再び『ペスト』

 学校は6月1日から再開とのことですが、方針が二転三転して一体どうなっているのでしょうか。きちんとした説明があればまだしも、Webに掲載されている学生の皆さんへの告知はもとより、非常勤講師である我々には十分と言えるような説明はありません。今日の非常事態介助でまた方針がわかるかもしれませんね。

 時間を無駄にしないためにと、今年度の初めにカミュの『ペスト』を紹介しました。引き続きベストセラーのようですが、読んでみましたか? かなり引き込まれる物語ですし、今の事態に引き付けて読むと重なるところがあまりにも多すぎて、恐ろしいくらいです。作者であるカミュの洞察力に感服します。

 最近、読み応えのありそうな評論がWeb(https://webronza.asahi.com/culture/articles/2020051300006.html)で連載され出したので紹介します。

 朝日新聞が編集している『論座』は、毎日数人が政治や経済から科学、文化まで幅広く持論を開陳しています。私見では保守的な立場から革新的な意見まで、良心的な論調もあればかなり自分勝手としかいえない議論もあります。

 『ペスト』については本日第1回目で、内容を丹念に紹介するものでした。3回なし4回の連載のようですが、まだ読んでいない人にはちょうど良いイントロダクションになると思います。通常は有料のサイトですが、COVID-19に関わる話題については無料で誰でも全文にアクセスできます。
  
 連載でも触れられるでしょうが、カミュが『ペスト』を書いたのは決して感染症の恐ろしさを訴えたかった訳ではありません。彼の頭にあったのは戦争です。執筆されたのは第二次大戦中です。彼がいたフランスはドイツに占領されており、カミュはレジスタンスに身を投じていました。したがって、ペストは彼にとっては戦争であり、占領軍ドイツです。そして、ペストと闘う主人公たちはまさにレジスタンスを戦ったカミュたちを指しています。

 この小説のエンディングは決してhappyではありません。かといってtragedyでもない。不条理文学と言われますが、非常にリアリティのある物語です。