第10回 神経線維の種類と興奮の伝導、筋

今週は神経線維について復習して、有髄線維に特有の伝導である跳躍伝導が生じるメカニズムを取り上げました.

授業中にも触れたように、有髄線維と跳躍伝導は、進化的には脊椎動物以降に生まれた構造、しくみです.無髄線維に比べると伝導速度が速いため、個体レベルで考えると、外界からの刺激に対する反応が速くなることにつながります.

また、活動電位が生じる領域が小さい(狭い)ため、ナトリウムイオンの流入やカリウムイオンの流出が少なくてすみます.したがって、ふたつのイオンを元に戻すためにはたらくポンプも少なくてすむので、消費するエネルギー=ATP量も軽減できます.つまりエネルギー効率がいいと言うことです.

こうしてよりよい方式を手に入れた脊椎動物が、地球上での繁栄を謳歌することになったのでしょう.

筋はほんのイントロ程度でしたが、筋組織の機能をよく見ておいてください.来週は微細構造とその構造から説明される筋収縮のしくみを考えます.

第9回 活動電位と興奮の伝導

先週は膜電位がどのようにして作られているかを学びました.静止膜電位とは、細胞が全く刺激を受けていない=膜電位が変化するような条件にさらされていないときの膜電位のことです.
この静止膜電位がどのようにして形成されているかを理解できていることが前提ですが、今週は、この静止膜電位が変化するような条件にさらされた場合、どんな変化が起こるのかを考えました.

生体では、あるニューロンがその役割に応じて何らかの刺激をうけます.ニューロンは生体外からの刺激・情報を受け取ったり、生体内で生じているいろんな変化=あまりに激しいとホメオスタシスが破綻するかもしれないような変化をキャッチしたりしていますが、この刺激や変化はすべてニューロンの細胞膜の静止膜電位を変化させるという形で、細胞内の情報=電気的な興奮に置き換えられます.

さて、刺激を受けて最初に生じる変化が「脱分極」と「過分極」です.生体内外の情報を受け取ることを仕事にしているニューロンの場合には、ほとんどが「脱分極」が生じます.普通生じる脱分極は、その電位変化が小さいためにそのまま終わってしまいますが、いくつか足しあわされることによって大きな脱分極が生じます.(小さな脱分極がどのようにして足しあわされていくかは第5章で取り上げます) この脱分極が閾値を超えると必ずオーバーシュートして一定の(同じ)大きさの電位変化が生じます.これが活動電位です.プリント104ページを見ながら自分の言葉で説明できるようにしておいてください.

また、活動電位が生じるときに、なぜ閾値を超えてオーバーシュートするのか、なぜ閾値を超えて同じ大きさの電位変化になるのか、再分極が生じるのはなぜか、活動電位の後電位の間に何が起こっているのか、などの問いに対して、膜チャネルやポンプの機能を中心にした説明を試みてください.

途中でテトロドトキシンやアコニチンの機能を例に取り上げましたが、活動電位を発生させるためには電位依存性ナトリウムチャネルが決定的な役割を果たしています.また、再分極が生じるためには電位依存性カリウムチャネルが重要です.両者は通過するイオンが違うだけではなく、その反応する電位の大きさにも違いがあります.

いったん細胞の一部に生じた活動電位は周囲に広がっていきます.ニューロンでは軸索小丘に生じて、軸索を末端まで伝わっていきます.これが興奮の伝導です.活動電位がどのようにして発生し、発生した直後の細胞膜がそのような性質を持っているのかを理解していれば、伝導のしくみを考えることは容易だと思います.自分で図を描きながら、口に出して説明できるようにするといいでしょう.

来週は、私たちの身体にある2種類の神経線維、有髄線維と無髄線維で、この興奮の伝導の仕方がどう異なっているかを考えます.後半は、第4章筋細胞に入ります.

第8回 細胞小器官、ニューロンの特徴

昨日の授業では、滑面小胞体やリソソームなどの細胞小器官をいくつか取り上げました.いずれも、器官あるいは組織レベルでの機能にどのように関わっているのかについては、生理学を中心にいろんなところで出てくると思います.まずは、それぞれ一般的なはたらきを頭に入れておいてください.

後半ではニューロンの細胞としての特徴を取り上げました.来週の分とあわせて、細胞が電気的に興奮するとはどういうことか、この興奮が情報としてどのように伝えられているのかを学びます.その後、筋細胞の機能や細胞間での興奮のやりとりを考えていく上でも、今週と来週の内容場非常に重要です.
やや考えにくいところ、あるいは理解しにくいところもあると思いますが、予習・復習をしっかりして、その日のうちに理解するようにしてください.