第25回 網膜の構造と視細胞の機能

 今日は視覚機能のうち、直接光に反応する視細胞を中心に取り上げました。

 網膜は色素上皮を除き、ニューロンが集まってつくられています。実際にはグリアもたくさんあるのですが、今回は特に触れませんでした。こうした構造からも想像できるように、網膜は神経系、特に脳の一部と考えることができます。実際、脳の一部が突き出すようにしてつくられていきます。

 中でも重要なのは視細胞と神経節細胞です。

 2種類ある視細胞は構造が大きく異なっているところから名付けられましたが、機能的にも違いがあります。桿状体細胞(桿体細胞)はロドプシンを持ち、可視光線が入射しているのか否かによって反応性が異なります。光が当たるとレチナールの構造が変化して、オプシンタンパク質も変化させて、桿体細胞内の状態を変化させます。この結果、ナトリウムチャネルが閉鎖し、細胞内が過分極または弱い脱分極状態となり、桿体細胞からの抑制性伝達物質の放出を抑制または減少させます。この伝達物質を受け取る双極細胞は興奮しやすい状態にあると考えておきましょう。そうすると、抑制性伝達物質の作用がなくなることによって興奮し、これが神経節細胞に伝わることによって視神経にインパルスが発生します。

 レチナールは色素上皮細胞が提供しており、ロドプシンが再生します。授業では触れませんでしたが、レチナールの元になっているビタミンAの摂取不足によってレチナールが不足し、この結果、ロドプシンの産生が低下すると、暗いところでの視覚機能が低下します。いわゆる「鳥目」です。

 錐状体細胞のもっている3種類のフォトプシンは、光があたったとき、ロドプシンとよく似た反応をします。しかし、それぞれ反応できる光の波長が異なっているため、眼に入る光の波長によって反応のしかたが異なります。この違いを脳が処理することによって、我々は異なる色を検知するがきます。

 錐状体細胞が網膜中心窩付近に集中しているのに対して、桿状体細胞は網膜の中心窩の外側に分布しています。この結果、中心窩付近は色彩感覚に優れています。同時に、視細胞の密度も高いため、周辺に比べると視力も高くなります。一方、周辺では桿状体細胞しかないため、明暗しか判別できません。先週取り上げた視野の図を見直してみるとわかりますが、色を判別できる視野は明暗を判別できる視野よりも小さくなっています。

 盲点は各自で試しておきましょう。ふしぎな気分になります。

 フォトプシンと色覚に関しても遺伝子の発現や変異の問題を詳しく取り上げられると、より理解が進むと思いますが、時間の都合で割愛しました。色のシミュレーターはここにあります:https://asada.website/cvsimulator/j/index.html

 来週は第9章に入ります。運動機能について4〜5回にわたって考えます。来週は脊髄を中枢とする反射について取り上げますが、脊髄の構造を復習しておきましょう。また、最初に取り上げる伸張反射は筋紡錘を受容器としています。体性感覚のうちの深部感覚あるいは固有感覚の受容器として取り上げました。ここも見直しておきましょう。さらに、伸張反射として上腕や大腿の筋の反射を例に挙げます。プリントには上腕と大腿の筋についても簡単に図をつけて説明しましたので、ここもよく見ておきましょう。