第18回 受容器の特徴、触圧覚

今回は、最初に感覚機能に関する一般的な性質の1つとして、感覚単位を取りあげました。ややわかりにくかったかもしれませんが、二点弁別閾で説明した「受容野」とも関わりのある考え方です。関連させて見直しておいて下さい。

表在感覚の冒頭で、「感覚点」として、感覚を生じる部位が点状に存在すると紹介しました。「点」といっても、この場合の「点」はやはり「面」であって、一定の面積をもっています。そして、1つの感覚神経がある面積に加えられた刺激に反応するということです。

感覚受容器はいくつかの考え方に従って分類することができます。授業でもいくつかを説明しましたが、最初に取りあげた、①自由神経終末、②被包神経終末、③感覚受容器細胞 という3種類に分けて考えるのが最もわかりやすく、かつ、このあとの勉強に役立つと思います。

さて、今回から3回ないし4回にわたって体性感覚を取りあげます。実際に自分が体験しているものであるだけに、具体的にイメージをしながら一つ一つ理解していくのがいいでしょう。

今日は皮膚感覚(表在感覚)のうちの触圧覚でした。二点弁別閾については最もよく研究されていて、いろんな資料を手に入れることができると思います。また、直接刺激を受容する感覚受容器は5種類。被包の形態や真皮のどこにあるのかがそれぞれ異なっていますが、何よりもどんな刺激に反応するのかについてよく理解しておいて下さい。授業では最後にルフィニ終末とパチニ小体を例にして説明をしました。それぞれの順応性を考える上でも重要なポイントです。

また、受容器から中枢へ伸びている神経線維の種類も重要です。次回取り上げる他の表在感覚についても、それぞれの受容器から中枢へ伸びる神経線維を説明しますが、すべて違いがあります。これらの点は表在感覚を考える上で大切なポイントですから、その都度しっかりと頭に入れておいて下さい。

第17回 運動単位と収縮、感覚の一般的性質

後期は休日となる月曜日が多いため、間が空いたようになりやややりにくいのですが、皆さんはできるだけ授業の直後と直前に見直しをして、忘れないようにして下さい.

さて、今回は骨格筋線維の運動単位についてと感覚機能のイントロダクションでした.

運動単位は定義をよく確認して下さい.これが抜けてしまうと何にも分からなくなってしまうので、しっかりと頭に入れておいて下さい.そして、運動単位の性質をいくつかにまとめましたが、図を見ながら(あるいは自分で描いてみて)整理しましょう.
・運動ニューロンはいくつの筋線維を支配しているか.
・運動ニューロンが支配する筋線維の違いを決めているのは何か.
・1本の筋線維はいくつの運動ニューロンに支配されているのか.
・運動単位を構成する筋線維の種類は?、運動ニューロンの性質は?

単収縮は実験的に観察される現象ですが、単収縮が加重されることによって生じる強縮は運動のための筋収縮においては基本的な現象です.授業で使った図を見ながら自分で説明をしてみましょう.また、前回の追加プリントの図をみながら運動単位ごとの単収縮と強縮による張力や疲労のしかたの差を考えてみました.もう一度自分で説明できるかどうかトライしてみましょう.

後半は感覚機能に関わる特徴を説明しました.次回の前半までかかりますが、やや抽象的でわかりにくいところもあるかもしれません.体性感覚として最初に表在感覚を取りあげますが、ここまで理解できると全体が見えてくると思います.

適合刺激が何なのかについては、それぞれの感覚ごとに説明をします.刺激の物理的な性質についても時間の許す限り考える予定です.また、感覚の投射はややわかりにくいかもしれませんが、「眼から火花が散る」と「幻肢痛」を例に挙げてみました.もう少しいいたとえがないか考えてみて下さい.また、ウェーバーの法則は、刺激の大きさと実際に体験する感覚を定量化するために最も重要で基本的な考え方です.弁別閾という考え方も来週もう一度取りあげることになりますので、よく復習しておいて下さい.

早老症

早老症という病気をご存じでしょうか?

有名なのはプロジェニア症候群とウェルナー症候群です。いずれも遺伝子変異で生じる先天異常で、残念ながら治療法はありません。成長途上で老化が始まり、寿命も非常に短いのが特徴です。

突然の話題ですが、土曜日の夜にNHKプレミアムで放送された『怪奇大作戦』というドラマの中で使われていたので、少し紹介します。(番組のHPはここ

このドラマは40年以上前に円谷プロが作った同名の特撮ドラマのリメイクです。もちろん設定は現代で、登場人物の服装や持ち物も現代的にPCやネットを駆使して問題解決に当たっています。また、最新の科学的な話題も散りばめられていて、初回だけですが、面白そうな番組でした。

初回にあらすじは、
体液を吸われてミイラ化したが発見されたところから始まります。実は、孫娘が原因不明の早老症を患っているため、なんとかしようとする技術者の犯行でした。冬虫夏草をご存知かと思いますが、昔は不老不死の作用を持っていると考えられていた食虫植物です。そこで、この植物の変異体を作り、人の血液を吸わせて大量培養して、不老不死の効果のある成分を抽出しようとしていたという話です。

必要なのは血液だけということになっているのですが、食虫植物の作用ゆえにか(?)、全体液を吸ってしまう設定です。

ドラマの中で出てきた医学・生物学的な話題は、冬虫夏草からある成分を抽出しようとしているということの他に、原因となった早老症が有名なウェルナー症候群でもプロジェニア症候群という遺伝子変異によるものではなく、DNAのメチル化によるものだとしていたこと。ドラマでは「遺伝子のメチル化」といっていましたが、正確ではありません。後天的な原因であるがゆえに、治せるのではないかという期待を持ってしまったというのが事件の背景です。

相当に専門的な知識がないと理解できない内容ですが、それだけに制作者たちの意欲を感じました。DNAのメチル化についてはまた取り上げます。

第16回 筋のエネルギー供給と筋線維の種類

期末試験はいかがでしたか。一つ一つの問題は決して難しくはなかったと思いますが、正確に、そしてわかりやすく説明するためには「うろ覚え」ではなく、自分の言葉で語れるようになっていることが必要です。不十分な成績だった人は、もう少し時間を使って、深く理解できるようにしましょう。

学校での勉強は単に知識や技術を身につけるだけではなく、卒業後にスキルアップするための能力を身につけること、言い換えると「自分で勉強する力」をつけることが最も重要です。そのためのベースは人の話を聞いたり、書かれたものを読んだりして理解することです。授業を含めた日々の学習はその実践であり、修練です。ノウハウはいろいろあると思いますが、まずは授業中にノートをとる(or プリントに書き込む)こと、授業のあとで分かっていることと分からないことを自分なりにはっきりさせる努力をすることから始めるといいのではないでしょうか? もちろん分からないことはそのままにするのではなく、分かっている人に尋ねることが大切です。

さて、今日は前期のやり残しですが、骨格筋がどのようにATPをつくっているのか、そして、その方法によって筋の性質が異なっていることを学びました。

細胞でのATP産生については生理学or Ⅳ)で取りあげられる分野です。グルコース1分子をもとにどのステップで何分子のATPがつくられるのか、グルコース1分子がどのように代謝されていくのか、糖質以外の栄養素:脂質とタンパク質がどのように代謝されるのかなどもう一度確認して下さい。代謝に関わる内容は苦手な人も多いかも知れません。少し時間をかけて説明したつもりですが、今回の内容に合わせてもう一度よく見直しておいて下さい。

筋では非有酸素反応と有酸素反応以外にローマン反応という特別なしくみがあります。クレアチンリン酸にリン酸基を蓄えて、必要時にADPをリン酸化してATPを産生する方法です。この方法は可逆的反応としてすすむ純粋に化学的な反応と考えることができます。授業の内容に付け加えておくと、ローマン反応は筋線維の種類を問わず利用されている方法ですが、やはり収縮が速い筋ほど一気に多量のATPを消費するため、ⅡB型筋線維ではローマン反応の能力が高いようです。

では、最後に取りあげた筋線維の種類のポイントです。国試では赤筋線維、白筋線維(または遅筋線維と速筋線維)という分類で問われていますが、色の違いはミオグロビンの含量に依存しているため、筋収縮のためのATPをどのような方法でつくっているかを考えることが重要だと思います。したがって、授業のように大きく3つに分類して考えてみましょう。プリントのp188に3種類の筋線維の特徴を比較しましたので参考にして下さい。特に、それぞれの筋線維の主な役割とその筋の機能的な特徴をあわせて考えられるようにしておきましょう。
表の中には、今日の授業で説明しなかった内容も含まれていますが、一部は次回の授業で取りあげます。また、「クレアチンキナーゼ」はローマン反応を触媒する酵素のことで、この酵素の量が多いゆえに、上で説明したように、ⅡB型筋線ではローマン反応の能力が高いのです。