第7回 遺伝子発現

今回は遺伝子発現について、遺伝子の構造から転写、翻訳、タンパク質の輸送までを考えました。

長年、何らかの形で遺伝子にかかわって研究を続けてきましたが、遺伝子の概念はこの10年で大きく変化しました。

以前は、遺伝子とは単にタンパク質のアミノ酸配列をコードする領域と考え、ゲノムの約2%程度を占めているにすぎず、DNAのほとんどがジャンクであるとされていました。しかし、DNAのほとんどの部分がRNAに転写されていて、トランスファーRNAだけではなく、さまざまなRNAが生物学的に重要な機能を担っていることが明らかになってきました。したがって、生物学的な機能を担っているのだからこれらも遺伝子と考えてもいいのではないかと考えられています。

授業ではタンパク質のアミノ酸配列の情報を保存している領域を中心に遺伝子を考えて、『約30000個』としました。今後さらに概念が変化していくかもしれません。皆さんも、常に勉強する姿勢を失わず、さらに柔軟な思考を維持していきましょう。

転写や翻訳のしくみは教科書の内容を大きく越えて説明をしました。テレビの一般向けの特集番組などでもかなり突っ込んだ説明をすることがあります。治療家といえど、患者さんからみれば『専門家』です。今回の授業内容程度は理解しておきましょう。

プリントの図を見ながら自分で説明をしてみるとよく身につくと思います。DNAとRNAでの塩基の使い分けや、翻訳に関わる小器官、mRNAの振る舞いなどは現象全体の重要なポイントですし、国試でも問われています。このあたりを中心にしっかりとおさらいをして下さい。

今年卒業した学生の1人が、重い病気のために高度医療による治療を受けることになり、医者がいろんな説明をしてくれたそうです。そのときに、DNAやRNAなどの言葉を使って説明されたようで、その学生は授業で学んだ内容でいろんな質問をしたら驚かれたと言っていました。


来週は、物質が細胞の内外を移動するときに、どのように細胞膜を通過していくのかについて取り上げます。

第6回 DNAの複製と染色体、遺伝子

今週はDNAとはどういうものかを、その構造、染色体の構成、そして遺伝子の実態として考えてみました。

細胞分裂については解剖学でも学んだかもしれません。また、高校で生物を履修していればかなり詳しく説明を受けたと思います。本来は、生理学でも取りあげるべきテーマですが、時間の都合もあり染色体を中心に考えるだけで、簡単に済ませました。したがって、重要なことは体細胞分裂における染色体の形成と分配です。

染色体の数が生物の種によって異なること、そしてヒトはいくつあり(~本と数えます)、どのような構成になっているのか、これらは社会人として常識にすらならない知識ですから必ず理解をしておくように。
減数分裂については全く説明しませんでしたが、減数分裂によって生じる生殖細胞と他の体細胞を染色体の違いとして理解しておくとわかりやすいでしょう。その上で、
「男か女になるかを決めるのは父親の遺伝子である」
という問に対しても具体的に説明できるようにしておきましょう。

DNA
(デオキシリボ核酸)の構造については『生理学のための化学』をよく読んで、また、興味のある人は他の教科書なども参考にして理解して下さい。DNAが半保存的複製によって複製されるしくみも、来週説明するRNAへの転写がおこるしくみも、すべてDNAの構造によって説明することができます。特に、塩基の種類、相補的な塩基の組み合わせを分かっていないと複製や転写という現象は理解できません。

授業で配布した「一家に一枚ゲノムマップ」は『一家に一枚周期表』と同様に科学週間の企画として作成されました。これはヒトのもつ代表的な遺伝子とその染色体上の存在位置を記した(マップした)図(マップ)です。ピックアップして説明されている遺伝子のほとんどは、今後の解剖学や生理学、あるいは臨床の科目で取りあげられるタンパク質のアミノ酸配列をコードしています。遺伝子として取りあげられることは少ないでしょうが、何らかの形で学習する内容を含んでいます。A3版にプリントしましたがもちが小さすぎて読みにくいと思います。本来はA2版またはA1版で提供されています。Webからダウンロード(左端にURLが記載されています)できますので、必要であれば拡大してみてください。また、名古屋市科学館のショップでも販売されていると思います。

第5回 細胞小器官

GWで1週間あいてしまいましたが、これまでの内容が抜けてしまっていませんか? 

生理学に限りませんが、何事も積み重ねです。わずか1ヶ月とはいえ、これまでの内容をしっかりと蓄積しておかないとこれからが大変です。特にはじめが肝心ですから、箍(たが)が緩んでいたら締め直してください。

今日は細胞小器官を取りあげました。一つ一つを解説しませんが、プリントの図をよく見ながら自分なりに表などにまとめておくといいでしょう。

細胞小器官の機能だけを取りあげて丸暗記しても意味はありませんが、しっかりと理解できていると今後いろんな組織や器官の機能を具体的に考えるときにわかりやすいと思います。授業の中でも滑面小胞体やリソソームの機能を例にして、器官や組織のはたらきにおける細胞小器官の役割を紹介しました。このように、今後の学ぶさまざまな内容を結びつけていくようにしましょう。