第7回 エンドサイトーシスとエキソサイトーシス、細胞骨格、細胞核

今日はややまとまりのない進み方になってしまいましたが、
細胞膜を介した物質輸送:小胞による輸送のうち、食作用と飲作用(ともにエンドサイトーシス)、エキソサイトーシス
細胞質、特にサイトゾルの構成と細胞骨格
細胞核の構造と染色体
を取り上げました.

食作用については、血液で学んだことを照らし合わせながら復習してください.食作用の全体像がややわかりにくかったかと思いますので、来週追加のプリントを配布します.また、飲作用は全ての細胞が持つ機能です.細胞内に取り込んだあとは、細胞がもつ分解系に乗せていくので、再来週くらいで取り上げるリソソームのところで、もう一度触れたいと思います.
エキソサイトーシスは、ニューロンの機能のところで実例を取り上げます.また、他の科目でも細胞が何かを分泌するという場合には、その多くがエキソサイトーシスによっていると考えていいと思います.(胃の細胞が消化液の一部として塩酸を分泌していますが、これは水素イオンチャネルなどを使っているため異なります)

授業で何度も使った細胞の図(他に見やすい図があればそっちでもかまいません)、あと3回くらいは授業の前後で、予習、復習としてよく見るようにしてください.
今回はサイトゾルという、やや漠然とした部分を取り上げました.細胞内での「化学反応の場」といわれても、その化学反応を取り上げていないのでわかりにくいと思います.来週取り上げるタンパク質の合成や修飾はこの「化学反応」に入ると考えていいと思います.また、生理学2&4の「栄養・代謝」のところで、細胞内での栄養素の分解や生成について学びますが、ここで取り上げられる化学反応は全てサイトゾルで生じるものです.


細胞骨格は3種類の名称と違いがわかってもらえれば十分です.消化管の微絨毛や気管の繊毛は、それぞれ消化器系、呼吸器系の中で学ぶことになると思いますが、このような構造ができる根拠として考えてもらえればいいと思います.

核の構造とDNA、遺伝子については来週詳しく触れます.中和医療と同様の鍼灸の専門学校の中でも最もしっかりと説明していると思います.ややヘビーに感じる方もいるかもしれませんが、テレビの教養番組などでも同レベルで説明されています.

第6回 浸透、能動輸送

今日は受動輸送のうちの浸透、能動輸送を中心に話を進めました.

今後、浸透あるいは浸透圧は取り上げることはあまりないと思いますが、ホメオスタシスを考える上で重要なキーワードです.泌尿器系や循環器系の機能を考えうえで必要ですので、そのときには改めて見直すようにして下さい.また、身の回りにも浸透あるいは浸透圧の違いによって生じる現象が数多くありますので探してみて下さい.

さて、浸透は水(溶媒)の移動ですが、受動輸送ですから、濃度差にしたがって生じる現象です.授業の繰り返しですが、この基本が重要ですので、図を見ながら自分で考えられるようにしておいて下さい.先週配布した解説も参考にして下さい.浸透圧の大きさは溶質濃度が高いほど大きいと考えますので、浸透は浸透圧の低い方から高い方へ水が移動します.

浸透圧を実際の圧力として測定することはないと思いますが、物質の濃度によってその大きさを考えることができます.詳しく勉強していないので具体的に説明できませんが、モル濃度という考え方に従ってオスモル濃度(Osm)を求めます.体液の浸透圧、約300ミリオスモル/Lという数字について、生理食塩水で簡単に説明すると、塩化ナトリウムの濃度をモル濃度で表すと150M(ミリモル濃度)で、この塩化ナトリウムが水に溶解すると、生じたナトリウムイオンの濃度と塩化物イオンの濃度はともに150M、あわせると300M.ここから浸透圧300Osm/Lとします.

能動輸送として2種類の輸送方法を取り上げました.ナトリウム・カリウムポンプは非常に重要なしくみです.今後の授業でも何度か出てきますが、細胞が生きていく上で必須です.わかってしまえば単純なものですが、能動輸送という考え方とともに、細胞あるいは細胞膜の機能を考える上でも、またこの分野の研究の進展においても重要です.また、二次性能動輸送はややわかりにくいかもしれませんが、消化管での物質移動(今日配布したプリント参照)を考えるときに特に重要です.もちろん、それ以外の場面でも大切ですが、生理学の授業では取り上げられないかもしれません.

エンドサイトーシスとエキソサイトーシスは来週改めて説明しますが、先ずが細胞が大きくものを取り込む場合と放出する場合ということで言葉を知っておいて下さい.

第5回 流動モザイクモデル、受動輸送(拡散)

今週のテーマは大きく二つ、流動モザイクモデルと拡散のしくみ です.

流動モザイクモデルは、1972年にそれまでの成果をまとめる形で提唱された考え方ですが、その後の研究も基本的にこの考え方を支持しています.脂質、特にリン脂質による二重層の構造は、細胞内と細胞外に水があり、かつ細胞の形態がかなり自由に変化するという事実をうまく説明しています.さらに、脂質二重層だけでは説明のつかない細胞膜の機能、今週取り上げた拡散に代表されるような極性基を持つ分子が自由に通過できること、細胞外からのさまざまな情報を受容していること、そのほかこれまでに見つかった「タンパク質」が果たす機能が細胞膜部分で発揮されていることから、多種多様なタンパク質が脂質二重層に存在していると考えられます.授業で使った細胞膜の図は、これらの現象を非常にうまく説明してくれます.

膜タンパク質についている糖鎖については簡単な説明で済ませてしまいました.第1章の最後、プリント40ページ以降に解説していますので、読み返して下さい.

今週の授業の後半は、細胞膜の機能の一つである物質輸送のうち、溶質の受動移動である拡散を取り上げました.先週と今週の前半で取り上げた細胞膜の構造を前提にして、その構造からどのような機能を考えることができるか、あるいはある機能を果たすためにどのような構造がつくられているのかを考えながら見直すといいと思います.

拡散は3種類に分類して考えることができます.受動輸送ですから、あくまでも濃度勾配や電気化学的勾配にしたがって移動する訳ですが、どんな物質に対してどういう通り道が作られているのか、と考えればいいと思います.それぞれの通り道がどんなところで、あるいはどういう場合にはたらくのかについては、今後の授業の中で順次取り上げていきます.例えば、第3章ではいくつものイオンチャネルがニューロンの機能を発揮させるためにはたらいているしくみを考えます.また、消化器では消化・分解された栄養素がどのように吸収されるか、泌尿器では水の再吸収をはじめ、多くの物質が腎臓でろ過あるいは吸収されるしくみを学ぶことになると思います.

来週は、前半で、受動輸送のうち溶媒の輸送=浸透について取り上げます.解説を配布しましたので、来週の授業までに一読しておいて下さい.後半では、能動輸送と小胞による輸送を取り上げます.

第4回 緩衝系、ATP、細胞膜(リン脂質)

今日はやや雑駁になってしまいましたが、今後の授業につながる重要な内容がいくつかあります.

最初に取り上げたpHを維持する緩衝系は、ホメオスタシスを成立させる上で非常に重要なしくみです.体液の水素イオン濃度によってはタンパク質の変性を生じたり、化学反応がきちんと進まなかったりして、細胞機能に大きな影響を与えることになるからです.呼吸器系や泌尿器系、先生によっては「酸塩基平衡」というテーマで独立に説明されるかもしれませんが、しっかりと勉強して下さい.

アデノシン三リン酸については、突然で何をどう理解するべきかわかりにくいかと思いますが、来週の授業では、細胞膜の機能の一つとして、ATPの分解で生じたエネルギーを使って物質を輸送するしくみについて取り上げます.また、細胞内でATPがどのように産生されているかについては、消化器系から続く「栄養・代謝」のところで取り上げられると思います.私の授業の中では、細胞の機能として、細胞質やミトコンドリアのところで簡単に説明します.

第1章の最後に、「水の不思議」、「アミノ酸、ペプチド、タンパク質」、「糖と糖鎖、糖タンパク質、糖脂質」についての解説を載せました.糖については来週の授業で取り上げる内容も含んでいますが、水とタンパク質については今日、あるいはこれまでの授業の復習もかねてよく読んでおいて下さい.「食塩が水に溶ける」ということについても説明しています.

さて、第2章から本格的に生理学らしい内容に入っていきます.今日はリン脂質の構造について説明しただけで終わってしまいましたが、「細胞膜」は前期の最も重要なキーワードです.細胞膜の構造と機能に関する理解がないと、これから取り上げていくニューロンや筋細胞の機能を考えていくことができませんので、しっかりと復習しておいて下さい.