第14回 自律神経系の構造と機能

夏休み前最後の授業で、自律神経系について概観しました。すでに学んでいる循環器系や呼吸器系、消化器系の機能調節を理解する上でも重要な考え方です。今回の内容を手がかりに一つ一つ具体的に見直してみましょう。

自律神経系の求心性神経である内臓求心性神経は、様々な感覚受容器から中枢へ伸びている神経に対する総称です。具体的に各受容器や伝える情報の性質によって名称が付されているわけではなく、解剖学的に独立しているわけでもありません。授業で触れたように、すべてが脊髄神経や脳神経に含まれています。したがって、器官系の神経性調節に関わる受容器からの求心性神経がどの神経に含まれているのか、一つ一つ確認しましょう。

自律神経系の機能を理解する上では遠心性神経の働きを考えることが中心です。したがって、交感神経と副交感神経の構造や作用、器官機能の支配に関する特徴をしっかりと復習しましょう。

交感神経系と副交感神経系がともに2種類のニューロン・神経線維がシナプス伝達によって連絡し、標的器官・組織に分布しているます。それぞれの部位で利用される伝達物質と合わせて必ず頭に入れておいてください。受容体についても学ぶべきことは多いのですが、詳細は後期の最後に取り上げます。そして、それぞれが優位に作用したときに各器官、組織がどのような作用を発揮するのかを理解しておくことが最も重要で、国家試験でも高頻度で出題されています。これらは丸暗記する、あるいはできるものではなく、各器官、組織の機能と交感神経系、副交感神経系の作用を十分に理解した上で考えられるようにしましょう。

ところで、夏休みのレポート課題の文献は決まりましたか?シリーズ全体としては人体のほぼすべての機能に関するテーマが採られていると思います。書店にどの程度並んでいるのかによって実物を手に取れるかどうかはわかりませんが、Webサイトなども参考にしながら興味あるテーマを見つけてください。読解力は人によって差があるため一概に言えませんが、私が同じ課題に取り組むなら少なくとも3回、場合によっては5回くらい読まないと納得のいくレポートは書けないと思います。わからないことがあればいつでも質問していただいてかまいませんが、じっくりと時間をとって取り組みましょう。

第13回 興奮伝達の加重、神経伝達物質と受容体、神経回路、体性神経系

今週の中心は神経伝達物質と受容体、そして神経回路です。いずれもシナプスの性質、つまり興奮性シナプスと抑制性シナプスがどのようなものであるかを理解していることが前提です。何事も積み重ねですから、自分が何をどこまで理解しているのかを自分で判断して、必要に応じて振り返りながら進めてください。

さて、今後の勉強に必要な神経伝達物質はプリントにまとめました。うっかりとスライドを準備し忘れたため、やや説明不足になりましたが、プリントp124からp128までをよく見直してください。授業中にナメをあげた伝達物質についてはそれぞれの名称をよく頭に入れておいてください。今後、何度か出てくると思います。また、国試でも問われたこともあります。伝達物質と受容体の関係は「特異的」であるといいます。他では使わない言葉ですが、生理学や生化学など分子レベルで現象を考える分野ではよく使われています。生理学4で学ぶ免疫系の作用でも、抗体と抗原の関係として考えるときがあると思います。

受容体の仕組みについては神経筋接合部の機能や後期の感覚器系の中でも触れることがありますので、今のうちによく理解しておいてください。

神経回路は化学シナプスの仕組みがわかっていればそれほど難しくないはずですが、考え方はそれほどなじみのあるものではないでしょう。とはいっても、簡単な数学のようなもので、単純な論理学です。物事を順序立てて考えていくためのトレーニングと思って根気よく取り組んでください。こういうものの考え方がスムーズにできるようになると、生理学のような「仕組みを理解する」ことが苦ではなくなるのではないでしょうか。

来週で夏休み前の授業は終わりです。9月には2回あるだけ。レポートも含めて、疑問があれば今のうちに解決しておいてください。

先週紹介した夏休みのレポート用の参考文献は二村先生にお預けしましたので、ひつようであればみせてもらってください。

第12回 神経線維と興奮の伝導、シナプスでの興奮の伝達

やや遅くなりましたが、先週月曜日の授業の要点をまとめてみます。

解剖学でも学んでいるように、神経組織の構造はニューロンの細胞体や樹状突起などが多く集まっている部分と神経線維、特に有髄線維が多く集まっている部分では見た目が異なります。さらに、機能を考える上でも、両者は区別した方がわかりやすいことが多いため、灰白質と白質をしっかりと区別して考えます。脳と脊髄でそれぞれどこが灰白質で、どこが白質であるのか、自分で図を描いて頭に入れておきましょう。

神経線維は髄鞘の有無によって分けますが、互いの構造の違いを伝導の仕組みの違いに結びつけて理解しておきましょう。そうすれば、伝導速度による詳細な分類も単に名称だけの問題です。

化学シナプスでの興奮の伝達という現象に対する理解は、生理学を学んでいく以上、あらゆる場面で必要です。すでに心臓や血管の神経性調節について学んだと思いますが、ここでも興奮が伝達されて初めて効果が発揮されます。興奮性シナプスと抑制性シナプスの違いは、シナプス後細胞にどのような変化が生じたかによって生じます。脱分極と過分極という現象について不確かな場合は改めてよく復習してください。

シナプスでの興奮の伝達をうけて、シナプス後細胞に活動電位が生じるためには加重が必要です。