第27回 脊髄反射、脳幹を中枢とする反射

 BCとAで進捗が異なりますので、両者を合わせた内容で記します。

 プリント中に「伸張反射」の記載が一部で「伸長反射」となっているところがあります。誤りですので訂正してください。たいへん失礼しました。


 自原抑制は腱器官が反応してはじめて生じる反射で、伸張反射を生じた同名筋を弛緩させる反射という意味で命名されています。伸張反射と連続して生じるということを頭に入れておくと、より理解しやすくなると思います。

 例に挙げた膝関節の伸張反射(膝蓋腱反射)・拮抗抑制に連続する膝関節の屈曲は、同名筋と拮抗筋をともに考えました。中枢である脊髄には興奮性介在ニューロンと抑制性介在ニューロンが存在し、感覚神経であるⅠb線維と運動ニューロンの間に介在しています。このことによって、拮抗筋が収縮するとともに、同名筋が弛緩します。

 誘発筋電図は実際に実験できるとよいのですが、簡単なものですからYouTubeなどで配信されているかもしれません。授業ではヒラメ筋を例にしましたが、他の筋でも同様のはずです。時間があれば探してください。

 H波は感覚神経が刺激されて反射弓と同様の回路を通じて生じている筋収縮を示していますが、M波は筋を支配する運動神経線維は直接刺激されて生じています。グラフに示された時間差に注目すると、反射経路がをインパルスが伝わる様子が想像できるかもしれません。

 屈曲反射と交叉性伸展反射は、それぞれがいくつかの筋の収縮、弛緩をともなう大きな現象です。この点では伸張反射、拮抗抑制とは異なります。反射弓もすべてを説明するのは難しいですが、
  屈曲反射は屈筋が収縮して伸筋が弛緩する
  交叉性伸展反射は伸筋が収縮して屈筋が弛緩する
と考えれば、両者が対側肢に対して同時に生じるものとして単純に理解できるでしょう。

 中枢では興奮性介在ニューロンと抑制性介在ニューロンが関わり、さらに、これらの介在ニューロンが髄節をまたいで感覚神経線維と運動ニューロンをつないでいます。

 皮膚反射の例は教科書にもいくつか示されていますので、時間のあるときにフォローしておきましょう。また、四肢間反射は歩行に関する脊髄の役割については2年生の運動学などで取り上げられるかもしれません。

 後半は囊を構成する部位の中で最も脊髄に近い脳幹を取り上げました。解剖学的には脊髄は大脳、小脳などに比べると特徴のない構造ですが、機能は多彩です。今日取り上げた運動機能だけではなく、自律機能の中枢として、また、高次機能にも関わっていますので、年明けの授業で順次触れることになります。

 脳幹が中枢としての役割を演じている運動機能として特に重要なのが、前庭を受容器とする反射です。嚥下なども医療的には極めて重要な機能ですが、姿勢の調節に関わる機能がまず第一でしょう。

 眼球運動はいろんなカテゴリーに分けて考えることができ、とてもすべてを説明することはできません。授業では前庭動眼反射と視運動性反応を取り上げました。

 具体的な反射弓はもちろんですが、まずはこれら2つの反射の相違点を押さえておきましょう。前庭動眼反射は、頭部の素早い動きに前庭器官、特に半規管が反応することによって生じます。一方、視運動性反応は、ゆっくりとしたまたは等速の運動に対して網膜が反応して生じる反射です。したがって、求心路は前庭神経と視神経という違いがあります。ただし、中枢以降、遠心路と効果器は同様です。前庭神経核から興奮性介在ニューロンと抑制性介在ニューロンを介して、外眼筋を支配する運動ニューロンが興奮または抑制された結果、筋が収縮または弛緩します。

 前庭動眼反射については、授業で説明した水平半規管が刺激を受容したモデルで、反射弓を考えてみましょう。

 姿勢を調節するしくみとしては、前庭頸反射と頸反射の2つを取り上げました。前者は前庭が受容器となり、効果器は頸筋です。後者は固有受容器が受容器となって四肢が効果器です。

 年明けの授業では
  3.脳幹による運動調節のうち、6.歩行運動の調節
は割愛します。そして、小脳、大脳基底核に入ります。それぞれの構造と機能の外力を頭に入れておきましょう。

第26回 視覚の伝導路、脊髄反射(伸張反射と拮抗抑制、自原抑制)

 今回ははじめに視覚の伝導路について、特に、左右の眼球からの視神経が視交叉でどのように交叉するのかについて説明しました。

 まず、見ている対象の像は網膜に上下左右が逆転した状態で映っていることをよく確認しておきましょう。ここがわかっていないと、交叉と一次視覚野へ投影の状態が理解できません。

 視交叉については異なった書き方の図を2つ載せていますので、どちらか自分のわかりやすい方を使って、声に出して説明してみましょう。途中でつかえるところがあるようなら分かっていないということです。

 左右の網膜から伸びる視神経のうち、いずれも内側(鼻側)が交叉をして対側の外側膝状体へ、外側(耳側)は交叉せずに眼と同側の外側膝状体へ入ります。この結果、左右の網膜に映っている右側視野(視野の右半分)の情報が左一次視覚野へ、左側視野(視野の左半分)の情報が右一次視覚野へ入ります。

 一次視覚野には網膜状の部位局在があることが知られています。詳細な説明は省きましたが、機会があれば資料を配付します。

 後半は運動機能、特に脊髄反射のうち伸張反射と拮抗抑制を取り上げました。

 脊髄の構造については各自でよく復習しておくこと。体性感覚の伝導路を理解する上でも必要でしたが、脊髄反射そして随意運動の伝導路を理解する上でも必須です。

 また、反射についても一般論の説明をしましたが、第9章で考えるのは体性-運動反射です。第10章「自律神経系の機能」で自律神経反射を考えますが、反射の一般論は全く同じですので、しっかりと頭に入れておきましょう。

 反射はいずれも反射弓を理解し、自分の言葉で説明できるようにしておくこと。特に、伸張反射は単シナプス反射であるため、中枢の構造が単純です。反射を理解していく上での基本です。一般的なセオリーとともに、今回の授業で説明した上腕二頭筋での伸張反射を具体的に説明できるようにしておきましょう。

 拮抗反射も同様です。屈筋と伸筋という互いに拮抗する関係にある筋の一方で伸張反射が生じれば、他方では拮抗抑制が生じているはずです。関節の動きを理解する上でも役立つことでしょう。

 屈筋と伸筋の説明はプリントにはまとめていませんが以下の通りです。

  屈筋:関節を構成する骨に対して、両骨間の角度を小さくする運動(関節が屈曲する運動)を行う筋.
  伸筋:関節を構成する骨において、両骨間の角度を大きくする運動(関節が伸展する運動)を行う筋.


 来週で年内は最後です。なんとか脳幹の機能を説明してしまいたいと思います。予習の範囲は
  2.脊髄レベルでの運動調節、(10)四肢間反射
までと、
  3.脳幹による運動調節、(3)脳神経が関わる反射
までです。

第25回 網膜の構造と視細胞の機能

 今日は視覚機能のうち、直接光に反応する視細胞を中心に取り上げました。

 網膜は色素上皮を除き、ニューロンが集まってつくられています。実際にはグリアもたくさんあるのですが、今回は特に触れませんでした。こうした構造からも想像できるように、網膜は神経系、特に脳の一部と考えることができます。実際、脳の一部が突き出すようにしてつくられていきます。

 中でも重要なのは視細胞と神経節細胞です。

 2種類ある視細胞は構造が大きく異なっているところから名付けられましたが、機能的にも違いがあります。桿状体細胞(桿体細胞)はロドプシンを持ち、可視光線が入射しているのか否かによって反応性が異なります。光が当たるとレチナールの構造が変化して、オプシンタンパク質も変化させて、桿体細胞内の状態を変化させます。この結果、ナトリウムチャネルが閉鎖し、細胞内が過分極または弱い脱分極状態となり、桿体細胞からの抑制性伝達物質の放出を抑制または減少させます。この伝達物質を受け取る双極細胞は興奮しやすい状態にあると考えておきましょう。そうすると、抑制性伝達物質の作用がなくなることによって興奮し、これが神経節細胞に伝わることによって視神経にインパルスが発生します。

 レチナールは色素上皮細胞が提供しており、ロドプシンが再生します。授業では触れませんでしたが、レチナールの元になっているビタミンAの摂取不足によってレチナールが不足し、この結果、ロドプシンの産生が低下すると、暗いところでの視覚機能が低下します。いわゆる「鳥目」です。

 錐状体細胞のもっている3種類のフォトプシンは、光があたったとき、ロドプシンとよく似た反応をします。しかし、それぞれ反応できる光の波長が異なっているため、眼に入る光の波長によって反応のしかたが異なります。この違いを脳が処理することによって、我々は異なる色を検知するがきます。

 錐状体細胞が網膜中心窩付近に集中しているのに対して、桿状体細胞は網膜の中心窩の外側に分布しています。この結果、中心窩付近は色彩感覚に優れています。同時に、視細胞の密度も高いため、周辺に比べると視力も高くなります。一方、周辺では桿状体細胞しかないため、明暗しか判別できません。先週取り上げた視野の図を見直してみるとわかりますが、色を判別できる視野は明暗を判別できる視野よりも小さくなっています。

 盲点は各自で試しておきましょう。ふしぎな気分になります。

 フォトプシンと色覚に関しても遺伝子の発現や変異の問題を詳しく取り上げられると、より理解が進むと思いますが、時間の都合で割愛しました。色のシミュレーターはここにあります:https://asada.website/cvsimulator/j/index.html

 来週は第9章に入ります。運動機能について4〜5回にわたって考えます。来週は脊髄を中枢とする反射について取り上げますが、脊髄の構造を復習しておきましょう。また、最初に取り上げる伸張反射は筋紡錘を受容器としています。体性感覚のうちの深部感覚あるいは固有感覚の受容器として取り上げました。ここも見直しておきましょう。さらに、伸張反射として上腕や大腿の筋の反射を例に挙げます。プリントには上腕と大腿の筋についても簡単に図をつけて説明しましたので、ここもよく見ておきましょう。