第31回 自律神経系による器官機能の調節

最終回でしたが、残った範囲が広いためかなり駆け足で説明することになりました。『読んでおいて下さい』とか「みておいて下さい」という部分が多かったのですが、本当に自分でよくみておいて下さい。プリントは要点をまとめるという性格上、箇条書きが多いためわかりにくいところがあると思います。全体を理解してから、改めて1度は自分が講義をするようなつもりで、声に出して説明をしながら見直すと、自分の分かっていることと分かっていないことがはっきりすると思います。

さて、今回は自律神経系、特に2つの遠心性神経による器官、器官系の機能の調節について取りあげました。交感神経と副交感神経は常時自発的に活動しているため、両者によって二重支配されている器官に対しては、2つの神経系のうちより優位に活動している神経系の作用が発揮されます。そして、2つの神経系に作用は互いに拮抗しています。

交感神経系は全身性に作用を及ぼし、より代謝が盛んになるように、つまりATP産生やエネルギー消費を増大させるように働きかけて身体活動を支援すると同時に、エネルギー貯蓄を促進するような機能を抑制します。一方、副交感神経系の作用は交感神経系の作用に比べると限局しており、身体のエネルギー消費を抑制するため、身体活動を活発にするというよりもリラックスした状態をつくり出そうとします。このとき、全身の器官ではエネルギー貯蓄を促進するような機能が促進しています。

プリントにある表を見ながら、伝達物質/受容体の組み合わせと一緒に、各器官、組織ごとによく考えてみましょう。

交感神経系と副交感神経系のさまざまな器官、組織への作用、効果については国試でも必ず問われます。授業中にも触れましたが、けっして丸暗記しようとするのではなく、それぞれの神経系のはたらきから出発して、各器官、組織の機能と結びつけて考えられるようにしましょう。

後半では自律神経系の中枢、特に脳幹と視床下部について考えました。

脳幹にある中枢の多くは生理学Ⅱ&Ⅳで学んだ内容ですが、循環器系、呼吸器系、消化器系などがどのような神経性調節を受けているのか、中枢の機能という観点から改めて見直しておいて下さい。多くは感覚受容器から内臓求心性神経(感覚神経)を介して中枢へ興奮(情報)が伝わり、交感神経あるいは副交感神経を介して効果器であるさまざまな器官、組織が反応する反射です。今回説明できませんでしたが、第10章の最後に簡単に触れている内臓-内臓反射、つまり求心性神経と遠心性神経がともに自律神経系である反射です。

視床下部の機能はこれまでに学ばなかった内容があったかもしれません。体温調節や飲水中枢の機能などはこれまで他の科目で学んだ内容と合わせて考えられるようにしておきましょう。また、概日リズムや摂食(満腹・空腹)に関する中枢の機能はまだよく分かっていないことが多く、現在活発に研究が進められています。今後、ニュースや新聞などでも新しい知見が報告されると思いますので是非注目をして下さい。

第30回 大脳皮質の機能と随意運動の伝導路、色覚

今回は運動機能の調節のうち、大脳皮質の運動性皮質とそこからの伝導路について取りあげました。

運動性皮質は大きく3つの領野に分けて、その機能が調べられています。一次運動野の機能はかなりはっきりとしていますが、それに比べると運動前野と補足運動野は曖昧です。

運動前野と補足運動野について最新の研究成果を十分にフォローできておりませんが、両者がそれぞれ異なった機能を持ち、一次運動野から出力される情報をつくる立場にあることは間違いなさそうです。国試で問われることはないでしょうが、さまざまな障害を持つ患者さんの症状を理解する上で必要な知識だと思います。是非自分なりに勉強する時間をつくるようにして下さい。

一次運動野は中心前回にあり、一次体性感覚野と中心溝をはさんだ位置にあります。その特徴は一次体性感覚野と同様で、対側を支配し、体部位局在も全く同じように並んでいます。この後で取りあげた伝導路と合わせて理解して下さい。

中心前回のうちで大きな部位を割り当てられている体部位の筋に対して、より多くの運動ニューロンからの神経線維が分布しています。そして、これら運動ニューロンに対して、一次運動野の広い領域=多量のニューロンからの神経線維が接続していることになります。

また、一次運動野と一次体性感覚野の違いを挙げておくと、一次運動野では大脳皮質外側下部(側頭葉との境界に近い部分)に、"Vocalization=発声"、"Salivation=流涎(りゅうせん)"、"Swallowing=嚥下"、"Mastication=咀嚼"などの機能による割り付けがされていることです。全体の中でかなり大きな部位が割り当てられていますが、ヒトにとって顎や舌などを使った一連の運動が以下に重要であるか、あるいは大きな意味を持っているのかを示しています。

随意運動の伝導路である皮質脊髄路と皮質延髄路もこの一次運動野から発しています。っぷりんとの図をよく見ると分かりますが、皮質脊髄路は頭頂部付近、すなわち体幹や四肢に対応する領域から発し、皮質延髄路は下部、すなわち顔面から下顎、頸部にかけてに対応する部位から発しています。一次運動野の領野の面積=ニューロンの数とすると、上にも記したようにそれぞれの部位から発する伝導路の規模を推し測ることができると思います。

皮質脊髄路と皮質延髄路の走行についてはプリントの図の通りです。1度自分で図を描いて頭に焼き付けておきましょう。

最後に色覚について簡単に説明しました。網膜・錘状体細胞の特性を理解してもらえればと思い取りあげたのですが、時間も少なくかえってわかりにくくなったかもしれません。色盲が生じるメカニズムについては多少なりとも遺伝学を理解していないとわかりにくいと思います。次回(木曜日)に追加プリントを配布します。説明する時間はありませんが、1度自分で考えてみて下さい。

次回はカリキュラム上はエキストラです。内容は重要ですが、気楽にやりましょう。

第29回 脳幹と小脳、大脳基底核の機能

期末試験の結果を返却できず申しわけありませんでした。

さて、今回は運動機能の中枢のうち、脳幹の姿勢調節をはじめに取り上げました。やや舌足らずな説明になってしまいましたが、それぞれがどのような刺激によって身体のどの部分が反応するのかを理解しておきましょう。2年生でもう少し詳しく勉強できると思いますが、生理学では受容器の性質や反射弓をよく見ておいてください。

小脳と基底核についてはやや抽象的な説明しかできませんでした。将来、いろんな運動失調をもつ患者さんと出会うことになると思いますが、原因に対する知識の幅が広いほど治療の幅も広がると思います。是非いろんな自分で異論案問題を設定して考えてみてください。

授業の最後でジストニアという疾患について取り上げました。以前に
ここで少し紹介しましたので、時間のある方はご覧ください。