、それを理解するために必ず伝導路を考えました。今回、運動に関する情報の伝導路を考えるのも全く同じことです。筋による運動は、筋が勝手に収縮・弛緩して生じるわけでもなく、また、脳で意思が生じたら勝手に筋による運動が発生するわけでもありません。大脳から末梢まで興奮が伝わって初めて運動、筋の収縮や弛緩が生じます。その、まさに筋道を理解することが大切です。

錐体路とひとくくりにしますが、皮質脊髄路と皮質延髄路の2つ、ともに、大脳皮質のニューロンの軸索(神経線維)が直接α運動ニューロンとつながっています。この神経線維のルートをしっかりと考えられるようにしてください。

脊髄内の伝導路は感覚性の上行路と運動性の下行路の2方向があります。例えば、けがなどで脊髄に障害が発生した場合にこの伝導路がダメージを受けます。脊髄のどこにダメージを受けるかによって運動、感覚の麻痺の出方が変わってきます。教科書180ページに「ブラウン・セカール症候群」として簡単に紹介されていますので、一度目を通しておくように。