第14回 自律神経頚の構成と機能

 今回は自律神経系、特に遠心性神経である交感神経系と副交感神経系の構成とはたらきを簡単にまとめました。自律機能のうち特に重要な機能である循環器系や呼吸器系の機能を学んでいるので理解しやすいでしょう。また、それぞれの神経性調節を考えるにあたって、交感神経系と副交感神経系の特徴を押さえておくとわかりやすなるはずです。

 交感神経系と副交感神経系の構成は図を見ながら各自でよくおさらいしておくこと。詳細は解剖学でも取り上げられるはずですが、概略だけでもよいので早めに頭に入れてしまいましょう。ポイントは、節前ニューロンの細胞体がどこにあるか(言い換えると節前線維がどこから出ているか)、自律神経節がどこにあるのか(言い換えると節後ニューロンの細胞体がどこになるのか)の2点です。特に、交感神経系はやや複雑なところもありますので、いくつかピックアップして自分でなぞってみましょう。また、副交感経を含んでいる4つの脳神経は直ちに頭に入れておくように。

 交感神経系と副交感神経系による調節には3つの特徴がありました。用語も重要ですが、何を意味しているのか、具体的に考えられるようにしておきましょう。授業では心臓、特に血圧の調節機能を例に挙げて説明しました。心臓そのものを理解していることが前提ですが、交感神経優位あるいは副交感神経優位な状態がつくられたときに刺激伝導系や固有心筋がどのような反応を示すのかをよく考えられるようにしておきましょう。

 血圧が上昇した場合の調節については生理学Ⅰプリントp31に、ネガティブフィードバックのよい例としてフローチャートがあるので必要であれば参考にすること。

 夏休み明けには筋、特に骨格筋細胞の構造と機能を取り上げます。ニューロンと並ぶ興奮性細胞の代表です。すでに学んだ心筋の機能とも共通するところがあるので、単に骨格筋として予習するだけでなく、心筋について復習するつもりで全体を見ておくと、より理解が深まるでしょう。

 前期のポイントは細胞の構造と機能、特に細胞膜を介した物質の移動です。そして、この物質移動は、単に細胞の生存のためというだけではなく、それぞれの細胞機能を実現する上で必須です。膜電位の変化、例えば活動電位がそのよい例です。そして、この活動電位が生じるからこそ、膜電位が変化するからこそ、ニューロンに興奮が生じ、この興奮によって神経系は全身の器官機能を調節することができます。

 細胞膜を介した物質移動を考えるためには、細胞膜の構造はもちろん、膜タンパク質、さらに遡ってタンパク質とはどのようなものかなどを理解している必要があります。また、輸送の方法にもいくつかの種類がありますが、その違いを理解するには輸送される物質の構造や性質を知っている必要があります。

 どこを入口にしてもよいですが、そこから内容を広げて一つ一つをしっかりとおさえていきましょう。他人の書いたもの、つくったものを眺めていても頭には入りません。何かを覚えるためには、何を覚えるのかを自分ではっきりさせて、どうすれば覚えやすいかを考え、さらに、覚えやすいものあるいは状態を自分でつくることです。これら一連の作業が勉強するということであり、その結果理解がうまれます。

第13回 神経伝達物質と受容体、神経回路、中枢神経系の特徴と体性神経系の構成、自律神経系の特徴

 今週ははじめに神経伝達物質の種類やはたらきを確認しました。アセチルコリン、グルタミン酸、アスパラギン酸、GABA、グリシン、そしてアドレナリンとノルアドレナリン、さらにドーパミンは頭に入れておきましょう。早速ですが、来週はアセチルコリンとノルアドレナリンを取り上げます。

 受容体には2種類あると説明しました。ただし、ほとんどの伝達物質に対して2種類の受容体があります。違いははっきりしていますが、アセチルコリン受容体など具体的に区別して考えなければならない現象もあります。

 Gタンパク質は今回紹介したように、細胞外からのシグナル分子に対する受容体と共役して(カップルして)作用するタンパク質です。具体的な機能の違いから数種類が知られていますが、いずれも他のタンパク質の機能を変化させるはたらきをします。機能を発揮するためにGTP(guanosine tirphospate;グアノシン三リン酸)が必要であることからGTP結合タンパク質と呼ばれ、略してGタンパク質といいます。図にあるように小型のタンパク質の三量体です。

 ニューロンは他の細胞との間で興奮を伝えたり受け取ったりしています。神経回路を考えることは、ニューロンとその相手との関係を見ることです。単シナプス結合でのつながりが基本ではありますが、授業で考えた2シナプス結合、つまり3個のニューロン間の接続を考えられるようにしましょう。それぞれのシナプス前ニューロンの反応のしかた、どのような伝達物質がどうなるのか(放出されるのか否か)、そしてシナプス後細胞の状態がどう変化するのか、一つ一つ順に説明できるようにしましょう。必ず声に出してみること。かかれば文を読んでいるようにスムーズに説明できれば、同じをことを書けと言われてもすぐにできます。説明の途中でしどろもどろになっているようでは書いて説明することはできません。

 発散回路と収束回路は具体的にイメージできるようにしておきましょう。閉塞回路と促通回路も概念的に理解していればよいと思います。

 解剖学の進捗がよく分からないので、脳と脊髄に共通する特徴を簡単に説明しました。脳の構造については、プリントで説明した程度は頭に入れておきましょう。生理学2では脳幹に循環機能や呼吸機能の中枢があることが取り上げれらていると思います。プリントp176には脳幹を延髄、橋、中脳のいくつかの断面で、神経核や脳-脊髄間の伝導路の位置を示しました。ややわかりにくい順に並んでいますが、参考になると思います。

 また、脊髄神経は脊髄分節ごとに出ていますから、分節の場所(番号)で区別しますが、脳神経には固有名詞がついていて、その多くは脳幹に出入りします。それぞれの神経の構成や機能に特徴があり、生理学全体の理解にも関わります。プリントp177には脳神経の出入りの様子と脳神経核(脳神経を構成するニューロンの細胞体が存在する)を図示しました。また,
P180以下にそれぞれの構成と機能を一覧にしました。生理学Ⅰ&Ⅲで具体的に触れるのは後期に入ってからですが、他の科目で取り上げられるはず。例えば、既に循環機能や呼吸機能を学ぶ中では舌咽神経と迷走神経の説明があったはず。気がついたところから翌頭に入れておきましょう。
 
 体性神経系は、解剖学的には脳神経と脊髄神経にまたがっています。機能については後期に、感覚器機能や運動機能と合わせて取り上げます。それぞれが、感覚神経、運動神経の機能を抜きには説明できないためです。


 自律神経系も末梢の自律機能と合わせて考えた方がわかりやすいため、それぞれの器官や器官系の神経性調節として取り上げられるはずです。一方、ある程度全体的なことが分かっていた方が、個々の調節機能もわかりやすいでしょう。既に循環器系や呼吸器系を学んでいるため、考え方の基本的なことは分かっていると思いますので、自律神経系が果たしている役割を全身性に考えておこうと思います。あわせて、具体的な機能調節に伝達物質や受容体がどのように関わっているのかについても触れます。

 自律神経神経系については、生理学Ⅱ&Ⅳを一通り学んだ後、つまり後期の最後に、それぞれの中枢機能を合わせて改めて考え直します。

NHKスペシャル・シリーズ『人体』総集編が放送されます

 授業でも紹介したことがありますが、NHKスペシャルの『人体』が再放送されます。数年前に放送された「神秘の巨大ネットワーク」と今年放送された「遺伝子」を全部で5回に分けたかたちでの総集編です。

 どのような編集になっているのかは分かりませんが、見逃したのであれば見る価値があると思います。深夜の時間帯ですので録画して夏休み中にでもゆっくりと見るといいのではないでしょうか?

 https://www4.nhk.or.jp/P4619/

第12回 跳躍伝導、興奮性シナプスと抑制性シナプス、シナプス後電位の加重、伝達物質

 昨日は、研究室に戻った後でWebinarの予定があったため、遅くなりました。

 グリア細胞はニューロンの機能を支える役割があります。これは軸索を包んで神経線維を構成するというだけではなく、今回取り上げたアストロサイトのような機能も含まれます。

 血液脳関門については構造的には解剖学で取り上げられるかもしれませんが、それ以外ではほとんど触れられることはないかもしれません。しかし、脳の機能を維持する上で欠かせないしくみです。

 有髄線維と無髄線維は構造が異なるだけではなく、伝導のしくみに大きな違いがあります。授業でも触れたように、伝導速度が大きいほど生存には有利です。したがって、高等動物ほど、進化の過程で後の時代に出現した動物ほど、その動物の神経線維の中での有髄神経線維の割合が高いようです。しかし、発生上やむを得ないのか、ヒトでも無髄神経線維の部分がいくつかあります。神経線維の一覧表でC線維の機能の例で示したような古くからある機能を担っている神経線維は未だ無髄神経線維です。

 跳躍伝導のしくみはそれほど難しくないと思います。伝導速度の大きさとともに、エネルギー消費の違いについてもより進んだしくみであることが分かるでしょう。

 神経線維は伝導速度によって分類し、それぞれに名称が与えられています。今後の授業では特に説明することなくこれらの名称で呼び表して進めていきます。

 また、興奮伝導の三原則についても触れましたが、こうした特徴は決して丸暗記をするのではなく、構造と機能を考える文脈の中で説明できるようにしておくこと。

 後半では興奮伝達のしくみを改めて考えました。化学シナプスは興奮性シナプスと抑制性シナプスに分けることができます。来週説明する伝達物質と受容体の組合せによって、シナプス後細胞に脱分極が生じるのか、過分極が生じるのかが決まります。脱分極が生じるということは、より活動電位が生じやすい=興奮しやすい状態になっているということです。一方で、過分極が生じているということは活動電位が生じにくい=興奮しにくい状態になっているということです。

 図で見たように、ニューロン(シナプス後ニューロン)は多くの軸索終末との間でシナプスをつくっています。そして、ここのシナプスで生じたEPSPとIPSPの総和がどうなるかによって、活動電位が生じるかどうかが決まります。多くのIPSPが集中することによって、一過的に大きな過分極が生じることもあり得るわけです。

 個々のニューロンについての複雑な加重現象を考える機会はありませんが、EPSPやIPSPが生じる現象を取り上げる機会は運動機能を考える場合など何度かあると思います。また、来週は伝達物質や受容体の機能と組み合わせて、そのシナプスが興奮性であるのか抑制性であるのかについても考えます。

 神経伝達物質の種類はそれほど多いわけではなく、その中でも授業で取り上げるのは数えるほどです。取り上げられた順に確実に頭に入れていきましょう。来週の授業ではそれほど詳しく説明しませんが、各器官の生理機能を考える上でより重要なのは受容体です。


 来週の予習範囲ですが、神経回路のうちの「周辺抑制(側方抑制)」は除きます。後期に改めて説明するので、今回は簡単に触れますが、うだけにします。また、第4章5の「中枢神経系の構造と機能」はプリントに加えた図をよく見ながら構造の特徴を中心にしっかりと頭に入れておくこと。ただし、「脳神経」の一覧表も中枢神経系の一部のような位置に入っていますが、この内容は省きます。

 また、『生理学のための化学』第12章「化学反応」には数カ所の誤字脱字があります。前後の文脈から意味は十分にとれると思いますので、特に訂正はしません。分からない部分があれば連絡して下さい。