第23回 嗅覚の伝導路、聴覚(音波と聴覚器の構造)

今年最後の授業でした。本来であれば、年内に運動機能を終えるところまで進みたかったのですが、後期はハッピーマンデーが多く、やや中途半端なところで切れてしまいました。忘れないようにはやめに1度見直して、さらに年初めにもう一度おさらいしておいて下さい。

さて、前回の授業で嗅覚の伝導路だけが残ってしまったために、はじめに簡単に説明しました。今後、聴覚や視覚の伝導路を学んだ後で、すべての感覚の伝導路を自分なりに比較して下さい。自ずと分かってくることですが、嗅覚は他の多くの感覚と比べると、左右の交叉視床での中継の有無、、そして大脳新皮質に一次感覚野があるかどうか、など、大きな違いがあります。

嗅上皮から嗅神経によってすぐに大脳とつながり、さらに大脳辺縁系のいくつかの部位に情報が送られて処理されています。他の脊椎動物や他の哺乳動物では非常に重要な感覚で、動物、特に脳の進化と関わらせて考えると、やや特殊に見える伝導路ができあがったのもうなずけます。

授業では飛ばしましたが、プリント260ページ上の図では、伝導路ではなく、嗅物質の受容体について取りあげました。プリントだけではややわかりにくいですが、ヒトとマウスを比べると、マウスの方が受容体の数が多いことが分かります。つまり、それだけ多くの匂いを識別できるということです。

後半の聴覚では、適合刺激である音波と聴覚器の構造をおさらいしました。

音波についてはもう少し詳しく説明できるようにプリントを作成したのですが、時間が足りず大幅に割愛しました。興味のある人は自分でゆっくりと見て、疑問があればいつでも質問して下さい。

音波は空気の振動であり、縦波です。そして音の大きさは振動の大きさ=エネルギーによって決まり、音の高さは周波数=振動の回数によって決まります。それぞれ、デシベル(dB)またはホーン(Ph)、ヘルツ(Hz)という単位で表します。これらのことがしっかりと理解できていれば、聴覚機能を理解するには先ず十分でしょう。

聴覚器の構造は解剖学でも学んだとおりです。年明けの授業で、音波=空気の振動がどのように聴覚器の中をどのような形で伝えられ、神経の興奮につながるのかを考えます。外耳から中耳、内耳の構造、特にそこに空気があるのか、膜構造があるのか、骨があるのか、あるいは液体があるのか、自分なりに図を描いたり、表にまとめたりしてしっかりと頭に入れておいて下さい。

次回の授業ではさらに、聴覚の伝導路、そして平衡感覚を取りあげます。

第22回 味覚と嗅覚

1週ぬけてしまい申し訳ありませんでした。後期は感覚機能と運動機能を取りあげる予定でしたが、試験までには全部やりきれないかもしれません。特殊感覚は今回を含めて全5回の予定です。

今回取りあげた味覚と嗅覚、ともの化学物質を適合刺激とする感覚であるため化学感覚とも呼ばれます。ヒト以外の動物にとっては情報量が大きく重要な感覚であることからも分かるように、進化の過程では早い時期に獲得された感覚でしょう。このことは、情動や本能行動に大きな影響を与える感覚であるという点で、痛覚などとも共通しています。

生理学の勉強はすべて同様ですが、感覚機能は特に構造と機能を結びつけてやすいと思います。むしろ、構造と機能を結びつけて考えないとわかりにくいかもしれません。したがって、それぞれの感覚受容器、あるいは感覚受容器細胞とその周囲の構造をよく見ながら、機能を考えて下さい。

味覚であれば、舌を中心とした口腔>乳頭>味蕾>味細胞>味毛>受容体 というように順に構造を追いかけながらそれぞれの機能や特徴を考えていきましょう。

また、授業でも触れたように、それぞれの感覚ごとに、刺激自体にも注目しておきたいと思います。したがって、味覚に対する刺激である味物質と其れによって生じる感覚=基本味や嗅覚に対する刺激である嗅物質についても簡単ですが触れました。過去の国家試験でこれらに関わる問題が出題されたことはありませんが、日常身の回りにあり、日々体験することでもあるので、少し気にしながら生活をしてみましょう。この後の聴覚や視覚でも同様にはじめに簡単に説明をします。

特殊感覚の伝導路はすべて脳神経です。これが特殊感覚たる分類の根拠の1つです。解剖学で身につけているという前提で進めていきますので、怪しいと思ったら自分でよく見直しておいて下さい。