2017年度 第29回 錐体外路、 自律神経系の特徴

 期末試験前最後の授業はやや駆け足になりましたが、重要なポイントはすべて説明しました。

 運動機能を調節する伝導路は、先週の授業で取り上げた錐体路系が何よりも重要です。錐体外路系はもう少し時間に余裕があれば説明できたのですが、今回は名称とルートの概略の説明だけにしておきます。錐体外路に障害が生じたときの症状は臨床で取り上げられると思いますので、よく勉強して下さい。広くは大脳基底核の障害も含めて考えます。

 今回の授業の中心は自律神経系、特に伝達物質と受容体、さらに中枢の機能です。

 遠心性神経ではたらく伝達物質はアセチルコリンとノルアドレナリンの2種類のみです。具体的にどこで作用するかはよく確認しておくこと、さらに、受容体の特性、特に交感神経と副交感神経の表手吉間、組織の細胞がもっている受容体はすべて代謝調節型です。したがって、器官、組織によって興奮性に作用する場合と抑制性に作用する場合があります。プリントの一覧表とこれまでに生理学2&4で学んだ内容を手がかりに、よく見直しておくこと。

 授業では、特に交感神経系の作用について、受容体の種類や分布を広くまとめて説明をしました。交感神経系が優位なときの状態がしっかりと考えられれば、全体の仕組みがよく理解できると思います。

 後半では、自律神経系の中枢である脳幹と視床下部の機能をいくつか抜粋して説明しました。それぞれの部位の役割と、授与期・感覚神経からの情報を受けてどのような調節が起こるのかを一つ一つ確認しておきましょう。心臓や血管の機能、対光反射、体温調節、血糖値などの調節などは交感神経系と副交感神経系の役割分担がはっきりとしています。摂食や飲水に関しては内分泌系との関わりも重要ですが、視床下部が中枢としての役割を果たしていることをよく頭に入れておきましょう。

後期試験の試験範囲について

次回の授業は後期試験期間が始まる前日です。前回の授業で確認しておかなかったのですが、後期試験の範囲は、後期の授業の始まりから次回25日の授業で取り上げたところまでです。

満遍なくすべての範囲を含むわけではありませんが、それぞれの重要なポイントをしっかりと押さえておくように。今更言うまでもありませんが、試験というものは、多くの項目の中で重要な点について、いくつかを代表させて問うものです。

もちろん、来週の授業内容も重要なポイントの1つです。

2017年度 第28回 大脳基底核、大脳皮質、随意運動の伝導路

 今回は大脳の運動調節について、2つに分けて考えました。

 まず、やや不正確ではありますが「大脳基底核」として基底核とその周辺の神経核によって構成される神経回路の機能を取り上げました。神経回路のつながり方を全部説明できる必要はありませんが、線条体へ入力した情報が直接経路と間接経路に分かれて出力部である淡蒼球内節・黒質網様部へ作用して、視床へ出て行きます。直接経路と間接経路は出力部に対する作用が正反対になっているため、この2つの経路のバランスによって基底核は運動を調節しています。

 授業ではパーキンソン病とハンチントン病の例を挙げて、どのようにしてこのバランスが崩れていくのかを考えました。順序立てて考えていくということがどういうことかを学んで下さい。また、これらの疾患については病理や臨床(神経内科)の講義で学ぶことになるでしょう。

 大脳皮質はさらに高次の調節機能を発揮するとともに、一次運動野からは脳幹と脊髄のα運動ニューロンへ指令を出しています。α運動ニューロンは下位運動ニューロン記述した部分もあります。また、α運動ニューロンは骨格筋を直接支配するニューロンです。しがたって、骨格筋は一次運動野からの指令によって収縮、弛緩していると考えます。

 一次運動野の特徴は、すなわち、全身の骨格筋ごとの特徴を物語っています。一次体性感覚野の特徴とも非常によく似ていますので、理解しやすいでしょう。どちらも大脳皮質と末梢の機能の関係を考える上で非常に重要な点です。どちらを問われてもしっかりと説明できるようにしておきましょう。

 最後に、この一次運動野からα運動ニューロンへの伝導路を取り上げました。大きく2つの伝導路、皮質脊髄路と皮質延髄路に分けられます。皮質脊髄路が錐体を通過していることに代表させて、随意運動を支配する伝導路ということで、両者を合わせて錐体路または錐体路系とよびます。皮質脊髄路はさらに2つに分けられますので、錐体路系は3つの名称を挙げました。それぞれのルートがどうなっているのか、さらに、これらがどの部分の骨格筋の運動を支配しているかをしっかりと確認しておきましょう。特に皮質脊髄路の2つは必ず自分で図を描いて、必要事項を書き込むなど、手を動かして頭に入れること。

 来週は錐体外路について簡単に触れた後、第10章自律神経系にすすみます。構造は解剖学で学んだともいます。また、基本的な構成と機能は前期に説明しましたので、今回は遠心性神経の機能について、伝達物質と受容体を通して考えます。同時に、脳幹と視床下部にある自律神経機能の中枢についても解説します。生理学2&4でも器官の神経性調節としてたびたび取り上げられ、後期の試験範囲とも重なっていると思いますので、復習をかねて進めます。

2017年度 第27回 脳幹による運動調節と小脳の機能

 年明けの第1回目でした。試験も迫った中野で短い冬休みでは、それほど頭を切り換えることも難しかったのではないでしょうか。運動機能の調節という点では年末の授業からの継続で、引き続き反射について考えました。

 授業でも触れたように、脳幹から直接出ている運動神経はすべて脳神経に含まれているため、支配している骨格筋の部位は限られています。ただ、脊髄に向かった下行路もあるため、姿勢の調節には全身性の反応も含まれます。大きくイメージをつくった上で、考えるようにしましょう。

 授業で割愛した嚥下反射は消化器で学んだ内容です。[反射]についての説明がどの程度あったのか分かりませんが、体性運動神経だけではなく自律神経系も関わった反射ですので、合わせて別の機会に取り上げたいと思います。

 脳幹の機能の中で眼球運動や頭部の運動に関わる調節は大きなウェイトを占めていますので、時間をかけて説明しました。脊椎動物では頭部(あるいは体幹を含めた頭部側)が動くことに対して、眼球が独立して運動することができます。したがって、頭部や体幹が運動する中でも視線を一定に保つことができます。視覚機能を生かす上で必須の機能でしょう。これを保証しているのが前庭動眼反射です。

 反射弓は、脊髄反射で考えた神経回路よりもやや複雑です。プリントの説明を見ながらよく考えてみましょう。拮抗抑制などの多シナプス反射を理解する上で良い参考になると思います。

 姿勢を維持するための反射も、受容器の違いはあるにせよ脳幹が中枢とした神経回路によって成立しています。前庭が刺激を受けた場合と固有受容器が刺激を受けた場合を一例ずつ取り上げました。身体の運動を無理なく遂行する上でも有効に活用できる場合がありますので、興味があれば是非深く調べてみましょう。

 小脳については簡単な説明しかできませんでした。随意運動を協調させる、運動を学習し記憶させるなどの役割に注目して、研究上は非常に興味を持たれている器官です。逆に、障害を受けた場合には平衡障害や推尺異常などの運動機能障害(運動失調と呼ばれます)を生じます。神経内科で学ぶと思いますが、治療的にはかなりの困難を伴う症状のようです。

 次回は大脳の機能と大脳から脳幹、脊髄の運動ニューロンへの伝導路を取り上げます。