第14回 シナプス伝達の加重、伝達物質と受容体、神経回路、自律神経系

更新が遅れてしまいました。夏休み前最後の授業はやや急いで進めましたので、重要ポイントもやや多めです。

はじめに取り上げたシナプス伝達の加重という現象は、活動電位が発生するしくみと興奮性シナプスや抑制性シナプスがどのようなものであるのかを理解していれば、それほど難しくないと思います。授業で使った図、模擬実験を自分の言葉で説明できるようにしましょう。今後いろんなタイプのシナプスでの興奮伝達を考えていきます。神経回路の説明では加重については曖昧にして説明しましたが、頭の中には常に思い浮かぶようにしておきましょう。

各シナプスが興奮性シナプスであるのか、抑制シナプスであるのかを決めているのは伝達物質と受容体の組合せです。シナプス前ニューロンがつくる伝達物質は決まっています。したがって、シナプス後細胞がもつ受容体の性質、結合する伝達物質、そしてイオンチャネルが開口したときにどのようなイオンが通過するのかも決まっています。今後の授業では、伝達物質だけを取り上げることもあれば、両者の組合せで取り上げることもあります。

プリントの120ページの上段は授業では説明しませんでした。末梢神経系ではたらいている伝達物質については、授業ではいくつかを具体的に取り上げて説明しますが、それほど多種類をではありません。一方、中枢神経系ではたらいている伝達物質は具体的に取り上げる機会はほとんどありません。しかし、非常に多くの伝達物質が見いだされています。過去の国試でも出題されたことがあるのでプリントで、「低分子量伝達物質」として名前を紹介した物質を中心にして一覧表にしました。

また、下段の受容体の一覧表の中で「シナプス前抑制」という言葉を使っています。抑制性シナプスの説明の中で割愛した部分ですが、ここで簡単に説明します。

このシナプスが、シナプス前ニューロンがシナプス後ニューロンの樹状突起や細胞体との間でシナプスをつくっているのではなく、抑制性ニューロンの終末が興奮性ニューロンの軸索終末との間でつくっているシナプスです。軸索-軸索間シナプスといい、抑制性ニューロンがシナプス前ニューロン、興奮性ニューロンがシナプス後ニューロンです。シナプス前ニューロン終末から抑制性伝達物質が放出され、これがシナプス後ニューロンの軸索末端に作用して、興奮性ニューロンの終末からの興奮性伝達物質の放出を抑制します。この結果、興奮性ニューロンをシナプス前ニューロンとしてつくられているシナプスのシナプス後ニューロンにはEPSPが生じず、興奮性が低下します(または興奮しない)。シナプスの「前」で興奮性伝達物質放出を抑制するため、「シナプス前抑制」といいます。プリント表中のグルタミン酸受容体やドーパミン受容体は、これら受容体に伝達物質が作用することによって、この受容体を発現している興奮性ニューロンの伝達物質放出を抑制するようにはたらきます。

次に取り上げた神経回路は、授業で順に説明した2シナプス結合の4つのパターンが自分で説明できるようにしておきましょう。図中の3番目のニューロンがどのようになるかが分かることも大切ですが、一番上のニューロンから順に一つ一つのニューロンの作用、変化をきちんと説明できることがより重要です。説明できて初めて「理解した」ということです。後期の授業では感覚情報や運動情報に関する伝導路を取り上げます。これらは非常に単純ではありますが、すべて神経回路です。そのときになって慌てないようにしましょう。また、収束回路と発散回路の二つは自律神経系が利用している仕組みです。

最後に取り上げた自律神経系はだいぶスキップして進めたのでわかりにくかったかもしれません。交感神経と副交感神経の構造的な特徴、とくにそれぞれが解剖学的にどの神経に含まれているのか、自律神経節がどこにあるのか、それぞれがどの器官、器官のどの部分に投射しているのかなど、解剖学で学んだことをかぶせて復習しておきましょう。また、生理学2で学んだ循環器系や呼吸器系、消化器系の機能調節のしくみを一緒に考えるとよりわかりやすくなる思います。

第13回 グリアと神経線維、興奮の伝導と伝達

今回は、神経線維の種類に応じてどのように興奮が伝導するのか、を前半で考えました。そのために、神経線維の構造をグリア細胞のはたらきと合わせて取り上げました。

まず、髄鞘の構造と髄鞘をつくるためにはたらくグリア細胞を確認すること。中枢神経系と末梢神経系では異なる細胞が髄鞘をつくっています。髄鞘がつくられていく過程については特に説明しませんでしたが、胎生期に神経系が構築される過程で順につくられていきます。ヒトでは、神経線維の多くが有髄神経線維です。線維の直径に差があるため伝導速度には幅があり、5種類に分類されます。無髄線維と合わせて名称もしっかりと頭に入れておくこと。来週の授業でいくつか例を示せると思います。

前々回に学んだ興奮の伝導のしくみは、小テストでも出題しましたが十分に理解できていない人が多いようですね。授業中に振り返る余裕はありませんので、各自でよく復習しておくように。その上で、逐次伝導と跳躍伝導の違いを確認しましょう。両者の間で活動電位の生じる場所や伝わる速さには大きな違いがありますが、伝導の特徴として説明した3つの原則は共通しています。

興奮の伝達については、電気的シナプスについても少し復習をしました。生理学1のプリントの第5章199、200ページに心筋細胞の構造とギャップ結合について簡単な図を入れて、前後で心筋の特徴について説明しています。特殊心筋と固有心筋の脱分極/活動電位に関しても簡単にまとめていますので参考にしてください。これらの部分は生理学1&3の授業では説明する時間がなく、割愛すると思います。

化学的シナプスには興奮性シナプスと抑制性シナプスと分けられます。しかし、電気的シナプスは、いわば興奮性シナプスしかありません。ここも両者の大きな違いです。

今回の授業では興奮性シナプスと抑制性シナプスについて、シナプス後細胞に脱分極が生じるのか、過分極が生じるのかということだけで説明をしました。来週の授業で、化学的シナプスではたらく伝達物質と受容体について詳しく説明をします。これらのことを合わせると、シナプス後細胞に「なぜ」脱分極が生じる場合と過分極が生じる場合があるのかについてわかりやすくなると思います。

第12回 興奮伝達のしくみ、神経系のしくみとニューロンの構造

前半でニューロンが興奮を伝達するしくみを説明しました。ここで取り上げたシナプスは化学シナプス、つまり神経伝達物質が仲立ちとなって興奮を伝達するシナプスです。

参考までに、化学シナプスの他に電気シナプス(電気的シナプス)があります。神経系では例外的なもので、授業では取り上げません。ただ、生理学2で学んだ心筋と心筋の間での興奮の伝達は、隣り合った心筋細胞がつくる介在板にあるギャップ結合をイオンが通過することによって生じます。このしくみが電気シナプスです。

化学シナプスは構造をしっかりと理解した上で、軸索終末まで伝導してきた興奮がどのようにして伝達されるのかを考えるようにしましょう。プリントに重要な構造を箇条書きにしてまとめましたので、自分で図を描くなどしてしっかりと頭にいれること。その上で、一つ一つの現象がどのように進んでいくのかをしっかりと確認するように。

後半は、神経系の構造と機能をおおざっぱにまとめました。中枢神経系と末梢神経系の役割分担について、また、体性神経系と自律神経系のちがいについて、今後具体的に少しずつ取り上げていきます。解剖学で学んだことと合わせて、まずは全体の構成をしっかりと頭に入れてください。

すでに循環器系の機能調節の中で自律神経系の機能について学んだいると思います。やや遅くなりましたが、再来週の授業で、この自律神経系のはたらきについても概観する予定です。


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