2018年度 第14回 交感神経系、副交感神経系の構造と機能、筋の種類と特徴

 夏休み前最後の授業でした。
 自律神経系の機能に関する学習は交感神経系と副交感神経系の二つの遠心性神経が中心です。それぞれの構造を頭に入れた上で、機能の違い、つまり、器官の機能に対してどのように作用するのかを理解していきましょう。

 今回は具体的な作用のしかたまでは取り上げませんでした。循環器系、呼吸器系、消化器系、泌尿器系の機能を一通り学んでからのほうが分かりやすくなると思いますので、後期の最後に復習をかねて説明します。まずは、それぞれの神経系の作用の一般的な特徴をしっかりと考えられるようにしましょう。「交感神経系が優位である」あるいは「副交感神経系が優位である」という状態で、どのような機能が促進または亢進するのか。逆に、抑制または低下する機能は何かを理解しましょう。その上で、具体的に、核器官系あるいは期間後のと機能を考えていくとわかりやすいのではないでしょうか。

 すでに学んでいる循環器系や呼吸器系をモデルにして考えてみると、生理学Ⅱの復習にもなり、一石二鳥です。循環器系では、心臓と血管の状態が、交感神経系優位なときと副交感神経系優位なときでどのように変化するのかは最もわかりやすいのではないでしょうか。血圧の調節機能とも密接に関わっています。多の器官系も含めて、教科書の204、205ページには、各器官に対する作用が簡単にまとめられていますので、参考にするとよいでしょう。

 血管に対する神経支配は、授業で説明した二重支配とは異なります。多くの血管は主に交感神経系だけによって支配されていて、血管平滑筋に対する作用もやや複雑です。循環器系について勉強する場合には、教科書206ページも参考にするとよいでしょう。後期の授業では、これらについても取り上げる予定です。

 心筋と平滑筋については簡単な説明しかできませんでした。プリントには3種類の筋の共通点と相違点について一覧にしてまとめています。すでに学んだ内容を多く含まれているはずですから、各自で確認しておくように。

 自律神経系ではたらく伝達物質については、今回は二つの物質を取り上げるにとどめました。実はそれぞれの受容体の機能を考えることがより重要ですが、これは後期にゆずります。

 骨格筋の構造までは説明しておきたかったのですが、やや時間が足りませんでした。夏休みが明けると授業は2回しかありません。しかも、実技の試験や学科の試験準備と並行することになります。夏休み中にしっかりと予習をしておきましょう。

 過去の期末試験問題も掲載しています。自分でよく見て、回答するにあたって不十分であると感じることがあればよく復習をしておくように。

2018年度 第13回 伝達物質と受容体、神経回路、末梢神経系

 今回は伝達物質受容体のしくみや神経回路の考え方の説明に時間をかけたため、自律神経系についての説明まで進めませんでした。来週は、自律神経系遠心性神経の構造と器官の支配の特徴をかいつまんで説明します。改めて予習をしておくように。

 さて、伝達物質として取り上げた物質はいずれも有名なものばかりです。具体例は今後の授業の中で取り上げることになると思います。そのときに思い出せるようにしておきましょう。また、受容体についても、イオンチャネル型と代謝調節型を区別して説明することが何度かありますので、しくみの違いをよく頭に入れておきましょう。

 例えば、取り上げたアセチルコリンとノルアドレナリンは、交感神経系や副交感神経系で伝達物質として利用されています。そして、関わっている受容体もイオンチャネル型と代謝調節型の両方です。それぞれの働き方の特徴を一緒につかめるのではないかと思います。

 神経回路はややわかりにくいところもあるかもしれませんが、興奮性ニューロンと抑制性ニューロンをはたらきをよく頭に入れた上で、自分で考えてみましょう。論理学のようなところがありますので、分かってしまえば単純でしょう。

 来週の授業では、交感神経系と副交感神経系のそれぞれで、2種類のニューロンが自律神経節でどのように接続しているかを考えますが、ここで発散と収束の神経回路について改めて触れます。また、後期の授業では、反回性回路や側方抑制についても取り上げます。

 最近の小テストでは漢字の間違いが目立ちます。注意しましょう。

2018年度 第12回 神経線維、跳躍伝導、興奮性シナプスと抑制性シナプス

 第10回、第11回の授業では興奮の伝導と伝達について基本的なしくみを考えました。今回は、神経系を構成するニューロンや神経線維の構造を理解した上で、興奮の伝導と伝達がどのようにして生じているかを考え直してみました。

 神経線維には無髄神経線維と有髄神経線維の2種類があります。グリア細胞の特徴と合わせて解剖学でも取り上げられたはずです。よく見直しておきましょう。神経線維の構造の違いは、それぞれの機能の違い、つまり、伝導のしくみの違いを生んでいます。無髄神経線維では逐次伝導が生じ、有髄神経線維では跳躍伝導が生じます。伝導速度の違いを生み出すという点が最も重要ですが、エネルギー消費にも差が生じています。

 また、神経線維はそれぞれの直径にも差があります。特に、ヒトでは有髄線維の占める割合が高いためか、有髄線維の間で直径の違いが大きく、そのまま伝導速度の違いに結びついています。この結果、神経線維を分類したときに、大きく3種類、詳細には6種類に分類します。今後の学習では、これらの分類にしたがって具体的に名称を取り上げて説明することがたびたびあります。その神経線維が、有髄線維なのか無髄線維なのか、さらに、有髄線維である場合、その中でどの程度の伝導速度を持つものかをすぐに分かるようにしておきましょう。

 軸索終末にまで伝導した興奮は、別の細胞へ伝達されます。興奮を伝達する部分がシナプスで、ニューロンについて学ぶ場合には化学シナプス(化学的シナプス)を問題にします。伝達物質と受容体の組合せによって、シナプス後ニューロンに流入するイオンが異なります。ここで、陽イオンが流入すればシナプス後ニューロンには脱分極が生じ、陰イオンが流入すればシナプス後ニューロンに過分極が生じます。前者が興奮性シナプス後電位(EPSP)で、後者が抑制性シナプス後電位(IPSP)です。

 興奮性シナプスとはシナプス後ニューロンにEPSPが生じるシナプスであり、抑制性シナプスとはシナプス後ニューロンにIPSPが生じるシナプスです。そして、興奮性シナプスのシナプス前ニューロンを興奮性シナプスといい、抑制性シナプスのシナプス前ニューロンを抑制性ニューロンといいます。逆に言うと、興奮性ニューロンは興奮を伝達してシナプス後ニューロンにEPSPを生じるニューロンで、このシナプスが興奮性シナプスです。抑制性ニューロンとは、興奮を伝達してシナプス後ニューロンにIPSPを生じるニューロンであり、このシナプスが抑制性シナプスです。

 抑制性ニューロンも興奮しますので注意しましょう。

 シナプス後ニューロンに生じたEPSPやIPSPは細胞全体として加重されます。この結果、閾値を超えると活動電位が生じます。特に、中枢神経系のニューロンでは、各シナプスで生じるEPSPが小さいため、加重することによる効果が大きいと考えられます。プリントに脊髄の運動ニューロン(これは脊髄から骨格筋に向けて軸索を伸ばしている末梢神経)では、非常に多くのシナプス前ニューロンとの間でシナプスをつくっています。多くは興奮性シナプスと考えられますが、抑制性シナプスもあります。したがって、加重の効果によって活動電位が生じるか否かが決まります。一方、末梢神経系のニューロンや骨格筋などではシナプス1カ所に生じる(あるいは1本のシナプス前ニューロンによる)EPSPが大きく、簡単に閾値を超えることがあるようです。

 話は少しそれますが、授業でも簡単に触れたように、心筋や平滑筋では電気シナプス(電気的シナプス)によって興奮が伝達されます。刺激伝導系を構成する特殊心筋での興奮の伝達(「伝導」系といいますが、特殊心筋の細胞から細胞へと興奮が伝わっていきます)、さらに心室、心房で、それぞれを構成する固有心筋に興奮が伝わる場合に、この電気シナプスのしくみがはたらいています。前期の最後に、時間があれば心筋や平滑筋で活動電位が生じるしくみなどに触れることがあるかもしれません。

 来週は、興奮の伝達を考える上で避けることができない神経伝達物質とその受容体について説明します。その後、シナプスを介したニューロンどうしのつながりによって形成される神経回路を取り上げます。ここで、興奮性シナプスと抑制性シナプスの機能のしかたを考えてみます。その後、末梢神経系、特に自律神経系の構造と機能について取り上げます。