第19回 感覚の特徴

今回は感覚機能に関する一般的な性質を取り上げました。
適合刺激は当たり前のようですが、化学物質のようにいくつかの受容器に対して適刺激となるものもあります。同じ物質が同じような反応を生じるわけではありませんが、ヒトへの進化の過程で獲得していった能力です。

感覚の投射は具体的な例を示した考えました。感覚機能を考える上で非常に重要な考え方です。

刺激の強さと感覚の大きさは、感覚機能が神経系の機能であるということを考えるとよく分かると思います。感覚が生じるためには「閾値」が存在し、刺激の大きさの変化を知るためには「弁別閾」が存在します。後半で取り上げた二点弁別閾も考え方としては同様です。感覚機能を考える上で常についてくる考え方です。
また、ウェーバーの法則も現実の問題を具体的に数式にするのは難しいかもしれませんが、弁別閾を理解する上でわかりやすいと思います。

来週以降、一つ一つの感覚機能を取り上げていきます。すべてにおいて、受容器への刺激がニューロンを興奮させ、これがどのニューロン、どの神経線維を通って中枢へ伝えられていくのかを考えます。そのためには、受容器の種類と一次ニューロンの関係をしっかりと理解している必要があります。受容器の構造と合わせて見直しておいてください。

表在感覚は身近でテストしやすいため、ヒトを対象として古くから研究されてきています。感覚点という考え方はヒトを対象とした研究の中から出てきたもので、その意味で有効です。その一方で、ヒトを対象とするが故に試せないこともあります。例えば、来週取り上げる「かゆみ」についての理解が進まなかったことなどです。感覚受容器の実体がどのようなものであるのかということは、動物実験や分子レベルでの解析の結果から明らかになってきました。授業ではこれらを織り交ぜて説明をしていく予定です。

第18回 筋線維の種類と運動単位

今回は筋線維を分類し、さらに筋線維をそれを支配する運動ニューロンをひとまとめにして考えたときに見えてくる特徴を考えてみました。

筋線維は大きく2種類、赤筋と白筋、遅筋と速筋と分けるのが最も一般的です。筋線維の疲労の程度を同時に考えることもできるため、この分類がいろんな解説書で取り上げています。しかし、ATPの産生方法や太いフィラメントをつくっているミオシンタンパク質の性質(ATPを分解する活性の強さや速度)に注目してみると、授業で説明したように3種類に分類できます。分子細胞レベルで考えるときにはⅠ型、Ⅱ型(AとB)に分類して考えた方が理解しやすいと思います。

他の科目で学んだ解糖系や酸化的リン酸化に関する知識が必要です。あわせて見直すとより理解が深まるでしょう。

プリントに載せた表を手がかりに、自分なりにまとめ直してみると、それぞれの特徴がよりはっきりとしてくるはずです。例えば、筋線維の直径、収縮の速度、細胞内のミトコンドリアやミオグロビンの量、グリコーゲンの量が、筋線維の種類によってどのように異なっているのか。あるいは、筋線維ごとの疲労しやすさとATPの産生方法の違い、など自分でテーマを決めてまとめ直してみるといいでしょう。

このことは、運動単位ごとの特徴を理解することにもつながります。

運動単位は実際の運動を考えるうえで重要な考え方です。その構成を理解した上で、神経支配比の違いと筋の性質、特徴をよく考えておきましょう。

第17回 筋のエネルギー産生

後期に入り時間割が変更になったこともあり、調子が狂ってしまいました。

後期第1回目の授業では骨格筋線維がどのようにATPを産生しているのかについて取り上げました。生理学Ⅱに学んだ内容を見直さないと十分に理解することはできないと思います。前期試験直後ですが、だいぶん忘れているようでしたので、改めて復習をしておくように。

筋線維でのATP産生について3段階で考えました。
ローマン反応はクレアチンリン酸からADPへリン酸基が移動してATPがつくられます。クレアチンキナーゼという酵素が働くことによって、1段階の化学反応でATPをつくることができます。全体として、後の反応ほどに大量のATPを産生することはできないようですが、とにかく速くつくることができます。

解糖系(非有酸素反応)はつくれるATP量は限られていますが、細胞内外に大量にあるグルコースを原料にできるという利点があります。そして、次回取り上げる、白筋線維ではこの解糖系によって大量のATPを産生して利用しています。

酸化的リン酸化(有酸素反応)=クエン酸回路+電子伝達系は本格的にATP産生を始めるために時間がかかりますが、三大栄養素である脂質(直接には脂肪酸)、タンパク質(同様にアミノ酸)、そして糖質(グルコース)のすべてを原料にして長時間にわたって大量のATPを産生できます。赤筋線維がこの方法でATPをつくっています。

筋の機能は次回途中できりがつくと思います。続いて、後期の内容である感覚機能に入ります。