2018年度 第15回 骨格筋の構造と収縮のしくみ

 夏休み前に簡単にイントロとして説明しましたが、改めて骨格筋の構造を考えました。

 前期の前半では人体を構成する細胞一般について、その構造と細胞膜や細胞小器官の構造を順に考えました。しかし、筋細胞は一般的な細胞と比べるといくつかの特徴があります。列挙してみると、
・細胞膜の一部が、細胞内(筋形質)へ陥入していること=この部分がT細管です。
・筋細胞が多核であり、しかもそれぞれの核は細胞膜近傍、つまり細胞内の周辺部に存在すること。
・滑面小胞体が豊富で、筋原線維の周囲に集まっている。筋小胞体という特別の名称を与えられ、カルシウムイオンを貯蔵している。
・他の細胞と比べるとミトコンドリアが多い。つまり、筋細胞はATPを大量に消費している。
・筋形質には「細胞小器官」には分類されない、筋原線維、ミオグロビン、グリコーゲンが存在する。グリコーゲンは肝細胞でも貯蔵していますが、筋原線維とミオグロビンは筋細胞にしかありません。(心筋にもありますが、平滑筋にはありません)

 骨格筋が収縮するのは、骨格筋を構成するそれぞれの筋線維が収縮するからです。そして、筋線維が収縮するのは、筋形質の筋原線維が収縮するからで、筋原線維の収縮はその構造単位である筋節が収縮するためです。したがって、筋の収縮を考えるためには筋節の収縮のしくみを理解する必要があります。心筋もほぼ同様のしくみがはたらいていると考えてよい。また、平滑筋には明確な筋節構造がないため、やや異なったしくみがはたらきます。

 骨格筋線維の筋節の構造をしっかりと頭に入れましょう。必ず自分で図を描き、各部分の名称とその特徴を確認すること。特に重要なのは、A帯、I帯、H帯、さらに細いフィラメントと太いフィラメントです。筋収縮のしくみと関わらせると、筋の収縮・弛緩にともなってどの部分の長さ(幅)が変化するのか、2種類のフィラメントがどのように動くのかをよく考えましょう。

 2種類のフィラメントの構成を知っておくことは、収縮のしくみを考える上で避けて通れません。予習の段階では「ミオシン」や「アクチン」の名称を正しく覚えていない解答が目立ちました。授業で取り上げた4種類のタンパク質の名称を正しく覚えておくこと。来週は、筋収縮においてこれらのタンパク質がどのように役割分担をしているかを考えます。

 最後に、神経筋接合部について取り上げました。ニューロンからの興奮の伝達のしくみは前期の最重要事項の一つです。神経筋接合部での興奮伝達もニューロンからニューロンへの興奮伝達と基本的なしくみは共通しています。注意すべきところは運動終板の構造と、このシナプスが必ず興奮性シナプスであるということでしょう。そして、伝達を担う神経伝達物質がアセチルコリンであるということも絶対に忘れてはいけません。

 来週は前期最後の授業ですが、筋のエネルギー供給のしくみ、そして筋線維の種類を取り上げます。

 予習は「筋のエネルギー供給のしくみ」までしておくこと。余裕があれば「筋線維の種類」も見ておきましょう。前期試験範囲は第5章6までの予定です。