第30回 自律神経系の中枢

試験前最後の授業でした。やや駆け足になったところもありますが、試験勉強に資することを中心に要約してみます。

はじめに取り上げた交感神経系と副交感神経系の伝達物質、受容体は、名称や分布は必ず頭に入れておくように。これらは何を考える上でも前提です。その上で、同じ伝達物質、アセチルコリンやノルアドレナリンがある場合には興奮性に作用し、別のある場合には抑制性に作用するということを理解しておくことが重要です。具体的には代謝調節型受容体のしくみに依存しますので、詳細は省きます。アドレナリン受容体であれば、受容体のタイプによって興奮性に作用するか抑制性に作用するかはおおよそ決まっていますのでわかりやすいでしょう。

自律神経系の中枢として取り上げた脳幹、視床下部、そして大脳辺縁系はそれぞれ機能に特徴があります。よく整理しておきましょう。

脳幹、特に延髄には重要な自律機能の中枢が集中しています。授業では循環器系の中枢としてのはたらきを中心に説明しましたが、血圧の調節はいずれも「反射」です。したがって、運動機能の反射で取り上げたように反射弓があります。刺激(血圧の上昇または低下)、受容器(主に大動脈弓と頸動脈洞の圧受容器)、感覚神経(内臓求心性神経としての迷走神経と舌咽神経))、中枢(延髄)、遠心性神経(交感神経と副交感神経)、効果器(心臓の場合は心筋、血管の場合は平滑筋)というように、整理して考えればそれほど難しくはないでしょう。

化学受容器やその他の受容器に対する刺激と循環器系、呼吸器系の反応も同様です。

消化機能の中枢として3つの機能を取り上げましたが、今後の勉強や臨床的な応用を考えると嚥下反射はしっかりと理解しておく必要があるでしょう。

排尿反射は、3つの遠心性神経にの作用だけを取り上げましたが、膀胱・平滑筋がもつ伸展受容器からの情報は骨盤神経を通って脊髄に入る感覚神経によって伝えられています。副交感神経も同様に骨盤神経、交感神経は下腹神経、運動神経は陰部神経を通っています。

対光反射は後期の主題である感覚機能、運動機能、自律神経機能のいずれにも関わっている現象(反射)です。反射弓を中心に改めて見直しておくように。

視床下部の機能は非常に幅が広く、それぞれ切り離して頭に入れようとしてもなかなか大変です。体温調節中枢、飲水中枢、摂食中枢としての機能は、それぞれ、他の科目で学んだ内容とオーバーラップしているところがあるはずです。一緒にして考えると分かりやすくなると思います。内分泌はまだ十分に習っていないクラスもあるようですが、下垂体前葉で産生・分泌されるホルモンの作用を考える上で視床下部から分布されるホルモン(放出ホルモンと抑制ホルモン)のはたらきは必須です。また、下垂体後葉から分布ッされる2つのホルモンも視床下部で産生されています。しっかりと区別して頭に入れておきましょう。

ホルモンそれぞれの名称や略号、産生部位と作用を知っておくのは当然として、内分泌で最も理解すべきことは、ホルモンの分泌に関するネガティブ・フィードバック機構です。甲状腺ホルモンやグルココルチコイドなどが分かりやすいと思いますが、この仕組みを理解する上で視床下部、下垂体の関係をよく理解しておく必要があります。

最後に、視床下部はその上位に位置する大脳辺縁系とともに本能行動や情動行動の制御に関わっています。具体例は授業でいくつか説明しましたが、感情的な変化や侵害刺激などを含めたさまざまな刺激が視床下部や大脳辺縁系の機能に影響を与え、その結果、交感神経系と副交感神経系のバランスが決まり、自律機能が変化します。

第29回 大脳皮質、伝導路、自律神経頚の機能

先週は最初に運動機能に関して最も高次の調節を行っている大脳皮質(新皮質)の機能を考えました。

運動性皮質ともいい、一次運動野、運動前野、補足運動野に分けられます。それぞれの機能の違いと特徴を簡単に説明しましたが、相違点はサルを使った実験などで具体的に考えました。改めて自分なりによく考えてみてください。また、一次運動野の支配の特徴は、一次体性感覚野と非常によく似ています。ともに、大脳皮質の機能を考える上で必須です。いずれも自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

あわせて、運動機能を支配する伝導路も概説しました。特に、錐体路は脊髄の下行路に対する理解という点で重要です。皮質脊髄路は大きく2つに分けられますが、支配する筋の部位、交叉する部位の違いをしっかりと説明できるようにしておきましょう。また、皮質脊髄路と皮質延髄路の違いも重要です。体性感覚の伝導路とよく似ていますね。

後半では、自律神経系の機能について復習をかねて取り上げました。交感神経系と副交感神経系による器官機能の調節は前期にも取り上げましたが、これまでに学んだことを踏まえて、改めてよく見直しておきましょう。プリントの最後の表を参考にしてください。

来週は、自律神経系の中枢である脳幹と視床下部、そして大脳辺縁系の機能について取り上げます。これらの説明も、生理学Ⅱ&Ⅳで学んだことがベースになっています。これらもプリントの表を見ながら思い出しておきましょう。

後期試験の範囲は、後期の始め、筋線維の種類から今度の授業で進んだところまで(たぶん、自立神経反射は入りません)です。

第7回小テストの解答の訂正

年末に実施した小テストは模範解答を配布しましたが、一部に誤りがありましたので訂正します。

音の大きさは空気の振動の圧力で決まり、音圧の大きさを示す単位を(② デシベル )という。また音の高さは振動の周波数で決まり、1秒間に振動する回数を(③ ヘルツ )という単位で表す。

第27回、第28回授業の記録

今年に入ってから2回分の授業をまとめてみます。

 脊髄が中枢として関わっている運動機能はすべて反射です。しかし、おおざっぱに反射弓の構成だけで分類してもたくさんありますが、ここの受容器や効果器ごとに分け出すときりがないでしょう。授業では、反射がどのようなもので、反射弓の構成はどうなっているのかを理解してもらう手がかりになり、なおかつ、脊髄反射として重要なものをモデルとして取り上げました。主に体性感覚で取り上げた感覚神経が関わった反射です。
 伸張反射と拮抗抑制、そして自原抑制は同時にまたは連続して生じる反射であり、伸張反射が唯一の単シナプス反射であるという点でもわかりやすいため、必ず取り上げられます。臨床的にも検査によく利用されています。
 詳細はくりかえしませんが、はじめにそれぞれの反射の刺激とそれによってどのような反応が生じるのかを押さえた上で、反射のもつ意味や意義を持っているのか押さえておきましょう。例えば伸張反射であれば、筋長が瞬間的に延びたことに反応して同名筋が収縮する反射であり、筋の長さを一定に保つことによって筋の損傷を防ぐためのフィードバック作用を果たしている、ということです。その上で、それぞれの反射弓を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
 また、屈曲反射と交叉性伸展反射も日常的に経験するものであり、反射弓もそれほど理解する上で難しいものではないでしょう。伸張反射などに比べると、髄節間反射であること、または、脊髄で交叉している反射であることなどが反射弓を複雑にしていますが、図を見ながら考えてみましょう。

 脳幹は脊髄と同様に反射の中枢という形で運動機能を担っていますが、やはり脳の一部であるだけに、脊髄よりはやや複雑です。角膜反射などの反射弓の構成は単純ですが、眼球運動を担う前庭動眼反射や視運動性反応、頭部の運動が関わっている前庭頸反射や頸反射などの反射弓はかなり複雑な構成です。
 授業では特に眼球運動を重視して、前庭動眼反射と視運動性反応の反射弓を説明しました。いずれも、特殊感覚で取り上げた感覚神経が求心路とする反射です。前庭神経と視神経を求心路として眼球を回転させるために筋が反応する反射です。反射の反応はよく似ていますが、何を刺激とするかが異なります。生体がもつ調節機能の妙とでもいうべきでしょうか。
 また、対光反射は遠心路が副交感神経であるという点で、今回取り上げた他の反射(今回取り上げた反射の遠心路はすべて体性運動神経です)とは異なっていますので、注意してください。

 小脳は、運動に関する学習・記憶、そして随意運動を協調させる機能について説明しました。いくつか例を挙げて説明しましたが、私たちが当たり前のようにしている動作にもみごとな調節機能が働いています。。生理学でも、もっと詳しく説明するべきなのでしょうが、与えられた時間と自分の理解の程度では限界があります。臨床の授業では、小脳の障害に関して詳しく取り上げられると思いますので、具体的な症状を知ると、果たしている役割の大きさがより理解できると思います。

基底核は、解剖学的な構成がそのまま生理学的な機能に結びついていないため、ややわかりにくかったかもしれません。内的情報に基づいた運動の発現や遂行、終止を制御するために機能する神経核の集団というように理解した方がいいかもしれません。この神経核集団に対する入出力と神経核相互のネットワークは図に示したとおりで、これをこのまま覚えようとしても無理ですが、疾患によって障害された場合にどのように変化してしまうのかを、図を見て考えるようにしましょう。
 授業で説明したパーキンソン病は教科書にも取り上げられていますが、非常に有名な疾患です。病理学的な症状とそのために神経回路がどのように変化してしまうのか、ゆっくりと考えてみましょう。プリントでは他にもいくつかの疾患を取り上げました。余裕のあれば、是非自分で文献を当たって勉強してください。

教科書に取り上げられていても授業で説明しなかった反射がいくつかあります。国試でも時折出題されていますが、今回授業で取り上げた反射についてしっかりと理解していればいずれも簡単に正答できます。基本的な内容をしっかりと身につけておくことが大切です。