第11回 ニューロン:静止膜電位と脱分極

今週と来週の2回で、ニューロンの特徴を考えます.どんな細胞も全て特徴がありますが、ニューロンと次に取り上げる筋細胞は、電気的に興奮する=刺激をうけると膜電位が大きく変化するという、他の細胞にはない性質があり、生理学における動物的機能を考える上でどうしても理解しておく必要があります.

膜電位は細胞膜近傍のイオンの分布によって生じます.授業中にも復習をしましたが、細胞内液と細胞外液のイオン組成をよく確認しておいて下さい.さらに、細胞膜を介したイオンの輸送のしくみ=イオンチャネル(とイオンポンプ)についてももう一度見直しておいて下さい.プリントでも改めて説明を付けましたので、必ず目を通しておいて下さい.

さて、静止膜電位がどのように生じるか、カリウムイオンの移動を中心にして説明をしました.プリントの最後にも静止膜電位がどのように生じるかについて説明を付けました.ほぼ授業で説明したとおりですが、文章だけでわかりにくいかと思います.プリントの他のページの図を一緒に見ながら考え直してみて下さい.

脱分極と過分極という現象も、今後ずっと考え続けていくこともので、今後の勉強の基本です.活動電位のしくみは来週改めて考えますが、脱分極が先にあっての活動電位です.授業ではいろんな図を使って説明をしましたが、同じように、自分で口に出して【声を出して】説明できるようにしてみると、考え方がよく身につくと思います.

第10回 タンパク質の修飾と輸送、ミトコンドリア他

今日はやや雑駁な内容になってしまいましたが、細胞小器官の役割を整理しておきましょう.

粗面小胞体とゴルジ装置:リボソームで翻訳された直後のタンパク質はアミノ酸がつながっただけで、まだ機能を持ったタンパク質とはいえません.このタンパク質に修飾を施し、それぞれの正しい形を作くる場所.両方とも膜でできた袋状の構造で、核の周囲を中心に広がっています.この2つを通り抜けたタンパク質の目的地は細胞膜で、膜タンパク質あるいは分泌タンパク質として機能します.

膜タンパク質や分泌タンパク質以外のタンパク質は、粗面小胞体上のリボソーム(膜結合型リボソーム)ではなく、サイトゾルに浮遊したリボソーム(遊離型リボソーム)で産生されて、目的地へ運ばれます.

プリントp96の粗面小胞体は、小腸で機能する消化酵素を作っている膵臓の細胞にある粗面小胞体.この細胞でつくられた消化酵素(タンパク質)は全て細胞外へ分泌され、さらに小腸へ運ばれて機能します.

滑面小胞体も構造的には粗面小胞体と連続した袋状あるいは環状の構造ですが、機能は全く異なります.授業では筋細胞や幹細胞を例に説明しました.プリントp96の滑面小胞体はホルモン産生を仕事にしています.

ミトコンドリアも膜でできていますが、脂質二重膜が二重になっていて、内膜の折りたたみ構造部分=クリステに酸化的リン酸化によるATP産生に必要なタンパク質群が集まっています.追加で配布したプリントとp99の下図はATP産生の全体を理解してもらう目的で作成しました.時間のあるときに一度目を通しておいて下さい.

リソソームとペルオキシソームも膜でできた小器官です.いずれも他の細胞小器官と異なり、特殊な環境をつくることで不必要な物質や細胞小器官を分解するためにはたらいています.また、リソソームは食作用などによって細胞外から取り込んだものを消化・分解する作用も持っています.食作用や飲作用の説明の図にも描かれていますのであわせてよく見ておいて下さい.

細胞自体も膜でできていますが、細胞小器官の多くも細胞膜と同様の膜でつくられています.水の中で、周りとは区別された空間を作り出すためには、両親媒性物質の二重膜が最も適しているということを示しています.あるいは、両親媒性物質の二重膜を使うことができたからこそ、生命体が誕生したといってもいいのかもしれません.

膜でできていない小器官として、中心体とプロテアソームを取り上げました.特に中心体は細胞分裂時にも必要で、どんな教科書でも必ず取り上げられるものですので翼頭に入れておいて下さい.

来週は第3章ニューロンに入ります.ここでも改めて細胞膜について考えます.また、細胞内外のイオン組成の違いについても理解が必要です.十分でないと思ったら、予めよく見直しておいて下さい.

第9回 遺伝子発現のしくみ

今回は遺伝子発現のしくみ、遺伝子の構造と転写、翻訳のしくみを考えました.

授業の説明はややわかりにくかったかもしれませんが、一通りの知識:用語の意味や概念を頭に入れて最初からよく見直してみるとわかりやすいと思います.遺伝子発現のしくみは一般向けの解説書やテレビ番組なども豊富で、よく知られている内容でもありますので、最低限の知識は持っていてください.

遺伝子発現という概念は抽象的ですが、一言で説明すると、「DNA上にある遺伝子にエキソンとイントロンがあり、転写後にプロセシングされてメッセンジャーRNAmRNAがつくられ、このmRNAが細胞質にあるリボソームで翻訳されてタンパク質が合成される」というところでしょうか.

遺伝子の構造、転写のしくみ、転写後のプロセシング、つくられたmRNAの移動、リボソームの構造と機能など、プリントの図を見ながら、一つ一つの現象をよく考えるようにして下さい.

翻訳という現象は少し複雑ですが、コドンをキーワードにしてよく考えてみて下さい.タンパク質のアミノ酸配列を、遺伝情報としてDNAに保存する場合にコドン=塩基配列という暗号に置き換えたと考えればわかりやすいでしょうか.そして、翻訳;translationという言葉は、核酸の文法(塩基配列)をタンパク質の文法(アミノ酸配列)に置き換えるをいうところから使われるようになったのではいないでしょうか.暗号の解読;diciphermentではやや意味が違うような気がします.

生物、あるいは生命現象には一見すると無駄に見える部分がたくさんあります.しかし、よく調べてみる=研究されるといろんな意味があるということが分かってきます.DNA上のタンパク質のアミノ酸配列をコードしている部分以外の領域は、DNAの大部分を占めています.以前は「ジャンク」といわれていたのですが、その後の研究の進展によってそのほとんどが正常な生命現象に必要な部分であるということが分かってきました.それでもまだ不明な部分があります.今後の研究の進展によってそれらの部分にも何らかの「意味」が見いだされてくるかもしれません.

第8回 染色体とDNA

今週は染色体とDNAについて取り上げました.

先週の続きですが、染色体は古くから知られている構造ですが、現在(おそらく今後も)の生命科学、あるいは医学によって最も重要な細胞内構造であり、情報源です.生物の種によって固有の数が決まっていて、多くの生物でそれぞれの染色体上にある遺伝子が特定されています.来週の授業で取り上げますが、この遺伝子に関する情報は、生物に対する理解を深めていく上で決定的です.

この遺伝子の実体がDNA:デオキシリボ核酸という物質です.つまり、遺伝子という情報をDNAという物質(分子)が担っているということです.このように、遺伝情報やその伝達である遺伝現象という「生命現象」を分子の構造や機能をもとにして考えたり研究したりする分野を「分子生物学」といいます.

DNA
の構造についてやや時間をとって説明をしました.DNAが相補的な塩基同士が向かい合った二重ラセン構造をつくっているということは1955年頃に明らかにされましたが、20世紀における生物学上の最大の発見です.DNAが半保存的に複製できるのは、この構造のおかげです.また、来週取り上げるRNAへの転写も相補的な塩基同士が向かい合った二重ラセン構造ゆえのしくみです.

リン酸-糖の基本骨格に塩基が結合した4種類のヌクレオチド、DNAを遺伝子として考えるときにはヌクレオチドとしての名称を使うことはほとんどなく、塩基の名称を使います.したがって、4種類の塩基の名称と相補的な関係にある塩基の組み合わせを頭に入れておいて下さい.

染色体の構造やDNAの複製について時間をとったために、細胞分裂の説明が簡単になってしまいました.これまでも時間におされて詳しい説明は省いてきました.いずれまとまった解説をつくってみようと思います.