2016年度 第23回 平衡覚、視覚

 今週は前半に小テストを行いました。問題と解答は別途掲載しましたので、各自でよく見直してください。漢字の間違いや、文意が十分に理解できていないと思われる誤りが目立ちます。試験はどれだけ理解できているかをはかるものですが、あくまでも事前の準備(つまり試験勉強)ができていることを前提として実施します。したがって、当然用いるべき用語や語法を身につけているものとして採点します。穴埋め問題などで、ただ文意が通じればいいというものではありません。気をつけましょう。

 さて、授業では平衡感覚の受容のしくみと伝導路を取り上げました。授業中にも触れたように、聴覚のしくみときわめて類似しています。したがって、内リンパの性質や有毛細胞、感覚毛の特徴を理解した上で、半規管や耳石器が、それぞれどのような刺激によって反応するのかをよく考えるようにしましょう。

 半規管膨大部や卵形囊、球形囊の平衡斑の有毛細胞の興奮の伝達を受ける感覚神経について、「前庭神経」としました。まずはこの名称でしっかりと理解しましょう。さらに詳しく名称を挙げると、前庭神経が分枝して、膨大部有毛細胞へは膨大部神経、2つの平衡斑へはそれぞれ、卵形囊神経、球形囊神経と呼ばれる神経が伸びています。

 これらの神経はいずれも前庭神経節に細胞体がある双極性ニューロンです。この前庭神経が一次ニューロンとして前庭神経核へ入ります。伝導路の図をよく見ると、前庭神経の終末が分枝し、いくつかの神経核へ入っています。前庭神経線維は延髄に入り、4つの神経核に入ります。そこからさまざまな運動中枢へ神経線維が伸びており、情報を送っています。

 前庭が刺激を受けると、眼球運動が生じたり、頭部を回転させたり(頸部の筋が関わる)、四肢や体幹を動かすような運動が生じたりします。これら運動を保証するために、図にあるような多くの神経核とつながっています。

 視覚に関しては、眼、または眼球の構造と光(電磁波)の性質を簡単に説明しました。光の特徴は来週、または再来週の授業で改めて触れますが、プリントをよく見て全体を理解しておくこと。

2016年度 第22回 聴覚

 今回は前半で空気の振動である音、音波とはどのようなものであるかを簡単に説明しました。

 横波は水面の波ですからわかりやすいですが、縦波はわかりにくいですね。Wikipediaの英語版で”Longitudinal wave”を引くと縦波のアニメーションがあります。

 縦波といえど、グラフにするときにはサインカーブのように横波のように描きます。このグラフの縦方向は空気の分子の疎密の程度(言い換えると、空気の圧力)を表し、横方法は波の進行方向または時間を表します。縦方向を振幅といい、この大きさ、つまり空気分子の疎密の程度によって音の大きさが表されます。一方、横方向の周期の頻度=周波数、つまり空気の分子の疎密の幅によって音の高さが表されます。それぞれ、ベル(Bel、またはデシベル;dB)とヘルツ(Hz)という単位で表記します。

 音の大きさは、数デシベルから100デシベルくらいまではほぼ聞き分けることができます。音の高さは20Hz前後から1万数千Hzまで十分聞き取れます。おおよその目安として知っておくといいでしょう。ただし、聞き取れる音の高さの範囲、詰まる周波数は教科書的には20~20,000です。

 耳の構造については、今回は聴覚器としての生理機能を考える上でどうしても必要な部分に絞って説明しました。解剖学で学んだ内容を改めて見直しておくように。

 さて、音波が聴覚受容器である内耳の有毛細胞までどのように伝わっていくのか、改めて考えてみます。全体として重要なことは、空気の振動が、耳の構造を通過する中で、物体である鼓膜や耳小骨のほか、有毛細胞の感覚毛などの機械的振動や内耳の液体の振動に順に変換されて、最後にニューロンの電気的な興奮が発生するということです。

 空気の振動である音波は耳介で集められて外耳道へ入ります。ここでは、音源の発した周波数と音圧によって空気の分子が振動しています。音波が鼓膜に達すると、音圧の強さと周波数に応じて鼓膜を振動させます。つまり、空気の振動が固体の機械的振動に変換されます。さらに、鼓膜の振動は耳小骨に伝えられ、これら機械的振動を繰り返す中で増幅されます。この部分の説明を省略したのでややわかりにくいかもしれませんので、来週もう一度説明します。

 耳小骨のうち、アブミ骨は卵円窓と結合しており、アブミ骨の振動はそのまま卵円窓の振動を引き起こします。卵円窓は前庭階内の外リンパと接していますから、外リンパ、すなわち液体が振動します。液体は、振動するという減少については空気と同じであると考えて差し支えありませんので、外リンパの振動とは、つまりここでも縦波が生じます。空気よりも液体のほうが波のつくり出す圧力が大きいため、特に圧力波という言い方をすることがあります。

 外リンパの振動は、途中で前庭膜を振動させながら前庭階内を伝わっていくはずです。前庭膜は鼓膜と同じように、縦波の振動に呼応して前庭階内と蝸牛管内を往復するように振動します。当然、蝸牛管内の内リンパが振動します。この結果、前庭膜と反対側に当たる基底膜を上下させるように振動させます。基底膜が振動するとコルチ器も一緒になって動きます。

 コルチ器が上下に振動するときに、有毛細胞の感覚毛が蓋膜にあたります。外膜にあたった感覚毛が曲げられると、感覚毛の先端にあるカリウムチャネルが開放し、内リンパ内のカリウムイオンが細胞内へ流入します。この結果、有毛細胞に受容器電位が生じ、閾値を超えれば活動電位が生じます。

 驚くほどによくできたしくみです。

 有毛細胞が興奮すると、蝸牛神経とのあいだでシナプス伝達が生じて、蝸牛神経に神経インパルスが発生します。

 牛神経は延髄の蝸牛神経核に投射し、その後、左右に分かれた並行回路として左右の視床内側膝状体へ入ります。この後、左右それぞれの大脳皮質側頭葉にある一次聴覚野に興奮が伝えられて聴覚が発生します。

 来週は平衡感覚を説明した後、視覚に入ります。

2016年度 第21回 味覚、嗅覚

 今週は化学感覚である味覚と嗅覚を取り上げました。それぞれ、化学物質が口腔あるいは鼻腔に入るときの状態は異なりますが、受容器細胞と反応するときにはいずれも水溶性の状態です。イオンチャネルを通過あるいは受容体と結合することによって受容器細胞に脱分極を生じるという点で共通しています。

 舌や乳頭の構造は解剖学で学んだと思いますので、味蕾、味細胞の構造と性質をよく見直しておくように。基本味は5種類あり、いずれも味毛の受容器と反応して(またはイオンチャネルを通過して)味細胞に興奮が生じると、味神経に興奮が伝達されます。伝導路の特徴は、舌から孤束核までの脳神経の分担をよく確認しておくように。そして、二次ニューロン、三次ニューロンと介して一次味覚野へ興奮は到達します。大脳皮質(新皮質)での一次味覚野の場所を必ず確認しておくこと。

 鼻腔の構造は各自で見直してください。その上で、嗅上皮、篩板、嗅球などの構造も確認しておきましょう。嗅細胞は味細胞と異なり、双極ニューロンです。つまり、一方の樹状突起が嗅毛(嗅小毛)として鼻腔側へ出ており、他方の軸索は嗅神経として篩板を通過して嗅球へ伸びています。中枢部位がいくつかの部位に渡って広がっているため、嗅球から後の伝導路もすっきりとしたものではありません。梨上皮質な眼窩前頭皮質、扁桃体などは嗅覚情報が集まり、さらに他の反応を引きを超すことに関わるという点で重要な部位です。

 味覚も嗅覚も情動反応などを引き起こします。消化機能などに関わる本能行動を引き起こす引き金にもなっています。こうしたことも、他の感覚にはない特徴ですので、頭に入れておきましょう。

 来週は聴覚を取り上げますが、はじめに聴覚の適刺激である音波について取り上げます。また、聴覚器、つまり耳=外耳、中耳、内耳の基本的な構造は予習として、解剖学で学んだ内容をよく見直しておくこと。

2016年度 第20回 伝導路、体性感覚の中枢、内臓感覚、痛覚の特徴

 今回は前回に引き続き、体性感覚の伝導路を取り上げました。脊髄小脳路の機能は、この後で学ぶ運動機能や中枢の機能と結びつける必要があります。授業でも指摘すると思いますので、そのときに振り返るようにしてください。

 痛覚に関わって取り上げた脊髄網様体路は、最後に取り上げたストレスなど痛覚に伴うさまざまな反応を考える上でポイントとなる伝導路です。脊髄視床路と一緒によく見直しておくように。

 体性感覚の中枢の特徴を理解することはとりわけ重要です。毎年期末試験でも問うていますが、体部位局在に関する特徴や、感覚の鋭敏さと中心後回で占める領域の大きさの関わりなど、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。一つ一つの特徴や現象をしっかりと説明できるようになっていくと、授業で学んだ一つ一つのことが、より具体的に見えてくると思います。

 内蔵痛覚の特徴、関連痛も疾患の特徴を知る上で必要な知識ですので忘れずに復習しておきましょう。