第2章 学習内容の要点:訂正と注意

第2章の要点のまとめに中にいくつか訂正があります。

問題(51)
 「ヒトのゲノムDNAは約32億対の塩基で構成される。このDNA上の遺伝子は塩基配列という 形でタンパク質の( a )を保存している。ヒトゲノムに保存されている遺伝子数はいく らか。 」
に対して、解答では
a:アミノ酸配列、ヒトのゲノムには約2万個の遺伝子がある。
としています。

 遺伝子の定義をどうするかによって遺伝子数の見積は異なります。タンパク質のアミン酸配列をコードする遺伝子数としては約20,000個ですが、もう少し広くとらえると、先週の授業の最後に簡単に触れたように約40,000個と見積もれますです。この根拠については今週の授業で改めて説明します。

問題(60)
 「粗面小胞体上のリゾソームで産生されたタンパク質は、合成後直ちに粗面小胞体内部へ運ば れる。さらに( a )へ運ばれて加工され、輸送小胞によって細胞膜へと運ばれて膜タン パク質として機能する。 」
の冒頭部分は
「粗面小胞体上のリゾソームで」を
「粗面小胞体上のリボソームで」に訂正します。

2018年度 第6回 細胞分裂と染色体、DNAと遺伝子

 今回と次回で遺伝子と遺伝子発現を考えます。遺伝子は、もちろん「遺伝する因子」という意味ですが、ここでいう「遺伝」とは、親から子へという意味だけではなく、細胞が分裂したときに娘細胞へ伝わるという意味でもあります。したがって、始めに細胞分裂について取り上げました。

 体細胞分裂や細胞周期のメカニズムについては現在も研究が進められている分野で、おそらく終わりはないでしょう。しかし、ビデオで見たように、細胞を顕微鏡下で観察して得られる情報はすでの多く集められています。授業では簡単な模式図しか使いませんでしたが、染色体の形成を中心に、図をよく見ておきましょう。カラーのパネルには少し解説もつけられていますのでよく読んでおくように。説明のうち、「紡錘体極」とあるのは中心体だと考えてかまいません。また、紡錘体赤道面とは中期赤道面、染色体が整列する部分のことです。

 DNAは細胞周期の間期に複製され、分裂期に入ると染色体を形成します。それぞれの染色体は二つの染色分体がセントロメアで結合した構造です。二つの染色分体を合わせて姉妹染色分体ということもありますが、両者をあえて区別する必要もないので、名称は省いて説明をしました。細胞が分割されるとき、染色分体が互いに離れて、それぞれの娘細胞へ分かれていきます。

 複製されて二倍になったDNAは、こうして2つの娘細胞へ分配されます。これら一連の現象が連続していくことから、細胞レベルでも「遺伝」と考えます。

 ところで、ヒトの体細胞の染色体の数や構成は一般常識です。一市民として当たり前の知識ですから、医学を学ぶみんなにとってはいつでも説明できなければなりません。

 DNA、あるいは核酸については『生理学のための化学』を参考に自習しましょう。ヌクレオチドの構成、相補的な塩基の組合せ、そして、2本のヌクレオチド鎖が相補的な塩基どうしが向き合うことによって二重らせん構造をつくることなど、基本的なことをおさえておけば複製のしくみや、来週取り上げる転写のしくみも理解は容易です。

 DNAの構造が、相補的な塩基どうしが向き合った二重らせん構造であるという事実は、20世紀の自然科学における最大の発見の1つです。前回紹介したオートファジーの研究も、iPS細胞の研究も、さらにこれらのベースにあるバイオテクノロジー自体が、この発見を基にして成立し発展しています。物理学分野において、量子力学無くしてコンピューターもインターネットもなかったでしょう。同じように、生物学分野においても、DNAの構造が明らかにならなければ、現在の医学・生物学の発展はありませんでした。

細胞内小器官の局在を蛍光染色で見る

 先週の授業で細胞小器官を一通り説明しましたが、その中で細胞骨格の局在を蛍光色素を使った方法で見ました。同様に、細胞内に存在する細胞小器官の局在を観察することができます。授業で一つ一つ紹介することはできませんが、以下のWebサイトでは自分でシミュレーションしてみることができます。

 細胞骨格の図の説明で取り上げたような蛍光色素を作っている会社のHPです。

ThermoFisherのWebサイト:
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/support/research-tools/cell-staining-tool.html

 全体は日本語で説明されていますが、シミュレーターソフトの部分は英語表記です。
“Preview”には白黒の細胞の図がありますが、ここに色がつきます。全体が丸く、ほぼ中央に核をもった典型的な細胞像です。
1)局在を見てみたい小器官名を選択し、
2)表示された色を決めると
3)それに応じた色素名が示されるので、いずれかを”Apply stain”すると
上にカラーで局在が現れます。右の”Applied steins”には自分が選んだ色素が順に表示されているはずです。

 複数の小器官を同時に選ぶこともできます。同じ色を重複させるとわかりにくいですから、異なった色を選ぶようにしましょう。

京都大学貴重資料デジタルアーカイブ

 先日新聞に、京都大学に日本の医学史に関する古書のデータがWebに公開されたという記事が掲載されていました。

 20世紀の前半、明治から大正の頃に書けて医学誌について研究していた富士川游の蔵書だそうです。今回初めて耳にした名前ですが、日本の医学誌の研究の草分けのような存在だそうで、明治以前の和漢の医学書を多数収集していたようです。中国の古い医学書の写本を始め、江戸時代の曲直瀨道三や山脇東洋の著作、また、前回の授業で紹介した宇田川榕庵の『植学啓原』なども含まれています。

 以下で閲覧することができます。
https://rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp/collection/fujikawa

2018年度 第5回 細胞小器官、細胞分裂

 今週は細胞質の構成要素である細胞小器官を順位取り上げて説明しました。機能のよく似たもの同士をまとめました。今後の授業で改めて取り上げる小器官もありますが、これぞれの構造の特徴と機能を自分なりにまとめておきましょう。

 細胞骨格は、それら自身がタンパク質で、重合することによって細胞内に広く分布しています。アクチンについては骨格筋の構造と機能を考えるときに取り上げます。また、繊毛、鞭毛、微絨毛は、生理学2&4や解剖学でも触れられることがあるはずですから、構造の特徴を頭に入れておきましょう。

 中心体は微小管形成にも関わっていますが、合わせて細胞分裂に関する役割について来週の授業で簡単に触れます。

 小胞体、とくに粗面小胞体とリボソーム、そしてゴルジ装置は蛋白質の合成と構造の構築に必須の小器官です。再来週の授業で具体的に機能を考えます。また、すでに配布されている『補遺・遺伝子と遺伝子発現のしくみ』でも詳しく解説しているので各自で目を通しておくように。

 滑面小胞体は細胞内の代謝などに関わった機能を持っていますが、細胞ごとに違った役割もおっているため、後者を強調して説明しました。筋細胞での役割は特に重要です。

 リソソームやペルオキシソーム、プロテアソームの三つはいずれも細胞内で何かを分解することに関わった小器官です。特に、リソソームは早くに発見され、多くの機能が明らかになっています。好中球とマクロファージのもつ食作用については生理学2ですでに学んだでしょう。生理学1でも6月に入ってから改めて取り上げて説明します。自食作用(オートファジー)については特に触れる時間はないと思いますが、『補遺・遺伝子と遺伝子発現のしくみ』で特別に説明しています。

 ミトコンドリアは『代謝』でATP産生のしくみを学ぶ中で改めて取り上げられると思います。生理学でも筋細胞の特徴を考える場合に、ミトコンドリアのATP産生能を問題にします。

 来週は細胞分裂について考えます。あまり詳しく触れる時間はありませんので、染色体の振る舞いについて特に注目します。その後、染色体を構成するDNAの構造を考えます。DNAは細胞の分裂にあたって必ず複製されますので、そのしくみも肝がんに考えておきます。その後、DNAに保存された遺伝子について考えます。

2018年度 第4回 細胞、細胞膜、細胞核、細胞質

 今回は生体の基本単位である細胞とはどういうものかを簡単に考え、構成要素のうちから細胞膜と核について考えました。

 生物の構成は非常にダイナミックで、生体では常に多くの細胞が死んでいくと同時に新しくつくられています。赤血球などはそのよい例です。受精卵からの発生過程を考えると、ビデオで見たように、1種類・1個の細胞が増殖と分化を繰り返して個体を作り上げています。細胞が分裂して増えていくしくみは次回または次々回に簡単に考えます。細胞が性質を変化させていく分化のしくみについては、残念ながら時間がなくほとんど触れることはできません。今後取り上げる遺伝子発現のしくみを踏まえて、後期の最後に時間があれば取り上げてみようと思います。あるいは補足のプリントをつくるかもしれません。

 さて、細胞の構成要素のうち最初に取り上げたのは細胞膜です。今回は細胞内外を隔てる構造物として、リン脂質を中心とした脂質二重層に特に重点を置いて説明しました。細胞膜がなぜ脂質二重膜を基本構造として作られているのかをよく考えてみましょう。リン脂質が両親媒性物質であることが重要なポイントです。この点は『生理学のための化学』の第6章でも取り上げています。小テストの範囲としては次のテーマですが、一緒に見ておくといいと思います。

 細胞膜の断面図は今後も再三にわたって取り上げます。脂質二重層を中央にして上が細胞外、下が細胞内として描かれていることがほとんどです。見慣れておきましょう。

 膜タンパク質は簡単にしか説明できませんでしたが、今後それらの内からいくつかを具体的に取り上げていきます。授業でも少し触れましたが、細胞の内外への物質輸送(第2章第7節)や細胞外からの情報の受容(第3章や第4章)に関わっている膜タンパク質を取り上げます。

 細胞核については、核内の様子と核膜の構造を説明しました。核内に存在するDNAについては来週の後半から再来週にかけて取り上げます。


 来週は、細胞質、特に細胞小器官について取り上げます。やや羅列して説明する様な授業になると思います。ややもすると眠たくなります。それを防ぐ最もよい方法はしっかりと予習をして、疑問を持って授業に臨むことです。

 授業で触れたRobert HookeのMicrographiaは以下のサイトで全文、全図を閲覧可能です。興味があれば是非どうぞ。
http://www.gutenberg.org/ebooks/15491?msg=welcome_stranger
または
http://www.gutenberg.org/files/15491/15491-h/15491-h.htm

『生理学のための化学』訂正

 すでに以下の点を訂正しました。
 『生理学のための化学』のうちの、次回のテスト範囲に一部訂正があります。:22ページ右段、下から5行目から6行目 「水素イオンと水酸化イオンが結合して」➡「水素イオンと水酸化物イオンが結合して」

 さらに、もう1カ所の訂正があります。
 21ページ右下の囲みの14行目、「1モルは 22.95グラム」を「1モルは 22.99グラム」に訂正して下さい。前半からつなげると、
「ナトリ ウム原子は原子量22.99ですから、ナトリ ウム原子は原子量22.99ですから、1モルは 22.99グラムです。 」

 したがって、塩化ナトリウムの分子量は58.44です。