第3回 細胞膜の構造と受動輸送(拡散)

今日は細胞膜の構造を概観しましたが、理解してもらえたでしょうか?

リン脂質という物質になじみがないのはしょうがないのですが、両親媒性物質という性質をよく理解してください.変わった性質ですが、こういう物質があるからこそ細胞膜ができている、つまり細胞、ひいては生物が存在しているのです.

リン脂質にはいくつかの種類があることが知られていますが、プリントでは最も有名なフォスファチジルコリンというリン脂質の構造を示しました.化学が得意だった方は、親水性部分の構造の特徴や疎水性部分の炭素鎖の構造など、思い出しながら見直してください.

また、プリントの16ページから19ページにかけて、水の構造に関わってリン脂質の説明をしています.今日の授業の説明を思い出しながら読んでみてください.今日の授業で理解できなかったところが補えると思います.

『細胞膜』としての構造は、流動モザイクモデルという考え方が非常に重要です.細胞膜に流動性があるということは、細胞自体の形に自由度があると言うことであり、分裂や移動を考える上で欠かせません.また、多くの膜タンパク質が存在することも忘れないでください.後半で取り上げたチャネルや次回のキーワードでもあるポンプ機能を果たしているのもこの膜タンパク質です.

自分で簡単な図を描きながら、ポイントを確認していくといいと思います.かつて、期末試験で「細胞膜の構造をかいて説明しなさい」という内容の問題を出題したこともあります.

糖鎖について質問もありましたが、プリント9596ページに細胞表面の糖鎖について簡単に説明をしていますので、時間のある方は是非読んでおいてください.

後半は、細胞膜の機能のうち最も重要な物質移動を取り上げました.受動輸送は、濃度勾配や電気化学的勾配という単純な現象に依存しており、たいしたことがないように見えるのですが、今日紹介したイオンチャネルに代表されるように、細胞の生存や機能にきわめて重要な役割を果たしています.神経細胞の機能のところで改めて詳しく取り上げます.

また、水チャネル(アクアポリン)はやや詳しい内容ではありますが、腎臓の細胞を始めとする多くの細胞で起こっている現象を考える上で必須の知識ですので、しっかりと覚えておいてください.

連休を挟みますが、次回は受動輸送のうち浸透と浸透圧、能動輸送そして小胞による輸送と、細胞膜を介した物質輸送全体を取り上げます.

第2回 生物の階層性と細胞

今日はホメオスタシスと並んで生理学を学ぶ上で重要な概念である「生物の階層性」を取り上げました.解剖学の内容とも共通するところが多い考え方ですが、生命現象の『しくみ』を考える上でも非常に重要な見方です.

分子については、化学の知識も必要ですが、何よりも多くの方にとっては、今までほとんど考えたこともない見方だと思います.しかし、現在の生命科学はこのレベルで見たり考えたりすることを中心に据えています.したがって、研究上の新しい成果や治療につながる新たな方法論もすべて分子レベルで得られた知見から出発をしています.これからの授業の中でも、できるだけいろんな話題を提供していきたいと思っていますが、言葉や考え方はなれてもらうしかありません.初めのうちはやや難しいかもしれませんが、自分なりにいろいろ考えてみてください.

細胞レベル、組織レベルでの現象やしくみについてはこれからの生理学の授業の中心を占めています.私の授業では、神経と筋以外の2つの組織についてはほとんど触れることはないのですが、生理学24では、上皮組織や結合組織についていろんな種類が出てくると思いますので、その都度自分でまとめるようにしていくといいでしょう.

器官系の種類のまとめ方は本によって多少の違いがあります.生理学の教科書はほぼ例外なくこの器官系ごとに分類してまとめていますので、いくつかの考え方を比較してみたい方は図書館でいろんな生理学の教科書を手に取ってみるといいでしょう.

さて、今日はいよいよ本論というか、第2章に入りました.来週から本格的に進めていきます.最初はすべての細胞に共通する特徴をまとめ(第2章)、つづいて、後期の内容につなげるべく、神経細胞と筋細胞(骨格筋)の構造と機能を取り上げていきます(第3,4章).

参考文献の一部訂正

このサイトを見てくださった学生から早速返事をいただきました.ありがとうございます.

ご指摘の通り、出版社のHPの変更でリンク先がなくなっていた文献がありました.訂正しました.
また、プリントに掲載した、あるいはこのHPの参考し一覧に掲載した書籍のうち重要ないくつかで新版が出版されていますので、訂正して補足します.

もしなにか教科書を買い足したいと思う場合には、古くともこの3年以内に出版された本を選んでください.基本的な内容がまちがっていることはありませんが、科学は日進月歩、日々内容が更新されるとともに、「本」としてみた場合にも新しい方がより見やすく、読みやすく工夫されています.

標準生理学:プリントでは第7版を紹介しましたが、HPには旧版にリンクしたままでした.たぶん本屋さんでは旧版はもう手に入らないと思いますが、もし買うなら新版を買ってください.

生理学テキスト(大地陸夫著)と人体の構造と機能(トートラ著)は、いずれも今年に入ってから新版が出ました.本屋さんにはこまめに通っているつもりでしたが気がつきませんでした.申しわけありません.値段は旧版と同じですが、いずれもややページ数が増え、たぶん図表なども変更されていると思います.早速学校でも買ってもらえるように御願いをしてみます.HPも更新しましたので入ってみてください.

細胞の分子生物学が昨年末に新版の日本語訳が出ました.すでに授業のプリントにも図表を使っています.出版社のHPだけを観てもわかりにくいですが、大学で生物系学び、研究する者にとってはバイブルの様な一冊です.

第1回 授業の概要とホメオスタシス

最初の授業はいかがでしたか?このHPのことを授業で触れるのを忘れてしまいましたので、今ここを見ている方は、プリントをしっかりと見たか、上級生の方から話を聞いた方だと思います.ケイタイでも見ることができるはずですので、クラスの皆さんにお伝えください.(m_m)

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分の授業は、久々に学生生活を始めた方には結構きついかもしれません.慣れと言ってしまえばそれまでですが、適当に緊張を解くところと、しっかりと頭をはたらかせないといけないところをうまく使い分けてください.

また、高校で生物や化学を学んでいない方は???というところがあるかと思います.授業の中で具体的に説明する時間はないかもしれませんので、補足のプリントを作るなりして、何らかの形でフォローできるようにしたいと思います.

さて、今日は完全にイントロダクションで、抽象的な内容でした.『ホメオスタシス』という言葉は、この言葉だけを覚えても何の意味もなく、今日の授業で触れたような内部環境のいろんな環境因子ごとに、何が、どのように、どれくらいに保たれているのかを具体的に説明できる必要があります.逆に言うと、これらを説明できるようになることが『生理学』の目標です.何事も積み重ねですので、途中で手抜きをせずに続けてください.(^^)

今日のキーワードは、ホメオスタシス、体液、細胞内液と細胞外液、イオンとpHといったところでしょうか?
生理学で、血液あるいは血漿の組成については詳しく学ぶことになると思いますが、イオン(電解質)の組成についてはプリントの表を参考にして頭に入れておいてください.また、体液の緩衝系についても後期に学ばれると思いますが、結果として7.357.45の範囲で維持されていると言うことについては絶対に忘れないでください.

昨年まで数年分の小テストや期末試験問題がダウンロードできます.最終的な目標あるいは日頃の復習の手助けにしてください.