第20回 深部感覚、体性感覚の伝導路

今週は深部感覚と体性感覚の伝導路を取り上げました。

深部感覚では、固有感覚、特に筋紡錘と腱器官を受容器とする感覚に絞って詳しく説明しました。それぞれの構造、筋紡錘であれば錐内筋とそこに巻き付くようにして終止しているⅠa群感覚神経、腱器官であれば膠原線維とそこに絡みついているⅠb群感覚神経です。必ず図を描いてそれぞれの構造に名前をつけるようにしましょう。

筋は収縮、弛緩に伴って長さとかかっている張力の大きさが変化します。また、長さの変化のしかたにも時々で差があります。これらの変化量を神経の興奮頻度という形で中枢へ伝え、解析・処理された結果、全身の筋の状態を把握して、運動状態を知ることができます。

後半では先週と今週の前半で取り上げた体性感覚全般の受容器情報がどのようにして(あるいはどこを通って)中枢に伝えられるのかを概説しました。基本となるのは3つのルート、後索路、脊髄視床路、三叉神経視床路です。体性感覚全般の伝導路を、表在部位と感覚の種類で分けてまとめました。教科書のまとめ方とは異なりますので注意して下さい。脊髄網様体路は脊髄視床路の枝のようなルートですが、痛覚に特有のルートですから、特殊なものと考えた方がわかりやすいでしょう。

来週は伝導路によって興奮が伝えられるところ、中枢の機能の特徴を考えます。また、内臓感覚についても簡単に触れた後、痛覚について改めて特徴を考え直してみます。

第19回授業の記録

今週の授業では表在感覚を一通り取り上げて説明しました。3年生になって改めて取り上げる授業があるはずですが、患者さんに対して直接触れる部分の重要な特徴ですから、しっかりと見直しておいてください。

取り上げた感覚の適合刺激がどのような性質を持っているかは自明であるため、説明は省きました。それぞれの受容器の構造、反応のしかた、神経線維の種類そしてそれぞれがどのような感覚であるのかを軸にして、一覧表にしたり箇条書きにしたりしながら自分なりにまとめておきましょう。

触圧覚は受容器が5種類あります。授業で説明したとおり、分布と順応速度に差があります。構造的にもそれぞれ特徴がありますので、ほとんどは被包神経終末という点で共通しています。順応速度の差はそれぞれが刺激を受けたときにどのように反応するのかという差に一致します。

・刺激が加えられ皮膚が変形すると興奮し、変形の大きさに興奮頻度が比例しているのがメルケル盤とルフィニ終末です。したがって、これらの受容器は順応するまでにかなりの時間がかかります。
・皮膚が変形する速度に興奮の頻度が比例しているのがマイスナー小体と毛包受容器です。変形のしかたが速いと興奮頻度が高くなり、ゆっくりと変形すると興奮頻度は低くなります。形が一定な状態で維持されているとこれらの受容器は反応しなくなります。したがって、刺激を受け始めたうちは興奮していますが、ある程度刺激を受け続けて、皮膚の変形の程度が安定すると順応します。多くの場合、速く順応することになるでしょう。
・皮膚の変形の速度が変わったときに反応するのがパチニ小体です。例えば、変形していない状態(刺激を受けていない状態)から変形を始めたときや、変形が続いている状態からそれ以上は変形しなくなるときです。刺激の強さが変化すると変形するスピード(速度)が変わる、すなわち加速度が変化します。わずかな時間で生じる現象ですから、パチニ小体はいったん反応してもすぐに興奮がなくなります。つまり、非常に速く順応します。

温度感覚と痛覚は受容器が自由神経終末であるという点で共通しています。実体は軸索終末にあるイオンチャネルでですが、まだまだ研究途上にあると言っていいでしょう。授業では一部を紹介しましたが、まずは感覚点とそこある自由神経終末が反応していると理解しておきましょう。温覚受容器、冷覚受容器、高閾値機械受容器、熱痛受容器、冷痛受容器、ポリモーダル侵害受容器とそれぞれから伸びる神経線維の種類を整理しておきましょう。

また、痛覚、疼痛に対する理解は医学の基本だと思います。多くの患者さんはどこがか「痛い」と感じて治療を考えます。刺激とそれに応じる受容器の種類、その受容器が刺激されたときの痛みの感じ方をきちんと説明できるようにしておきましょう。自分で説明できるということが、他人の話を理解することにつながると思います。

前期末に配布した練習問題の解答に誤りがありましたので訂正します:(53) a:S(型)、b:FF(型)

第18回 感覚機能総論

今週は感覚機能を考えていく上で必要な一般論を概観しました。やや雑ぱくになってしまいましたが、いずれも感覚機能を考える上での基本的な概念ですので、よく確認しておいてください。

感覚中枢は一部の感覚を除いて、大脳皮質の特定の領野に特定できています。今後の授業では、具体的にどの部位かを示します。解剖学で学んだ大脳の構造をよく見直しておくようにしてください。そして、感覚の投射という現象についても確認しておきましょう。

ウェーバー(エルンスト・ハインリヒ・ヴェーバー、Ernst Heinrich Weber)については来週の授業でも簡単に触れます。感覚機能について有名な実験し法則を見いだした19世紀のドイツの解剖学者・生理学者です。

来週以降、それぞれの感覚について受容器の構造と機能を最初に考えます。ニューロンの一部に刺激に反応するイオンチャネルがあることによって受容器として機能するもの、元々はニューロンであった者が軸索を持たなくなって独立した細胞として刺激を受けて興奮することに特殊化したものがあります。それぞれで説明しますが、あらかじめどんなタイプがあるのかを頭に入れておきましょう。そして、末梢から中枢に向けて興奮を伝えていくニューロンのうち、最も受容器側(またはその一部を受容器としているもの)にあるニューロンを一次ニューロンといいます。授業では触れませんでしたが、中枢に向かって順に二次ニューロン、三次ニューロン、四次ニューロンと数えていきます。いくつのニューロンを経由して中枢へ伝わるかは感覚の種類によって異なります。

最後に表在感覚に関する特徴を説明しました。表在感覚の場合は、感覚点が点状に分布しているために2点弁別閾という考え方が必要です。触圧覚が最もよく検討されていることは授業で説明したとおりですが、痛覚では分布のしかたが大きく異なりますので注意してください。

第17回 筋線維の種類と収縮の特徴

後期第1回目は前期の続きで、筋系について取り上げました。今回は、ATPの産生方法によって骨格筋を分類して、さらに、筋線維の収縮がどのように調節されているかを考えました。

筋線維の分類方法はいくつか知られていますが、最もわかりやすいのはその色、または筋収縮の速度による分類です。しかし、これらの特徴は筋の構造や収縮に関わるいくつかの性質を反映しているため、結局はATPの産生方法によって分類していることになります。

これまでの国家試験では、赤筋、白筋という分類でその特徴、構造を問う問題が出題されています。したがって、まずはこの2つの分類をよく理解しておく必要があります。一方で、運動単位の分類については教科書では3種類に分類して説明していますので、筋線維もATPの産生方法の違いによって3種類に分類して考えられるようにしておきましょう。

3種類の筋線維の構造とATP産生に関する特徴を一覧表にしました。自分なりに重要だと思う部分を抜き出してまとめなをしたり、箇条書きや文にまとめ直したりしながら、理解するようにしましょう。運動単位に部結びつけていこうとすると、ここに運動ニューロンの特徴を付け加えれば十分です。

後半では単収縮と強縮について簡単に説明しました。そして3種類の運動単位ごとに単収縮と強縮がどのような特徴を持っているのかを、実験例を通じて考えてみました。プリントには必ずしも十分な説明がつけられなかったので、授業を思い出しながら改めて自分で考えてみること。忘れてしまった場合にはいつでも質問に来てください。