第13回 神経系の基礎

夏休み前最後で、神経系について一通りまとめてしまいたかったのですが、やや時間が足りませんでした。

今回のポイントは
・神経伝達物質とその受容体の考え方理解する。
・神経回路の考え方を理解する。
・自律神経系、特に遠心性神経である交感神経と副交感神経の構造的な特徴を理解する。
という3点です。

授業の中で具体的に取り上げる神経伝達物質はそれほど多くありません。まずは今回説明したアセチルコリンや自律神経系ではたらくノルアドレナリン、さらに前回の授業で名前を出したグルタミン酸やグリシン、GABAでしょうか。また、後期以降には中枢で作用しているドーパミンやセロトニンなども取り上げますが、出てきたところでしっかりと頭に入れていけば十分です。ただし、シナプスの構造と機能、受容体の機能と作用はしっかりと理解しておいて下さい。

受容体は作用のしかたによって2種類に分類できます。説明がやや複雑になってしまいましたが、わかりやすいイオンチャネル型受容体の働き方については必ず理解をして下さい。これが分からないと、伝達物質と受容体の関わり方が理解できないままになってしまい、シナプスの機能を理解することはできません。

シナプスには興奮性シナプスと抑制性シナプスの2種類があります。プリントにも何カ所かでまとめていますが、興奮性ニューロン、抑制性ニューロン、興奮性伝達物質、抑制性伝達物質という用語とあわせて、その意味をよく理解しておいて下さい。神経回路を考える上では、これらの理解が必須です。

神経回路は、いくつかの種類を取り上げて説明しました。特に、一緒に考えた2シナプス結合の4つのパターンが基本です。最初のニューロンが興奮することによって順にどのような現象が生じるのか、あるいはどのように作用が発揮されていくのはを自分の言葉でしっかりと説明できるようにしておいて下さい。

後半で、体性神経系と自律神経系について概観しました。体性神経系の作用は、感覚器系(感覚受容器と感覚神経の機能)や運動器系(骨格筋とそれを支配する運動神経の機能)の一部として後期のテーマです。解剖学では構造を中心にして学んだと思います。構造は機能を反映していますし、構造を無視して機能を考えることもできません。後期試験に向けた勉強という意味もありますが、夏休みによく復習しておいて下さい。

さて、自律神経系はその名の通り、自律機能を調節する神経系です。今回は構造について簡単に説明しただけでしたが、機能的には循環器系や呼吸器系で神経性調節としてすでに説明を受けている内容でもあります。すでに学んだ循環器系に関する知識をいくつか質問しました。その場でぴんとこなかった場合にはできるだけ早く見直しておくといいと思います。

自律神経系の機能として全体に共通する内容は夏休み明けの授業で説明をしますが、生理学2の復習を進める上では、自律神経系の機能が分かった方が理解しやすいと思いますので、余裕がある場合にはプリントや教科書をよく読んで参考にして下さい。

第12回 興奮の伝導と伝達

今週は神経系の構造と機能を考える上で重要な興奮の伝導と伝達について改めて取り上げました。

興奮の伝導は、神経線維の種類によって逐次伝導と跳躍伝導に分けられます。授業中にも説明したように、生物にとっては、あらゆる意味において跳躍伝導のほうが有利であると考えられます。したがって、脊髄を上下に走っている(伝導路を構成している)線維などのように長い神経線維には主に有髄線維が利用されています。また、次回の自律神経系の構成のところで、両方の使い分けに簡単に触れます。

跳躍伝導のしくみは、厳密にはまだ分かっていないこともあるようですが、逐次伝導との違いが分かればいいと思います。そして、興奮伝導の3つの原則は跳躍伝導にも逐次伝導にも当てはまることで、よく理解しておいて下さい。

有髄神経線維の活動電位で誤っている記述はどれか。(2009)
1
.両方向へ伝導する。
2
.絶縁伝導する。
3
.ランビエの絞輪で発生する。
4
.振幅は伝導中に変化する。
の様な問題も、過去に出題されています。(「振幅」とはグラフの縦軸方向の大きさの変化、つまり活動電位の電位変化の大きさの幅のことです。言い換えると、脱分極によって大きく正方向へ変化したときのトップの電位がどれくらいであるかということです。)

同時に、神経線維を伝導速度で分類したときの分類のしかたと名称はしっかりと頭に入れておいて下さい。次回の授業でも名称を使って説明します。また、後期に取り上げる感覚器の構造では、ほぼすべての神経線維の名称が出てきます。そのときに戸惑わないようにしておいて下さい。

興奮の伝達については、前回大まかなしくみを説明しました。今回は興奮性シナプスと抑制性シナプスの2種類の特徴をそれぞれ説明しました。自分なりにいくつかの用語や概念を整理してまとめてみるといいと思います。

興奮性シナプスについて、
興奮性ニューロン、興奮性伝達物質、興奮性シナプス後電位 
の3語を使ってうまく説明できるでしょうか?

伝達のしくみを考えるときには、シナプス後細胞で興奮性シナプス後電位と抑制性シナプス後電位が加重されて、シナプス後細胞のふるまいが変化するということをよく理解しておいて下さい。プリントにあるグラフを見ながら、自分で説明できるかどうか、試みて下さい。

夏休みレポートの課題図書の見本は二村先生にお預けしましたので、必要があれば申し出てください。また、まとめている途中で分からないことがあればいつでも質問してください。

第11回 興奮の伝達、ニューロンとグリア

先週に引き続き、やや盛りだくさんでしたが、ニューロンの構造と機能をいくつかの側面から考えてみました。

神経系の構成を忘れることはないと思いますが、解剖学で学ぶ内容との間でしっかりと整合性がとれるようにしておいて下さい。特に、脳神経は、神経ごとにどのような性質の神経を含んでいるのかが異なっています。まずは丸暗記もやむを得ないかと思いますが、学んでいくにしたがい、改めて確認するようにしましょう。

中枢神経系である脳や脊髄はニューロンの集合体です。これに対して、末梢神経系は脳や脊髄から伸びた神経線維で構成されます。したがって、求心性神経からの情報が中枢神経系に伝えられるということは、求心性神経の神経線維を伝導してきた興奮が脳や脊髄を構成するニューロンに伝達されるということです。そして、脳や脊髄が統合機能を発揮して、命令内容が決まると、脳や脊髄を構成するニューロンの興奮が運動神経や交感神経、副交感神経に伝達されて、さらにこれら遠心性神経の神経線維を興奮が伝導し、標的である器官に伝達されます。

神経系の構成とあわせて具体例を挙げてみると、
循環器系では、大動脈弓や頸動脈洞にある圧受容器がそこを流れている血流の圧変化を検知しています。具体的には圧が高くなることによって血管壁を構成する平滑筋が伸展しして、求心性神経を興奮させます。大動脈弓や頸動脈洞にある圧受容器からの内臓求心性神経は、それぞれ迷走神経と舌咽神経に含まれていて、心臓機能に関する中枢である延髄に達します。つまり統合機能を発揮する場は延髄にあり、血圧が高いことが検知されると、血圧を低下させるために、副交感神経によって心臓、特に洞房結節や房室結節に作用して心拍を低下させます。この心臓に伸びる副交感神経は迷走神経に含まれています。

神経線維は授業で説明したように、構造的に2種類に分類できます。来週の授業で取り上げますが、この2種類で興奮の伝導のしくみが異なっています。つまり、構造の違いが機能の違いをつくっているということです。今回説明した髄鞘やランビエ絞輪についてよく見直しておいて下さい。