第19回 深部感覚、伝導路

 はじめに周辺抑制について取り上げました。本来は第4章で説明した神経回路の一つとして扱うべきテーマですが、表在感覚の受容野で説明するのが最も分かりやすいと思います。

 表在感覚のように、刺激を受けた部位の局在をはっきりさせる必要がある場合、よりコントラストをつけた状態で情報を中枢へ運ぶことができます。したがって、それほど強い刺激ではなくとも、周囲との感覚の差がつきます。よくできたしくみだと思います。これまで国試で取り上げられたことはありませんが、受験勉強として全体を復習する場合には他の神経回路と一緒におさらいしておくとよいでしょう。

 さて、今回の中心は固有感覚の受容器、特に筋紡錘と腱器官です。いずれも、筋の状態を検知する受容器で、全身の筋と腱に分布します。

 筋紡錘は、筋線維の構造と感覚神経の種類を整理してまとめるとよいでしょう。特に重要なのは、Ⅰa群線維と核袋線維、核鎖線維がつくる一次終末です。静止状態(安静状態)の筋線維でⅠa線維はわずかにインパルスを発しており、これよりも長くなることによってより頻度高く興奮します。逆に、筋が収縮して短縮すると興奮の頻度が低下していきます。これに対して、腱器官は筋に張力が発生しているときに、同時に腱に張力が生じると反応します。プリントの図で、両者の反応性を比較した実験を示しました。非常に簡単なしくみで考えてよいと思いますが、よく見直しておきましょう。

 「見直す」とよく言いますが、決して「見ている」だけでは「直した」ことにはなりません。図を見ながら、自分の言葉で説明できるようにしておくこと。

 例えば、等張力性収縮の場合、あるいは等尺性収縮の場合に、筋紡錘と腱器官がどのように反応するのか、考えてみましょう。

 痛覚は来週改めてまとめますが、運動後筋痛についても、十分にコンセンサスの得られた説明はまだないようで、表在痛覚に比べると深部痛覚はまだわかっていないことが多いようです。

 後半で、体性感覚の伝導路について説明しました。クラスによって差が出ましたが、一次ニューロン、二次ニューロン、三次ニューロンと三つのニューロンが連続して情報を中枢で伝えます。中心は後索路、脊髄視床路、三叉神経視床路で、受容器の位置や種類によって伝導路が異なります。しかし、それぞれに共通点と相違点がはっきりしているため、きちんと整理すればわかりやすくなります。

 来週はさらに体性感覚の伝導路と伝導路の終着点である中枢について取り上げます。脊髄や脳に関してはの基本的な理解が必要ですから、前期・第4章(p163〜)で説明した内容や、第Ⅴ脳神経である三叉神経について、その構造や特徴について予習あるいは復習として改めてよく見直しておきましょう。

第18回 皮膚感覚

 今日とりあげた皮膚感覚(表在感覚)は、適合刺激がどのようなものであるか、そして、生じる感覚についても説明する必要は無いでしょう。常に体験しているとおりです。

 5種類に分けて説明しましたが、触圧覚、温度覚、痛覚の3つが重要であり、絶対に頭に入れておく必要があることはいうまでもありません。それぞれの受容器の構造と反応の特性、神経線維の種類をよく整理しておきましょう。また、痛覚については2種類の異なる感覚について、受容器を分けてしっかりと説明できるようにしておきましょう。期末試験では、何らかの形で毎年出題しています。

 触圧覚を例にして説明した二点弁別閾はも、表在感覚の特徴として重要です。温度覚や痛覚では部位による閾値に差がありますので、興味があれば是非調べてみましょう。

 ところで、受容器と受容体は混乱しやすいと思います。いずれも英語では"receptor"で区別しませんが、なぜか日本語では区別して考えます。「受容器」といった場合には組織、または細胞あるいは細胞の一部分をさしていいます。したがって、パチニ小体であれば、被包に包まれた部分全体が受容器、自由神経終末であれば樹状突起の各部位または全体が受容器です。先週は味覚受容器に触れました。多分早ければ再来週の授業で取り上げますが、味細胞を受容器と考えます。これに対して、「受容体」は今日の授業で触れたTRPチャネルのようなイオンチャネルまたは膜タンパク質(ホルモンの場合は細胞内にもあります)つまり、刺激に対して反応している分子を指します。二つの用語を区別して用いるので注意しましょう。

 最後に、「掻痒」を含む四字熟語を調べておくように。

第17回 運動単位の分化、感覚総論


 後期最初の授業ですが、前期のやり残しを簡単に説明して、感覚機能に共通する特徴を概観しました。

 単一の運動単位の収縮が単収縮で、運動単位の特徴(その多くの部分は構成する筋線維の性質に依存します)に応じて収縮速度や張力に大きな差があります。

 追加で配布したプリントは、1973年に発表された論文に掲載された図の抜粋です。運動単位の特徴が非常によくわかる実験で、教科書にも引用された部分です。実験の説明は改めて要約して掲載しようと思いますが、まずは自分でよく見直しておきましょう。また、原文を読んでみたいのであれば、コピーを渡します。

 さて、後期の前半は感覚機能を取り上げます。説明したように、体性感覚、特殊感覚の順で考えていきますが、どんな感覚も受容器が適合刺激を受けることからすべてが始まります。

 各受容器の適合刺激が具体的にどのようなものであるのか、いくつかの刺激についてはわかりにくいかもしれません。いずれも物理的、化学的に説明できるべきものですが、その都度必要な範囲で概説します。

 来週取り上げる表在感覚については簡単でしょう。皮膚あるいは体表への機械的な刺激や温度変化が中心です。化学物質を適合刺激とする受容器もあります。これらの刺激により、触覚や圧覚、温度感覚などが生じます。

 感覚器系の構成をそれぞれ一言で言うならば、受容器、伝導路、中枢の三つです。授業でも触れたように、常にこの3つを意識しながら考えていくと整理しやすいでしょう。

 伝導路と中枢については、脊髄や脳の構造に触れることになります。解剖学でも学んでいるかと思いますが、不十分であると思ったならば自分でよく復習しておきましょう。また、特殊感覚の伝導路では脳神経も取り上げます。感覚神経を含む脳神経としていくつか取り上げられたはずです。これらも見直しておきましょう。

 感覚の中枢の機能を考える上では、感覚の投射という現象も押さえておきましょう。授業では「目から火花が散る」という例を挙げましたら、プリントには「幻肢痛」も取り上げました。投射の例としてはやや不適切ですが、中枢が機能しているからこそ感覚が生じるということを理解する上では、分かりやすいと思います。

 刺激の強さとそれによって生じる感覚の大きさの関係は、単純ではありません。しかし、刺激の強さがある範囲内であれば、ウェーバーの法則が成立し、刺激強度と弁別閾の間にはきれいな比例関係があります。まずは、このことをよく頭に入れておきましょう。

 順応は日常的に体験することですから、現象としては説明する必要も無いでしょう。特に、嗅覚の順応は分かりやすいと思ったので、例として取り上げました。

 来週からは各感覚受容器の構造を具体的に考えていきますが、大きくは今日の最後に説明した3つのいずれかのタイプです。体性感覚受容器は自由神経終末や被包神経終末が多く、特殊感覚受容器は独立した細胞が受容器として機能することが多いですが、一次感覚ニューロンから、二次、三次と順に興奮を伝達して各感覚の中枢へ情報が伝えられるという点は共通しています。

 来週は表在感覚を取り上げますが、今日の授業で割愛した「感覚単位」や「側方抑制」にも触れますので、第6章と、できれば第4章のプリントも忘れないように。