ナトリウム/カリウムポンプのアニメーション

以前の授業で使ったナトリウム/カリウムポンプのアニメーションですが、サイトをおもいだしました.
ここhttp://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0090c/contents/b1102f.html)を見てください.

これは、独立行政法人科学技術振興機構(文部科学省の外郭団体?)がつくっている「
理科ねっとわーく<一般公開版>(http://rikanet2.jst.go.jp/)」という理科教育・授業用につくられたデジタル素材のサイトの「神経とホルモン〜細胞間の情報伝達」というコンテンツ(http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0090c/start.html)に入っています高校生向けにつくられていますが、実写映像やアニメーションなどで構成されていて、けっこう参考になると思います.ビデオ画像などダウンロードできる映像は授業でも使っていく予定ですが、アニメーション画像はFlashで作ってあるためWeb接続状態でないとお見せできません.ぜひ一度ごらん下さい.

第9回 細胞小器官、ニューロンの特徴と膜電位

今日とりあげたナメクジウオのゲノム解析の話はいかがだったでしょうか? 日本にもいるといいましたが、蒲郡市がナメクジウオの生息地として天然記念物に指定されているようです.(ここを参考にしてください)ちなみにこのリンクの終わりの【参考文献】に引用されている西川輝昭先生は名古屋大学の先生です.実は懇意にしております.

さて、細胞小器官として取り上げたのがリソソーム、中心体、ペルオキシソーム、そしてプロテアソームです.試験では4択の項目として出てくるかどうかですが、キーワードは

リソソーム=分解酵素、酸性、自食作用
中心体=微小管、細胞分裂
ペルオキシソーム=過酸化水素
プロテアソーム=タンパク質の分解
でしょう.

また余談ですが、「日経サイエンス」という雑誌をご存知ですか? 大きな本屋さんの科学雑誌のコーナーには必ずあります.「ニュートン」や岩波書店の「科学」などと並んでいると思いますが、来月号にリソソームの自食作用(オートファジー)に関する論文が掲載されます.(
ここを参考にしてください.

さて今日のメインテーマはニューロンの構造と膜電位でした.ニューロンの構造は
細胞体、軸索、樹状突起の3つのキーワードを忘れずに.

膜電位の説明は難しかったでしょうか?
よく復習をしておいてください.来週は細胞がどのようにして興奮し、どのようにその興奮を伝えているかを考えます.

授業の説明と同じですが、昨年のこのブログでの説明を再録します.

ーーーーーここからーーーー

まず確認ですが、細胞内外にはイオンの分布に差があります.そして、細胞膜を構成する脂質二重層はイオンを通しませんから、いったんできた濃度差は簡単には解消されません.例えば細胞外には100個の陽イオンがあり、細胞内には60個の陽イオンがある場合、その差である40個分のプラスの電荷の差があることになります.実際には陰イオンもありますから、陽イオンと陰イオンの電荷の合計の差をもとに計算された数字が電位差(単位はV、ボルト)で、膜電位といいます.

膜電位はあくまでも細胞外を基準にして、つまり細胞外を
0 Vとして、細胞内がどれくらいプラスかマイナスか、と考えます.

ではどうしてイオンの分布に差ができるのか? それを担っているのが以前に取り上げた
イオンポンプイオンチャネルで、特に大切なのがカリウムイオンとナトリウムイオン(この他に塩化物イオンCl-を一緒に考えることもよくあります)の濃度差です.

基本的に細胞内外のカリウムイオンとナトリウムイオンの濃度差はナトリウム・カリウムポンプによって維持されています.細胞内にあるナトリウムイオンは細胞外へ出され、細胞外にあるカリウムイオンは細胞内へ取り込まれます.その結果、細胞外にはナトリウムイオンが多く、細胞内にはカリウムイオンが多いという状態が作り出されます.しかも、以前にやったように、ナトリウム・カリウムポンプは3個のナトリウムイオンと2個のカリウムイオンを1セットにして輸送しますので、単純に考えれば細胞外のプラスイオンが多くなるようにはたらいています.

次に、いったんイオンポンプによって濃度差がつくられると、その濃度差にしたがってイオンがチャネルを通って移動します.細胞膜にあるカリウムチャネルにはいろんな種類がありますが、その中に
カリウム漏出チャネル(K+ leakage channel、漏洩チャネルともいいます)と呼ばれるチャネルがあり、常時開口しています.したがって、細胞内のカリウムイオンは濃度勾配に従って細胞外へ出て行きます.ところが、ある程度でていってしまうと、今度は細胞内がマイナスになってしまうので、+イオンであるカリウムイオンを引きつけます.その結果、細胞内のカリウムイオンは細胞外へは移動しなくなります.こうして、濃度勾配と電気化学勾配のつり合った平衡状態になります.(ただし、移動が完全に止まったのではなく、出て行く量とはいってくる量が同じになって、見かけ上移動が止まっているだけ)

このように見かけ上イオンの移動がない状態、そういう状態のイオン濃度の差(電荷の差)から計算した電位が「平衡電位」です.

一方、ナトリウムイオンのチャネルにもいろんな種類がありますが、ナトリウム漏出チャネルはカリウム漏出チャネルに比べて圧倒的に数が少ないようで、細胞内へ入ってくるナトリウムイオンは、細胞外へ出て行くカリウムイオンに対して極めて少量です.

このように、イオンポンプとイオンチャネルのはたらきによって作り出された細胞膜内外のイオンの濃度差から計算されたのが
静止(膜)電位ということになります.

ーーーー(ここまで)ーーーー

いかがでしょう、少しは理解の助けになりましたでしょうか?(^_^)

ナメクジウオのゲノム解読

19日・木曜日の新聞などで、京都大学などの研究グループが「ナメクジウオ」のゲノムを解読したという報道がありました.ご存知の方も多いと思います.

ネイチャー(nature)という自然科学の分野では最も権威のある学術雑誌の一つに論文が掲載されました.ほ乳類を含む脊椎動物(背骨=椎骨を持っている動物)の先祖に当たる動物がどのような種であったかを明らかにする成果として注目されました.

また、新聞記事などでは触れてませんが、脊椎動物が出現してから動物界ではゲノムの重複が生じ、量が大幅に増えたこともわかりました.同じ遺伝子が2つあるということは、一方に何らかの変化が生じてもいいことになり、それだけ変化を許容するというか、新たな機能を獲得できる可能性が増すことにつながります.したがって、より高度な能力を持った生物が誕生するきっかけができ、進化を後押しする要因になります.私の興味に照らすと、こちらの成果の方がより重要性を感じます.

ところで、「ナメクジウオ」なんて見たことないですよね.(*^^*)
ネイチャーのサイト(ここ)を見てください.日本語版です.今週号の表紙にナメクジウオ(amphioxus)の写真が載っています.6月19日号のトップニュースは無料でダウンロードできます.表紙の解説がついていますので興味のある人はぜひごらんください.(目次は無料で閲覧できますが、本文の閲覧は有料です)

ところで、新聞の見出しでは「脊椎動物の祖先はナメクジウオ」というようなことばが踊っていますが、これは正確ではありません.最初の脊椎動物が出現したのが今から5億年くらい前といわれています(化石証拠による)が、その当時に今と全く同じナメクジウオがいたわけではありません.かなり似ているようではありますが、やはり現在の生物はそれだけの進化を経た結果今の姿になったわけです.したがって現存のナメクジウオはナメクジウオの祖先から進化しています.

第8回 タンパク質の修飾・輸送とミトコンドリア、細胞小器官

今日は全体に雑ぱくな内容でした.

前半は先週からの続きで、遺伝子発現とそれに続くタンパク質の修飾と輸送のしくみについてでした.授業中にもまとめたように、ゲノムDNAが転写されるところから、最終産物であるタンパク質がそのはたらくべき場所(例えば細胞膜)に輸送されるまでを自分の言葉で語れるようにしておいてください.
その中では、以前に学んだ細胞膜や膜タンパク質の特徴、エキソサイトーシスなどに関する知識も必要です.

ATP産生は生理学Ⅱ or Ⅳでも出てくると思います(教科書では94ページからです)が、ミトコンドリアの構造と3種類のATP産生方法の違いを理解してください.

滑面小胞体はそれぞれの細胞の性質を決める大切な役割を果たしているにも関わらず、細胞小器官としてはあまり大きく取り上げられることはありません.しかし、骨格筋細胞の機能(第4章)で「筋小胞体」として改めて登場します.

今日で前期の半分が終わったことになります.予定よりやや遅れていますが、遺伝子発現に関する分子レベルでのしくみを含めて、細胞一般に共通する性質をざっと見てきました.来週からは、我々のからだを構成する細胞の中でも際立った特徴を持っている神経細胞と筋細胞の構造と機能を学びます.これまでの知識をすべて前提として話を進めますので、怪しいところのある人はしっかりと復習しておいてください.

小テストをやり直してみるのもいいと思います.一番いいのはプリントを見ながら自分で講義してみる=声に出して説明することです.頭の中で考えているだけでは理解が十分でなくても結構ごまかせてしまいますが、声に出しながら進めていくと、十分に理解していないところではちゃんとした言葉になりません.したがって自分がどこをどれくらい理解している、あるいはいないのかがよくわかると思います.

第7回 遺伝子発現

遺伝子の構造とその遺伝子がどのように機能する=発現するかというしくみを概観しました.やや駆け足でしたが、情報としての遺伝子と機能分子としてのタンパク質の関係をわかっていただけたでしょうか?

授業でも触れたように「遺伝子」の概念は変わりつつありますが、基本は「タンパク質のアミノ酸配列をコードする」領域と「その発現を調節する」領域です.ゲノム全体に対してごくわずかですが、大きな意味を持っています.そして、その遺伝子が発現する、つまり転写され、翻訳される過程を#69の図にまとめています.自分の言葉で説明できるようにしておきましょう.

メッセンジャーRNAからタンパク質への翻訳装置であるリボソームについては、来週再度取り上げます.コドンの一覧表は覚える必要はありませんが、以前に配布したアミノ酸の名称の一覧表と突き合わせてみてください.

授業ではDVDを見てもらいましたが、インターネットではこんなサイトが利用できます.
国立遺伝学研究所・遺伝学電子博物館(ここ)
特に、DNAの複製、転写、翻訳のしくみは、プラグインが必要でが
マルチメディア資料館(ここ)
がいいと思います.

くすり博物館に行ってきました

今日、各務原にあるエーザイの工場の中にあるくすり博物館へ行ってきました.

現在のクスリはエーザイの商品が一杯展示されているだけですが、日本の昔のクスリ、つまり漢方薬や民間薬の材料や調剤のための道具類がたくさん展示されていました.モグサもありました.

また、江戸時代から明治にかけての日本の薬屋、薬種問屋などの様子が再現されていていました.
薬研や百味箪笥など時代劇などではそれらしいものが出てきますが、本物をじっくり見ていると、昔の人の工夫が見て取れてます.

経絡の古い人形などもありましたが、一番私の目に焼き付いたのは解体新書の実物(?)でした.漢文なのでじっくり読むというわけにはいきませんでしたが、【神経】や【動脈】など今でも使っている言葉がここですでに使われていたという解説には驚きました.

建物の前には薬草園があり、それぞれに簡単な解説がついていました.ちょうど季節もよかったのか、きれいな花をつけている植物もありチョウが舞っていました.ついた時間が遅かったので間に合いませんでしたが、休日には薬草園の解説もあるようです.

ウェブサイトは
ここ(http://www.eisai.co.jp/museum)です.ちょっと交通の便は悪いですが、皆さんも一度行ってみてはいかがでしょうか?

ところで、博物館には中国の魔よけの神獣である「白沢(はくたく)」の絵や像も展示されていました.こんなのがいるとは知りませんでした.
授業とは全く関係ありませんが、畠中恵という作家の「しゃばけ」という小説をご存知ですか? 昨年11月にテレビドラマとして1回きりですが放送されました.舞台は江戸時代で、主人公が薬種問屋の若旦那.ですが、妖怪と仲良しで、そのうち薬種問屋の手代に化けている妖怪が「白沢」といいます.何も知らずに読んでいたのですが、引っかけていたんですね.
奇想天外で、結構面白い小説です.興味のある人は一度読んでみてください.新潮文庫にはいってます.

第6回 細胞核と染色体、DNA

今日は細胞核の構造、細胞分裂と染色体、そしてDNAの構造と複製のしくみを概観しました.

なかなか説明が難しいこともあるので、手持ちのDVDを見ていただきましたが、いかがだったでしょうか?
「遺伝子」とか「DNA」とか、言葉だけが先行していろんなイメージをつくってしまっているような気がするのですが、基本的な知識をしっかりと身に付けておけば、だまされることもないと思います.

さて、DNAの基本的な構造の特徴は#61〜63にまとめました.分かりにくい表現もあるかもしれませんが、よく見直してください.複製のしくみはプリントには詳しく載せませんでした.いくつかのキーワードを頭に入れてもらえればそれで十分だと思います.興味のある人は、ネット上のサイトも含めていろんな読み物がありますので、ぜひ一度手に取ってみてください.今日紹介をした本を含む講談社のブルーバックスシリーズは結構おすすめです.

ヒトの染色体の数くらいは今どき常識にもならない知識です.小テストでは毎年出題していますが、絶対に忘れないでください.同時に、ダウン症に代表される染色体異常は、現代医学では絶対に直すことはできません.しかし、疾患としては決して珍しいものではありませんので、合わせていろいろ調べてみるといいと思います.

来週は、遺伝子DNAからタンパク質がつくられて、しかるべき場所に運ばれるまでを学習します.