2017年度 第26回 脊髄反射

 少し時間がたってしまいましたが、年末最後の授業を簡単にまとめます。

 脊髄を中枢とする運動調節機能、すなわち脊髄反射を取り上げました。具体的に考えていくときりがないため、特徴的な反射をいくつか取り上げて説明しました。あわせて、反射というものがどのような現象で、その神経回路である反射弓をどのように考えていくのかを身につけられるように、代表的な例を挙げました。

 伸張反射は単シナプス反射であるため、最も反射弓を考えやすいと思います。授業では膝蓋腱反射を例にしましたが、全身の多くの伸筋に生じる反射です。むしろ、膝蓋腱をたたかれることなど、日常的に生じることではありません。むしろ、歩行などの動作の中で大腿四頭筋が伸展する場合を思い描いた方が現実的でしょう。

 解剖学でも学んだと思いますが、関節の伸展や屈曲に関わる筋のはたらきは運動を考える上での基本だと思います。また、感覚受容器や神経の種類など、忘れているようなことがあればよく確認しておきましょう。

 伸張反射は決して単独で生じる現象ではありません。反射弓の基本が理解できたら、拮抗抑制や自原抑制をあわせて考えるようにしましょう。人体で生じている生理現象はすべてが連関しています。やや単純な例ではありますが、実感できるのではないでしょうか。

 屈曲反射と交叉性伸展反射も同時に生じます。中枢はやや複雑で、図によって描き方に差がありますが、介在ニューロンの種類によって、遠心性神経が興奮するのか抑制するのかを区別できるようにしておきましょう。

 年明けの授業では、脳幹を中枢とした反射を取り上げます。特に、眼球運動に関する反射が最も重要で、少し時間をかけて説明します。眼球の運動を司る6つの筋とそれらを支配する3つの運動神経について見直しておくように。

よい年をお迎えください。

2017年度 第25回 視覚、反射と脊髄の構造

 今回は前回の最後にやや中途半端に終わってしまった色や色覚について補足をしました。色覚について国試で問われることはないと思いますが、身近な事柄ですからですし、そもそもヒトあるいは動物にとっての基本的な機能の1つですから一度しっかりと頭に入れておきましょう。

 遺伝については高等学校の生物などで取り上げられていますので、覚えている人も多いでしょう。生理学で取り上げる時間がありません。病理学などで遺伝病などと関連して取り上げられるのではないかと思いますので、そのときにしっかりと勉強して下さい。

 色覚に関する遺伝現象は複雑で、高校の生物では1型色覚異常(旧来の赤色盲)と2型色覚異常(旧来の緑色盲)のしくみを「伴性遺伝」としていますが、正確ではありません。詳細はとても書ききれませんが、後期試験後の重合で時間があれば取り上げることにします。

 視覚の伝導路は、たの感覚の伝導路を比べるとやや複雑です。視神経が交叉をするところがポイントですが、脊髄視床路や後索路のような交叉のしかたとは異なります。また、視野の左右と網膜の左右が逆転しているため、さらに複雑に感じるかもしれません。順序立ててよく考えてみましょう。こういう内容はただプリンのテキストや図を見ているだけでは絶対に身につきません。必ず自分で図を描いて、授業で例に挙げたように矢の絵や各部位の名称などを書き込んで確認するようにしましょう。手も頭も、しっかりと使わないと理解できません。

 後半は第9章に入りました。運動機能に関する神経系のはたらきを、各機能の中枢部位のはたらきに注目して考えていきます。最初は脊髄と脳幹を考えます。この2つの部位を中枢とする運動機能のほとんどは反射であり、脳が介在することなくはたらきます。

 授業では反射に関する神経回路である反射弓の概略を説明しました。来週、そして年明けの授業ではこうした反射とその神経回路である反射弓を順に考えていきますので、その校正をよく頭に入れておいて下さい。また、最後に触れたように、最初に取り上げる伸張反射、拮抗抑制、自原抑制は筋や腱の感覚受容器が刺激を受けるところから始まります。これらの受容器についてもよく見直しをしておくように。

2017年度 第23、24回 平衡覚、可視光線の特徴、視覚

 先週の授業の記録を忘れていましたので、2週分を一緒にまとめます。

 平衡覚は大きく2つの受容器があり、それぞれが動的平衡と静的平衡を分担しています。ただ、有毛細胞を中心とした検知のしくみはよく似ています。半規管も卵形囊・球形囊も内腔は内リンパで満たされています。半規管は有毛細胞を覆っているクプラが慣性によって生じる内リンパの流れが感覚毛を動かします。卵形囊・球形囊では耳石膜の上に載っている耳石が頭部の動きに応じて移動することによって感覚毛を動かします。いずれにしても、感覚毛がある方向に倒れるとカリウムチャネルが開放して脱分極が生じ、反対方向に倒れるとカリウムチャネルが閉鎖して過分極が生じます。

 平衡覚の伝導路はかなり特徴がはっきりしています。第9章で運動機能について考えますが、この中で平衡覚と密接に結びついた反射をいくつか取り上げますので、そこで平衡覚の伝導路が一次中枢を経ずに運動機能と直接つながっていることが理解できると思います。

 特殊感覚の最後に取り上げる視覚は、受容器である視細胞の機能だけではなく、網膜に照射される光をどのように調節するかを一緒に考えますので、他の感覚よりも内容が豊富です。また、伝導路もやや複雑です。

 眼球の構造のうち、機能に直接関わる部分は説明しています。先週の後半と今週の前半で取り上げた遠近の調節と明るさの調節は、ともに水晶体とその周囲の構造が関わっています。解剖学で学んだ内容をよくおさらいしておきましょう。毛様体と虹彩は、ともに輪状筋と放射状筋よりなっています。毛様体については、特に輪状筋のはたらきによって水晶体の変化を考えました。また、虹彩は輪状筋(括約筋)と放射状筋(散大筋)の両方のはたらきによって、瞳孔の大きさの調節を考えました。これらの筋はいずれも平滑筋ですから、自律神経系(交感神経と副交感神経)によって支配されています。

 網膜の構造は、機能的に重要な視細胞層と神経節細胞層を中心によく見直しておきましょう。特に、光がどの方向に進行するのかを間違えないように。

 光に反応する視細胞の機能はやや複雑ですので、単純化して説明しました。順序よく現象を追いかけていけばそれほど難しいことはないでしょう。今回は杆状体細胞がどのように光に反応するかを考えました。ロドプシンは可視光線が当たっているか否かによって構造が変化し、杆状体細胞の状態を変化させます。視覚機能としては、この状態の変化が杆状体細胞に続く双極細胞、神経節細胞と伝えられて、視神経を介して視覚を生じさせることにつながっていきます。可視領域の中央付近の波長の光によく反応し、明暗の状態の変化を検知していると考えられます。したがって、もし私たちの網膜に杆状体細胞しかなかったならば、世の中は「白黒の世界」でしょう。

 錐状体細胞は、杆状体細胞のロドプシンにあたる視物質として、フォトプシンをもっています。特性の異なる3種類があり、1個の錐状体細胞は1種類のフォトプシンだけを発現しています。したがって、錐状体細胞にも特性の異なる3種類があります。この3種類の反応性の違いによって、私たちは色を感じています。

 来週は、色の感覚がどのように生じるかに触れた後、視覚の伝導路を取り上げます。さらに、後半は第9章に入ります。