第6回 DNAの複製と遺伝子の構造

今日はビデオをたくさん見ていただいたので予定していたほどに進めることができませんでしたが、遺伝子やゲノムというものについて何となくわかってもらえたでしょか?

高校の生物では有糸分裂などはけっこう詳しく取り上げていたと思いますが、「ゲノム」に関する基本的な知識は今や一般常識化しているということもあるので取り上げました.
ゲノム・プロジェクトの成功によっていろんなことがわかってきました.今も次々と新しい知見が得られており、ヒトの遺伝子の数ですら確定的なものではありません.2年生以上でご覧になっている方があれば、改めてGENOME MAP(
http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/genomemap/html/pdf.html)をご覧ください.昨年の授業内容に比べて、遺伝子の数が変わっています.

授業では遺伝子を「タンパク質のアミノ酸配列をコードする領域」と定義しましたが、実はこの考え方も少しずつ揺らいできています.

「遺伝子発現」という言葉はややわかりにくいかもしれませんが、DNAは物質としては核酸であり、それ自体タンパク質のような機能は持っていません.来週時間があれば触れますが、進化の過程で遺伝情報を担う物質と実際の機能を担う物質が分けられていきました.進化による複雑化の産物といえますが、遺伝情報に基づいて機能を持つ物質であるタンパク質(あるいはその手前のmRNA)が作られること、あるいはその過程を際して「遺伝子発現」という言葉を使います.したがって、セントラルドグマという考え方と一体のものですので、合わせて理解してください.

第5回 サイトゾルと細胞核、染色体、DNA

今日は細胞質の中の液体部分であるサイトゾルと細胞骨格、そして細胞核の構造とその中で遺伝情報を保存する物質であるDNAの構造を取り上げました.あわせて、染色体の構造についても触れました.

細胞骨格自体は今後の授業で何度も出てくるわけではないですが、細胞が正常に機能していく上ではその構造や運動性は非常に重要です.それぞれにも物質的な裏付けがあるということを理解してもらう意味で取り上げています.

生物の遺伝を担う物質であるDNAとそこにコードされた遺伝子の発現機構については、前期の授業の中でも特に重視している内容です.

今回はDNAの分子としての構造を概観しました.大ざっぱな説明しかできませんでしたが、DNAは、リン酸ー糖の骨格に4つの塩基が結合したヌクレオチドが一つの方向に長くつながった巨大な分子です.相補的な塩基同士が水素結合することによって二重らせん構造を作っています.このDNAは細胞分裂の前に複製されますが、このしくみについては来週改めて取り上げます.

細胞分裂に合せて形成される染色体について、プリントの#58にまとめた内容は生理学の知識というよりは一般常識といってもいいでしょう.現在はこの染色体がどのように構築されていくのかということが研究上の焦点にもなっています.

来週は遺伝子発現のしくみについて取り上げます.

第4回 細胞膜を介した物質移動

今回は細胞膜を物質がどのように通過していくかを、受動輸送、能動輸送、そして小胞を使った輸送の3つに分けて説明しました.いずれにしても、細胞膜の基本的な構造をよく理解していることが前提です.また、今回出てきたイオンチャネルやイオンポンプはこの後ニューロン(神経細胞)の性質を考える上で必須の知識です.また、循環器や呼吸器などのはたらきを理解する上でも欠かせません.よく復習してください.

まず受動輸送ですが、拡散として取り上げた3種類はいろんな生理学的現象を考える上で重要です.
水について少し詳しくお話をしましたが、脂質二重膜を直接通過できる物質は限られていますが、酸素や二酸化炭素、ステロイドやビタミンなど、いずれも命や健康に直接関わっている物質です.生理学2&4では細胞レベルでの移動についてはあまり詳しくは触れられないと思いますので、忘れないようにしてください.

膜チャネルは今後も何度か出てきます.しくみは簡単ですが非常に重要な役割を演じています.主にイオンを輸送するチャネルがよく出てきますが、ポンプと混同しないようにしてください.

能動輸送は、一次性能動輸送として取り上げたイオンポンプをよく理解しておいてください.アニメーションはプリントに描いたURLで見ることができるはずです.Na+/K+ポンプについて知識のなかった人は何度か見て頭に焼き付けておくといいでしょう.シンポーターやアンチポーターは余裕のある人は確認しておいてもらいたいですが、今後の授業の中で出てくることはないと思います.

エンドサイトーシスやエキソサイトーシスも今後いろんなところで出てきますので、忘れないようにしてください.

来週は細胞質と細胞核について取り上げます.