第6回 細胞小器官、細胞分裂と染色体、DNA

今週は細胞小器官(先週の残り)と細胞分裂、染色体ならびにDNAの構造を取り上げました.

ゴルジ装置のはたらきは、先週最後に説明したリボソームや粗面小胞体の機能とあわせて考えるとわかりやすいでしょう.授業で使ったプリントp74の図は来週改めて説明しますが、自分で図の説明を読んでおくといいと思います.

リソソーム、ペルオキシソーム、プロテアソームはいずれも細胞内で不要になったものや細胞外から取り込んだ物質などを分解する小器官です.リソソーム機能は今後の学習の中でも何度が触れられることがあると思います.それぞれに特徴があり、その違いを理解しておいて下さい.

ミトコンドリアはATP産生のための小器官.ATPが細胞内でのあらゆる化学反応のエネルギー源となっていることから、細胞内の発電所などとたとえられることもあります.しかし、そんな抽象的な理解ではなく、まずは構造をしっかりと頭に入れておいて下さい.
ATP
産生の具体的なしくみは前期の後半で取り上げられると思いますが、筋細胞の性質を考えるときには、それらの知識も必要ですので、しっかりと勉強しておいて下さい.

細胞分裂のしくみについては詳しく説明しませんでしたが、今週の授業でポイントになるのは、分裂の前後で細胞がもつ遺伝情報は等しいということです.言い換えると、核内に同じ量と組成(塩基の配列)のDNAをもっているということです.したがって、染色体を中心に考えてみました.ビデオなどを思い出しながら細胞分裂の過程で染色体がどのようにふるまうのかを想像してみて下さい.

染色体は細胞分裂時にしかできませんが、常に同じ数の染色体がつくられます.ヒトが22×2246本であると説明しましたが、この程度は医学・生物学を学ぶかどうかにかかわらず常識です.また、他の生物については来週簡単に触れます.

授業では触れませんでしたが、生殖細胞は常染色体22本(対になっているいずれか一方)と性染色体1本をもっています.精子はX染色体をもっている精子とY染色体をもっている精子があります.卵子はX染色体の対になっているいずれか一方をもっているため、染色体の構成上はすべて同じです.したがって、受精によって新たにできた受精卵=個体の性別は、精子がもっている性染色体によって決まります.

来週の授業とも関わりますが、それぞれの染色体は同じ大きさ、つまり同じ量のDNAによって構成されています.1本の染色体(正確には染色分体)は一続きのDNA鎖であると考えていいと思います.途中で切れていません.したがって染色体の特定の部分は常にDNA同じ部分によって構成されています.DNAがもっている遺伝情報=遺伝子は、この長い鎖の中に位置づけられます.したがって、DNAがどのような構造であるか、遺伝子という一見抽象的な概念がどのような物質的な実体をもっているかが重要で、そこからDNAがどのような構造であるかを考える必要性が出てきます.さらに進めると、DNAを構成するヌクレオチド、実際には4種類の塩基がどのような順番で並んでいるのかが非常に重要な情報です.

第5回 細胞膜、細胞核、細胞質

細胞は細胞膜、細胞質、核の3つの部分で構成されています。今週はこの基本構成である細胞膜と核、そして細胞質(サイトゾルと細胞小器官)について取り上げました。

細胞膜の機能、特に物質輸送については再来週改めて取り上げますが、構造=流動モザイクモデルについて今回以上に説明することはありません。しっかりと復習しておいて下さい。

何よりも重要なことは、リン脂質の構造と特徴です。リン酸基をもつ頭部は強い極性があり、このことが親水性をつくりだしています。逆に、尾部の脂肪酸は極性が全くないため疎水性です。そして、1つの分子でありながら親水性と疎水性の両方の性質を持ち合つ性質を両親媒性といい、この性質を持つ物質を両親媒性物質といいます。リン脂質や糖脂質はその代表的な物質です。細胞膜という、生体の構造にとって最も基本的な部分がこのようなやや特殊ともいえる性質の物質によってつくられているということは決して偶然ではありません。それは、このリン脂質が尾部同士を向かい合わせにした二重構造になってはじめて、内部に水を溜めた状態で水の中に入ることができるからです。第1章補遺の『脂質と細胞膜』を参照して下さい。

流動モザイクモデルのもう一つのキーはタンパク質です。今後の生理学の勉強の中でたくさんのタンパク質分子の名称や機能を学びます。その中には膜タンパク質も多く含まれます。再来週取り上げる予定の「細胞膜を介した物質輸送」でもいくつかの膜タンパク質が重要な役割を果たしています。

赤血球などの例外を除いて、細胞には1個の核があります。今回は核膜で覆われていると構造だけを簡単に説明しました。内部にある核酸の構造や役割については次回取り上げます。

一つ一つの細胞の機能は細胞質で決まります。特に、サイトゾルにどんなタンパク質があり、どんな化学反応を生じているかは、細胞の性質を考える上で非常に重要です。今週の授業ではサイトゾルについては詳しく触れませんでしたが、前期の授業の中ではニューロン(神経細胞)と骨格筋線維(骨格筋細胞)を取り上げます。これらの細胞の機能もそれぞれの細胞の細胞質、特にサイトゾルにあるタンパク質の構造と機能に依っています。

細胞質にある細胞小器官については、単に列挙するような説明でおもしろくないと思います。ただ、一通り説明をしておかないと、今後取り上げられるいろんな現象を理解できないので我慢して下さい。

ただ、ひとまとめにして考えた方がわかりやすい場合もあります。来週初めに説明するゴルジ装置は、今回取り上げたリボソーム、粗面小胞体を一緒に考えるとわかりやすいので、自分で試みて下さい。

来週は、細胞小器官(残り)、細胞分裂、DNAの構造と複製、そして、遺伝子について取り上げます。

第4回 ホメオスタシス、細胞

今回は最初にホメオスタシスの一例として、体液量や体液(特に血漿)のpHについて触れました.

具体的にどのようなしくみによって維持されているかについては、他に譲るとして、それぞれが重要なしくみであり、これらを維持するために多くの器官系が関わっているということを知っておいて下さい.生理学上(皆さんの授業では生理学2&4)の最も重要なテーマの1つです.
そして、これらのしくみを考える上で共通するしくみ、概念が負のフィードバック・システムです.授業ではエアコンの温度調節を例にして説明をしましたが、何度も出てくるので、一般論を自分でも説明できるようにしておくといいでしょう.

全体のイントロダクションに少し時間をかけてしまいましたが、やっと本格的に生命現象を考えている雰囲気が出てきました.細胞の構造と機能に関する理解は、医学、生物学の基本です.避けて通るわけには生きませんし、最初の授業で「生物の階層性」という考え方について触れたように、人体の構造と機能を考える上で最も重要です.

今回は細胞膜について概観しただけですが、次回は「流動モザイクモデル」について少し詳しく触れます.最初に脂質という物質の性質についても説明しますが、第1章補遺の「水の不思議」と「脂質と細胞膜」をよく読んでおいて下さい.

生物は細胞内外での化学的反応を進めるために膨大なエネルギーを利用しています.摂取栄養の単位としても使われるカロリーとは、元々は熱量=水の温度を上げるために必要なエネルギー量として定義された量をに対する単位で、1グラムの水の温度を1度上昇させるのに必要なエネルギー量が1カロリーです.摂取量を消費量は同じです.標準の摂取カロリーは1日あたり約2000~2500キロカロリーを目安としていると思います.したがって、これだけのエネルギーを消費しているということです.単純に考えると、摂取量よりも消費量が少なければエネルギーの蓄積が増える
=太ります.

さて、摂取したエネルギーを生体内での化学反応に利用するために物質を利用します.熱にして利用するわけにはいかないので、物質がもつ化学結合に変換して蓄積します.このときに利用するのがアデノシン三リン酸、ATPです.今後の授業の中でATPが関わった現象をたびたび取り上げます.名称とどのような役割を担った物質なのかをしっかりと頭に入れておいて下さい.