2018年度 第18回 感覚の一般的な特徴と二点弁別閾

 後期は神経系を中心にして、広い意味での神経機能を感覚機能と運動機能、そして中枢神経系の統合機能と分けて考えていきます。始めに取り上げるのは感覚機能です。今回は、感覚全般に共通する特徴を概観しました。

 共通点としてまず強調すべきは、すべての感覚は、それぞれの中枢に興奮が伝わってはじめて生じるということです。決して受容器が刺激されるだけで感覚が生じるわけではありません。授業でも、この特徴を理解しやすいような説明を心がけているつもりです。やや回りくどい説明になることもあると思いますが、それだけ重要だということです。したがって、感覚機能を理解するためには、中枢神経系の構造や機能も同時に考えていく必要があります。他の科目でも学んでいるはずですので、忘れていたり理解が十分でないと思ったりした部分は、その都度すぐに見直しましょう。

 ただし、実際の感覚は、あたかも感覚受容器の部分で生じているかのように感じます。この「感覚の投射」も大切な特徴ですので、よく理解しておきましょう。

 受容器に対する刺激、すなわち適合刺激を個別に丸暗記しても意味はありませんので、それぞれの感覚機能と合わせて考えましょう。感覚受容器が刺激を受容する仕組みを理解すれば自ずと頭に入ります。

 刺激の強さと生じる感覚の大きさの関係は、ニューロンの興奮(活動電位)がどのように発生するのかということと密接に関わっています。活動電位発生のしくみは前期に取り上げた最も重要な内容です。前期末試験でも問いましたが、改めて見直しておきましょう。

 感覚が生じる場合には、刺激が検知閾(感覚閾値)を超えている必要があり、さらにその後の感覚の変化には、ウェーバーの法則として紹介したような、弁別閾を超える刺激量の変化が必要です。実体験から何となく分かっていることではあると思いますが、生理学的、すなわち科学的にどのように説明するのかをよく理解しましょう。

 授業でも触れましたが、ウェーバーの法則だけで説明できる部分はごくわずかです。ヒトの感覚受容器が受容できる刺激のダイナミックレンジは非常に大きく、そんなに単純な法則性では説明できないようです。聴覚の適合刺激を説明する中で簡単に触れることになるでしょう。

 感覚受容器は、それぞれ非常に特徴的な構造と機能を持っています。その精緻さは知れば知るほど驚きます。しかし、やはりいくつかの共通点で分類することができます。授業では三つに分類して、その構造的な特徴をまとめました。表在感覚は自由神経終末と被包神経終末が中心です。特殊感覚の受容器は、独立した感覚受容器細胞をもっている場合が多いですが、刺激に対する反応性は単純な場合もあります。深部感覚器の代表である筋紡錘は再来週の授業で取り上げることになると思いますが、自由神経終末の変形のような構造と考えればいいでしょう。

 また、触れませんでしたが、感覚受容器から感覚中枢までの間は、複数の神経がシナプスを介してつながっています。つまり、伝導路では何度かの興奮の伝達が生じています。この伝導路を構成する神経を感覚受容器側から数えていく場合に、一次ニューロン、二次ニューロン、三次ニューロンなどと呼び表します。表在感覚を中心とした体性感覚の伝導路を説明するときに、具体的に説明しようと思います。

 後半では、表在感覚を考える上で重要な二点弁別閾を取り上げました。感覚受容器(あるいは来週説明する受容野と考えるとわかりやすい)は点状に存在していますが、やはりそれぞれが一定の面積をもっています。この面積の大小が、体部位によって異なっているために、二点弁別閾の大きさに差が生じます。触圧覚の二点弁別閾がよく調べられているため、教科書によく引用されています。他の表在感覚については、全身をくまなく調べた結果があるのかどうか。興味があれば是非調べて、教えて下さい。

 来週は表在感覚をすべて取り上げる予定です。共通するところ、異なっているところをはっきりとさせながら考えるといいでしょう。