NHKスペシャル人体;神秘のネットワーク

 今週の土曜日と日曜日にNHKスペシャルとして放送される番組の紹介です。

 タイトルは
人体:神秘のネットワーク
で、ノーベル賞受賞者の山中伸弥さんとタモリが進行役を務めるようです。詳細はHPに発表されています。公式HPはここです。

http://www.nhk.or.jp/kenko/jintai/

 同様のテーマで過去3回?でしょうか、シリーズを組んでいますが、毎回その時々の研究の到達点を最新の映像技術を使ってわかりやすく紹介しています。近年のコンピューター・グラフィックは非常にすばらしいですから、どんな映像が見られるのか楽しみです。これまで学んだ内容に直接つながるような現象も取り上げられることでしょう。授業ではわかりにくかった説明などがクリアになるかもしれません。是非とも時間をつくってみるようにしましょう。

レントゲン博物館

 ドイツ旅行の中でヴュルツブルク(Würzburg)という街を訪ねました。バイエルン州の北西の端にあり、ロマンチック街道の北の基点として有名です。また、世界遺産に指定されている「レジデンツ」の他、マリエン要塞(Festung Marienberg)、古マイン橋(Die Alte Mainbrücke)などが知られています。ワインの産地としても有名です。同時に、ドイツ国内で4番目に古いヴュルツブルク大学をもつ大学、学生の街。人口規模や街の構造が異なるため単純に比較できませんが、今回行ったバンベルクやアンスバッハよりも活気がありました。

 日本では「ヴュルツブルク大学」と呼ばれることが多いですが、正確にはユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク、Julius-Maximilians-Universität Würzburgといいます。1402年に創設され、現在の学生数は大学院生をあわせて約30,000人、学部の構成はやや理系に偏っているような気がしますが、ヴュルツブルク大学にゆかりの研究者の中からは8名のノーベル賞受賞者が出ています。中でも医学、生物学に関わる分野では
・レントゲン Wilhelm Conrad Röntgen 1901年物理学賞
・フィッシャー Hermann Emil Fischer 1902年化学賞(有機化学物質の構造式を考案、フィッシャーの投影式と呼ばれています。また、数々の有機化学反応を考案しています。)
・シュペーマン Hans Spemann 1935医学・生理学賞(発生過程での胚誘導現象の発見、シュペーマン・オーガナイザーと名付けられています)
が有名です。
 また、ノーベル賞は受賞していませんが、動物における細胞説を提起し、シュワン細胞を発見したシュワンTheodor Schwannもヴュルツブルク大学で学んでいます。

 レントゲンは1845年生まれ、1895年にX線の発見を報告して、1901年に第1回ノーベル物理学賞を受賞しました。当時レントゲンが研究に使用した実験室や、講義室を含めた建物が市内に現存します。現在は「レントゲン博物館」として一般に公開されており、自由に見学することができます。

 パネル展示などの他、当時の実験器具やノートなども展示されています。
Pasted Graphic

 レントゲンが使った実験室も同時を再現して残されていますが、残念ながら室内まではいることはできず、ガラス扉越しに写真を撮るしかできませんでした。
Pasted Graphic 1

 また、建物外の一角にX線の発見の記念碑が建てられています。
Pasted Graphic 2

2017年度 第15回 骨格筋の収縮、筋のエネルギー供給と筋の種類、運動単位

 前期最後の授業で、今日の進んだところまでが前期試験の範囲です。最後はやや駆け足で説明しましたが、しっかりと復習しておくように。

 運動ニューロンから骨格筋線維への興奮の伝達と筋線維の収縮・弛緩についてはプリントp
202ページの図を見ながら自分で説明できるようにしておきましょう。何事も自分の言葉で説明できるなれば、その内容を理解していると考えていいでしょう。逆に、理解を進めるためには、できるだけ、図などを見ながら(言葉で書かれた説明を見ずに)説明できるように心がけるのが早道です。

 いくつか重要なポイントがあります。
 興奮の伝達では、なんと言っても伝達物質と受容体の作用です。基本的な興奮の伝達のしくみを考えることとも重なります。
興奮収縮連関については、カルシウムイオンの役割を中心にして考えられるようにしましょう。
筋の収縮・弛緩については、2つのフィラメントの構造と作用を考えましょう。たんぱく質の機能を考えることが大切です。

 筋線維でのATP産生については、「代謝」に関する基本的な知識が必要です。生理学2の内容のおさらいと重ねるといいでしょう。細胞呼吸(解糖系、クエン酸回路、電子伝達系)は生体での代謝機能を考える上で必須です。その上で、筋線維の種類を3つに分けて、共通点と相違点をはっきりさせておきましょう。

 非有酸素反応は解糖系とローマン反応を合わせて考えることもできますが、いずれも酸素を用いずにサイトゾルで生じる化学反応です。この反応システムはⅡ型筋線維でよく発達しています。その分、Ⅱ型筋線維にはミトコンドリアが少なく、有酸素反応は特異ではありません。一方、Ⅰ型筋線維は非有酸素反応は相対的に弱いですが、ミトコンドリアが多いため有酸素反応のしくみが発達しています。グリコーゲンはグルコースを産生するために必要な物質ですから、非有酸素反応で利用されます。ミオグロビンは酸素を結合・貯蔵しているたんぱく質ですから、有酸素反応に関わっています。

 型筋線維のうち、ⅡA型筋線維は非有酸素反応だけではなく有酸素反応のしくみも発達させています。

 筋組織としては3種類の筋線維の混合体と考えられるため、それぞれの筋線維ごとに独立して運動ニューロンによって支配されています。つまり、1個の運動ニューロンは同一種類の筋線維だけに興奮を伝達します。この1個の運動ニューロンと、この運動ニューロンが支配する(興奮を伝達する)筋線維をひとまとめにして「運動単位」といいます。筋組織は運動単位ごとに収縮します。ただし、ある筋を支配する運動ニューロンがすべて同時に興奮するわけではなく、多くの場合、非同期的に興奮します。したがって、筋線維も、ある運動単位が収縮していても別の運動単位は弛緩しています。この結果、特に強度の強い運動の場合には、筋疲労を遅らせて筋全体の収縮を長時間持続させることができます。

 運動単位についてはやや説明不足のところがありますので、試験後の授業で捕捉します。

 第5章では割愛した部分もいくつかありますが、後期のどこかで取り上げようと思います。したがって、10月の最初の授業では、運動単位に関して少しだけ説明を加えた後、新たに配布されるプリントにしたがって第6章「感覚機能」に入ります。

2017年度 第14回 骨格筋線維の構造と収縮のしくみ

 今回と次回で取り上げる筋線維の構造と機能は、夏休み前までに学んだ細胞の構造と機能、興奮性細胞の特徴を合わせて考えることになり、理解を進める上では格好の材料です。皆さんは実技の試験も始まっていて勉強が大変だと思いますが、期末試験に備えるためにも重要な単元ですから、しっかりと取り組んでください。

 骨格筋線維の構造は図を見ながら一つ一つよく確認してください。全体の構成とともに、特に筋原線維、あるいは筋節の構造は非常に重要です。筋節の構造が頭に入っていないと筋収縮の仕組みを理解することはできません。必ず自分で図を描いて、重要な部分の名称を描き込み、さらにその特徴や機能をよく確認しましょう。

 筋原線維以外の構成成分のうち、筋小胞体やT細管は筋収縮のしくみと密接に関わっていますので、合わせて考えられるようにしましょう。また、ミトコンドリアを初めとしたATP産生に関わっている構成成分については来週の授業で取り上げます。

 筋の収縮は太いフィラメントと細いフィラメントが互いにスライドすることによって生じます。したがって、この2つのフィラメントの位置関係、それらを構成するタンパク質の機能をよく理解しておきましょう。太いフィラメントを構成するミオシンタンパク質がATPを分解する性質を持っているこ、ミオシンとアクチンが結合してはじめてスライドが生じること、さらに、来週改めて説明しますが、カルシウムイオンがトロポニンに結合することがアクチンとミオシンの相互作用の引き金になっています。