第3回 細胞膜

B,C組の皆さんには、前回の小テストを忘れてしまい申し訳ありませんでした.次回まとめて返却して、答え合わせをします.

さて、今週は、生体の化学反応のエネルギー源であるATPについて簡単に説明しました.実際に使われている反応を紹介しないと分かりにくいと思います.次の授業でとりあげる能動輸送に関わって、実際のはたらきを考えますので、そこでもう一度確認してください.

さて、いよいよ本格的に生理学らしい内容に入っていきます.はじめに生体の基本単位である細胞の機能や、20世紀後半の生命科学の中心テーマであった遺伝子発現のしくみについて概観します.

今回は細胞膜の構造を取り上げました.
いきなり分子レベルの内容で取っつきにくいと感じた方もいるかもしれませんが、われわれのからだがどのようにできているかを、特に現代の到達点にたって考えていく上では、細胞膜の構造は最もいい題材の1つだと思います.休日もたくさんありますので、少し時間をとって復習しておいてください.

リン脂質分子の構造の特徴である両親媒性をふまえて、脂質二重層の構造を見直してください.分子の極性や親水性、疎水性の具体的な性質は第1章3233ページを読んでみてください.
細胞膜の流動モザイクモデルは実際に自分で描いてみるといいと思います.
膜タンパク質については大ざっぱな特徴を説明しましたが、具体的には前期の授業の中で随所に出てきますので、忘れないでください.

水は非常に極性が強く、極性のないリン脂質の尾部とは全くソリが合わない性質です.脂質二重層を通り抜けようとしても、親水性の頭部を通り抜けたところではじかれてしまいます.ところが、浸透圧のところで見てもらった「溶血」のビデオのように、実際には大量の水分子が細胞膜を通過できます.このジレンマは長い間解決されないまま、水分子がどうやって細胞膜を通過しているのか全く不明なままでした.分子が小さいということを理由に、脂質二重膜を通過するという話ができてしまったと思います.
1992
年になってやっと、次回取り上げるアクアポリン(水チャネル)という膜タンパク質が水分子の輸送体として機能していることが発見されました.これで水分子の移動が説明できるようになりましたが、高校の教科書などは訂正されないまま放置されていたようです.

第2回 浸透圧、生物の階層性

小テストはいかがでしたか?
最初なので、結構力を入れて勉強したのではないかと思いますが、ぜひそのまま続けてください.また、久しぶりで今一つ勉強の仕方を思い出せなかった人は、早く慣れるようにしましょう.

浸透圧は、先週取り上げた電解質組成や水素イオン濃度(pH)と同様に、体液の状態を保つ上で決定的に重要な要素です.浸透圧を維持する上で重要な役割を演じている電解質(イオン)や、細胞が高張液や低張液にさらされるとどのように変化するのか、溶血のビデオなどを思い出しながら復習してください.

もうすぐ生理学2で習うと思いますが、水素イオン濃度をモニターする受容器は大動脈弓や頚動脈洞にあり、血圧や呼吸の調節とリンクしています.また、浸透圧を感知する受容器は視床下部にあります.負のフィードバック機構がどのように機能することで、これらのホメオスタシスが維持されているのよく考えながら勉強するといいと思います.

生物の階層性の説明はかなり駆け足になってしまったので、ついてくるのがたいへんだったかもしれませんが、今後、細胞レベル、分子レベルでの説明が随所に出てきます.できるだけ説明しますが、タンパク質に関する一般的な説明からはじめている余裕はないと思いますので、プリントの1727ページをよく読んでおいてください.

また、プリントの29〜35ページには「水」について解説しました.今後、あえて取り上げることはできないと思います.強いていえば、先週と今週の授業のなかで体液について取り上げたのが最初で最後でしょう.生命の源といわれながら、見過ごされているところがいっぱいありますので、ぜひ一度目を通しておいてください.

細胞については来週以降、詳しく説明します.一方、組織や器官、器官系については解剖学で取り上げられるほか、生理学の勉強も基本的には器官系ごとに分けて進めていきます.それぞれも器官系の役割については、教科書の各章の最初のページを読むといいでしょう.

第1回 ホメオスタシス

みなさん、いかがでしたか?

スライドばかりの授業は、ともすると睡魔との戦いを強いられてしまいます.できるだけメリハリをつけながら進めていきますが、学生の皆さんも毎回の授業に自分なりの問題意識を持って積極的に参加してください.

何よりも効果的なのは朝ご飯をちゃんと食べてくること.脳はグルコース(ブドウ糖)しか栄養として使えません.夕ご飯をどんなにたくさん食べても、朝起きたときには、脳の細胞にはこのグルコースが枯渇、疲れ果てて、どんなにむち打っても十分に機能してはくれません.ですから炭水化物を十分にとってから出かけるようにしてください.寝坊してしまったときにはコンビニでチョコレートかバナナでも買って、しっかりと糖分をとっておくように.


さて、最初の授業ということでやや抽象的な話から始まってしまいましたが、生体の恒常性=ホメオスタシスという考え方は生理学の入口であり、出口です.プリントの#7の図はそのことを示すようにつくったつもりです.常に頭に置きながら今後の学習を進めてください.

今日は具体的に体液の量・割合と組成、そしてpHを例としてホメオスタシスを考えました.

細胞内液や細胞外液という名称とその割合、それぞれに含まれているイオンの組成(どういうイオンが多いのか、あるいは少ないのか)をよく見直しておいてください.細胞内にはナトリウムイオンが少なく、カリウムイオンが多いといったことが今後何度か出てきます.改めて説明しませんので、#10の表をしっかりと覚えておいてください.

プリント0078ページに血液の組成が狂ってしまうとどのような症状が出るかを簡単にまとめてありますので、一度見ておいてください.生理学Ⅱ or Ⅳ(教科書でいうと第17章)でも取り上げられると思いますので、その時には参考にしてください.

また、体液のpHは、特殊な性質を持っている分泌液を除けば、基本的には血液と同じと考えてもらって差し支えありません.しっかりと覚えておいてください.
とくに、厳密にある一定値をとるのではなく、ある幅をもって一定になっているということが重要です.フィードバックによって調整するためには、ある幅の中での変動をしっかりとモニターしながら、その幅の中からはみ出さないようにするというフレキシビリティー、あるいは可塑性を持っているということに意味があります.

来週は、浸透圧とフィードバックの考え方を取り上げます.また、生物の階層性について、解剖学とややオーバーラップしますが概略を見ておきたいと思います.