前期試験の模範解答を掲載しました

 先ほど、前期末試験の問題と模範解答をここに掲載しました。
 模範解答には解説を付しましたので、参考にしてよく見直しておくこと。特に、出来具合が思わしくなかった場合には、もう一度やり直すとともに、解説を見ながらよく復習すること。

 採点した答案はクラスの担任の先生から返却してもらえるようにします。合わせて、レポートの評価も記載しておきます。

第16回 筋でのエネルギー産生と筋線維の種類、運動単位

 既に試験問題をつくってしまっていたのでやや駆け足になりました。

 冒頭で等張力性収縮と等尺性収縮の説明とともに、収縮が単に筋線維の短縮ではなく張力を発生することであると説明しました。時に区別せずに使うこともありますが、張力を発するが故に大きなエネルギーを消費すると考えるとわかりやすいでしょうか。

 プリントには「参考」として、筋線維の長さと張力の関係について触れました。試験が終わった後に目を通しておきましょう。

 今回の中心の1つは、筋線維でどのようにATPを産生しているかということでした。3種類に分類しました。
1)ローマン反応
2)解糖系(または非有酸素反応)
3)有酸素反応(または酸化的リン酸化、あるいはクエン酸回路+電子伝達系)
のように整理しました。

 生理学2の進捗と整合性がないクラスもありますが、一般的な細胞では2)と3)によってATPを産生します。2)の反応に関わっている酵素はすべて細胞質(筋の場合は筋形質)に存在します。3)に関わる酵素(酵素でないタンパク質も関わっていますが、省略して考えます)はすべてミトコンドリア内にあります。もちろん、ミトコンドリアのない赤血球は2)のみです。

 筋細胞には1)の反応に関わるクレアチンキナーゼが筋形質にあるため、ローマン反応が常に生じています。授業では触れませんでしたが、ローマン反応の進行(どちら向きの反応であっても)に酸素は必要ありませんので、広い意味では非有酸素反応に含めます。したがって、ⅡB型筋線維にはクレアチンキナーゼが多量に存在します(p236表参照)。このため、ⅡB型筋線維は素早く大きな張力を発揮することができます。

 筋線維を分類する考え方もいくつか示しましたが、上でも触れているように、現在はⅠ型、ⅡA型、ⅡB型という3種類に分類して考えるのが一般的で、多くの教科書で採用されています。プリントの表に示したように、筋線維の構造や機能を考える上での特徴はたくさんあります。多くの特徴の相違をうまく説明するのがこの3種類の分類方法です。赤筋と白筋、遅筋と速筋という分類ではうまく説明しきれません。

 表の中には授業では触れなかった項目もありますので、それらは試験後に自分で考えてみましょう。

 最後に取り上げた運動単位も、筋の収縮を考える上で忘れてはならない考え方です。筋は単に筋線維の集合ではなく、運動ニューロンによって支配された(神経筋接合部で運動ニューロンから興奮の伝達を受ける)筋線維のグループ(=運動単位)が集合したものと考えるとよいでしょう。そして、1つのグループ=運動単位には、上で分類した3種類の内のいずれか1種類の筋線維だけが集まっています。したがって、筋線維の分類と運動単位の分類は一致します。名称の付け方が全く異なりますので注意しましょう。

 筋が収縮する場合、同一運動単位に属する筋線維は一緒に収縮します。しかし、すべての運動単位が同時に収縮しているわけではなく、かかっている負荷の大きさに応じて収縮して売る運動単位と収縮していない運動単位があります。また、収縮を持続させるような場合には、いくつかの運動単位が抗体で収縮して、全体として収縮を持続させています。

 神経支配比という考え方は運動単位の考え方と切り離さないようにしましょう。単一の運動ニューロンが興奮を伝達する筋線維数は、筋の種類によって全く異なります。プリントに例を挙げましたが、それぞれの筋の機能に依存しています。

 期末試験は今日の授業の内容までを試験範囲とします。これまでの内容と合わせてよく見直しておきましょう。

第15回 筋線維の構造、筋収縮のしくみ、神経筋接合部での興奮伝達と興奮収縮連関

 夏休み明けでいきなり実技試験があり、落ち着かないかもしれませんが、期末試験の勉強にも直接結びつきますのでしっかりと復習をしましょう。

 今回ははじめに筋線維の構造を考えました。一般的な細胞が持つ特徴に加えていくつかの大きな特徴があります。細胞の大きさはもとより、多核であること、細胞膜が陥入していること、細胞質の構成としてタンパク質性の線維成分が大きな割合を占めていることなどです。それぞれ、具体的な構造、その名称、そして筋収縮における役割が明確になるように押さえましょう。

 細胞質の構成としてのタンパク質性の線維成分とは、すなわち筋原線維のことです。筋収縮の主役ですから、構造は必ず説明できる=図が描けるようにしておきましょう。筋節の構造がわかれば、これが繰り返されているわけですから簡単でしょう。

 筋収縮のしくみは、筋原線維(あるいは筋節)のレベルでの滑走機構をまずしっかりと理解すること。ミオシンとアクチンが結合すること、ATPの分解によって生じるエネルギーが利用されていること、そして、このエネルギーを使ってミオシン分子が構造を変化させていることがポイントです。これらの結果、太いフィラメントと細いフィラメントが互いに滑走するように動くことで各筋節が収縮します。各筋節が収縮するということは筋原線維全体が収縮するということです。筋原線維の両端は筋形質膜と結合していますから、筋原線維の収縮は筋線維の収縮を引き起こします。すべての筋繊維が収縮すれば、筋が収縮します。

 骨格筋は随意筋です。つまり、体性神経系運動神経からの興奮の伝達を受けて収縮します。ここで重要なポイントは、神経筋接合部での興奮の伝達とその後の興奮収縮連関です。

 運動ニューロンと骨格筋線維がつくるシナプスである神経筋接合部はよく研究されており、図で説明したとおり、構造もしくみもよくわかっています。運動終板側の構造が特徴的で、興奮の伝達によって生じたEPSPが加重されて必ず活動電位が生じるための工夫が凝らされています。

 筋活動電位は筋形質膜を伝導します。ここで重要なことは、T細管の存在です。筋小胞体終末槽とほとんど接しています。したがって、T細管を興奮が伝導すると筋小胞体の膜タンパク質である電位依存性カルシウムチャネルが開放します。筋小胞体内には高濃度のカルシウムイオンが貯蔵されているため、チャネルが開放すると同時にカルシウムイオンが筋形質へ放出されます。

 筋形質内のカルシウムイオン濃度は低いため、カルシウムイオンは拡散によって広がります。そして、細いフィラメントを構成するトロポニンと結合します。

 トロポニンはトロポミオシンと結合していますが、さらにカルシウムイオンが結合することで細いフィラメント全体の構造が変化します。この結果、アクチンタンパク質のミオシン結合部位が露出し、アクチンとミオシンが結合できるようになります。

 ミオシンはATPを分解する活性を持っていますが、アクチンと結合した状態でないとうまくATPを結合できないようです。したがって、トロポニンにカルシウムイオンが結合していない状態(興奮が伝達されていない状態)ではミオシンはATPを分解することはなく、筋収縮は生じないと考えてよいでしょう。

 神経筋接合部での興奮伝達が終わった、あるいはない状態では興奮収縮連関は生じません。つまり、カルシウムイオンは筋小胞体から放出されません。したがって、アクチンとミオシンが結合することはありません。

 筋小胞体には能動輸送体であるカルシウムポンプが存在し、常に稼働しています。したがって、電位依存性カルシウムチャネルが閉じられると、このポンプの作用によって筋形質ないのかルシウムイオンは筋小胞体内へ移動していきます。そして、筋形質内のカルシウムイオン濃度が低下すると、トロポニンに結合していたカルシウムイオンも遊離します。

 この結果、アクチンとミオシンの結合は維持できなくなり、細いフィラメントと太いフィラメントの間にはたらいていた引っ張り合いがなくなります。したがって、両フィラメントは収縮時とは逆方向に滑走します。これが弛緩です。

 プリントには多くの図を入れました。それぞれを見ながら順に説明してみましょう。言葉が詰まったり、しどろもどろになったりせずに説明できればわかっているということです。もちろん、自分で勝手に判断するのではなく、誰かに聞いてもらって判断してもらうのがよりよいでしょう。

 プリントp221のずはすべてを網羅したすですから、この図が説明できるようになることを目標にするとよいでしょう。また、筋節レベルでの滑走機構はp217や218を使うとよいでしょう。

 筋収縮には莫大なエネルギーが必要です。つまり、多くのATPが消費されています。来週は、このATPをどのようにまかなっているのかについて考えます。また、筋線維はATPの産生方法の得手不得手によっていくつかの種類に分類することができます。これも非常に重要なテーマです。しっかりと予習しておきましょう。