第23回 聴覚

時間がかかってしまい申し訳ありません.

今週は聴覚の構造と機能、特に空気の振動である音波がニューロンの電気的な興奮にどのように置き換わるのかというしくみを考えました.さらに、このニューロンの電気的は興奮がどのように中枢で伝えられていくのかという伝導路も概観しました.

伝音部では中耳の耳小骨での振動の増幅、感音部の内耳では内耳・蝸牛にあるコルチ器の働きを詳しく説明しました.有毛細胞は味覚器や嗅覚器、そして来週取り上げる平衡感覚器でも中心的な役割を果たしています.どういう訳はこれらの感覚器ではほぼ同じようなしくみがはたらいていることになります.

プリント229ページと230ページにまとめた刺激の伝わり方をよく見直しておいてください.生理学的には一番重要な部分です.

また、有毛細胞でどうして脱分極が生じるかというしくみを簡単に考えました.この20年くらいの間に分子レベルでの解明がどんどん進み、細胞あるいは細胞膜での電気的な反応をタンパク質のはたらきによって説明できるようになってきています.「感覚」という大きな現象を抽象的な表現ではなく、しっかりとした実体を伴った議論の対象になってきたということでしょうか.

来週は、実体論的な議論という点では最も遅れている平衡感覚を取り上げます.また、その次の視覚は、感覚の中でも最も研究の進んだ分野です.

第22回 嗅覚、音の特徴

今回はちょっと雑談(音の特徴)が長かったので、本筋は嗅覚だけで、小テスト対策としてはそれほど分量はありません.

解剖学の復習も兼ねることになると思いますが、構造をよく確認した上で、嗅上皮と嗅細胞、そして嗅神経の機能を見直してください.
また、嗅覚の伝導路を国試で問われることはないと思いますが、これまでにやった体性感覚や味覚と比較しながら、考えてみてください.聴覚や視覚とも比較できますが、脳幹や視床を経て新皮質という他の感覚にみられるようなルートではなく、嗅球-嗅策-辺縁系という、やや原始的なルートが残されています.嗅覚が進化的にかなり初期に獲得された感覚であるということを物語っていると思います.

来週は聴覚器の構造と音波がどのようにして神経系の興奮に置き換えられていくのか、そして聴覚の伝導路を取り上げます.

第21回 関連痛、味覚

今回は前回やり残した、内臓痛覚、特に関連痛の生じるしくみをはじめに取り上げました.考え方を説明しただけですが、「感覚」を考える上での基本が隠れています.よく頭に入れておいてください.また、プリント205ページの図は、同じような図がいろんな教科書に掲載されています.細かく覚える必要はありませんが、授業でも紹介した心臓などは典型的で、いろんなところで例示されるので覚えておくといいでしょう.

一般感覚は、表在感覚と深部感覚(特に筋紡錘)を中心に考えました.受容器や伝導路の構造と機能がよく研究されており、いろんな文献も出版されています.夏休みの宿題とした講談社ブルーバックスにも関連本がありますので、自分なりに勉強してみてください.また、前期に学習した内容や生理学2&4、解剖学で学んだ内容も随所に顔を出してきていると思います.できるだけ授業中に話題を振って、思い出してもらえるようにしていますが、忘れていることや理解に自信のないところがあれば、自分でよく復習しておいてくさい.

さて、感覚機能のうち、もう一つの大きなテーマである特殊感覚に入りました.大きく5つの感覚を取り上げますが、今回は第1番目の味覚.

味覚は、嗅覚とともに、化学物質に対する感覚です.摂取できる物質と摂取してはいけない、あるいはできない物質を区別することは、生存にとってきわめて重要な問題です.生物の進化の過程で、いつ頃獲得したのかわかりませんが、自ら食べられるもの、より栄養価の高いものを求める上で必要な感覚として身につけていったのでしょう.

受容器の構造と簡単なしくみを説明しました.5基本味に対する受容体のはたらきと、味細胞の興奮がどのようにして中枢まで伝えられていくのか、しっかりと見直しておいてください.味覚の伝導路を構成する脳神経などは試験問題にしやすいテーマです.

来週は嗅覚を取り上げた後、少し雑談をします.

第20回 体性感覚の中枢

文化祭はいかがでしたか?

今週は、先週の後索路と脊髄視床路に加えて、三叉神経系を取り上げました.これで、全身の体性感覚(特に表在感覚)を担う伝導路をすべて描き出すことができます.そして、脊髄小脳路、脊髄網様体路という、感覚の知覚だけではなく、運動機能へのフィードバックや情動性などに関わる伝導路にも触れました.先週同様に、共通点と相違点をはっきりさせながら復習してください.

さらに、こうした伝導路の知識を前提に、体性感覚の中枢について考えました.

視床はこの後の特殊感覚の伝導路でも何度か出てきますが、多くの感覚において伝導路の中継地点として重要な位置を占めています.
そして、大脳皮質の一次体性感覚野の特徴は、非常に重要です.自分の言葉で説明できるようにしておいてください.

他の哺乳類と比べてもヒトの手の機能は特別です.これはとりもなおさず、手、指の感覚を担っている領域がそれだけ大きく発達しているということを示しています.大脳皮質の新皮質はヒトで特に発達している部位ですが、体性感覚という、他の哺乳動物でも全く同様に持っているであろうような感覚についても、脳に注目してみると、ヒトがいかに特殊な能力を獲得した動物であるかがよくわかると思います.

来週からは「特殊感覚」に入ります.ここでも、ヒト以外の動物とも比較しながら考える時間を作れればと思っています.