第8回 タンパク質の修飾と輸送、受動輸送 第8回 タンパク質の修飾と輸送、受動輸送

 先回の内容から引き続いて、リボソームで合成されたタンパク質(この段階ではポリペプチド鎖という方が正しい)がどのようにして運搬されていくのかを、細胞膜タンパク質や細胞外へ分泌されるタンパク質を例にして説明しました。
 粗面小胞体 ➡ ゴルジ装置 ➡ 細胞膜
と運ばれていきますが、運搬しているのはいずれも小胞です。粗面小胞体もゴルジ装置も、細胞膜と同様に脂質二重膜を基本構造としています。したがって、膜の一部がちぎれるようにして小胞をつくったり、小胞が膜と融合することで内部を一体化することができます。

 細胞質の小器官への輸送もそれぞれに研究されています。授業の説明と重複する内容も含めて、先週配布した『補遺:遺伝子と遺伝子発現のしくみ』の「タンパク質の立体構築と輸送」に簡単にまとめていますので、各自で見ておくように。

 今回の中心は細胞膜を介した物質の輸送です。時間の都合もあり、受動輸送についてしか説明できませんでしたが、来週の内容と合わせて前期の中でもとりわけ重要です。しっかりと予習と復習に取り組みましょう。

 拡散や浸透に関する基本的な説明は、すでに『生理学のための化学』で学んでいる内容の繰り返しでした。非常に重要な現象ですから、疑問点がないように見直しておきましょう。

 細胞膜を介して物質が移動した後、細胞内(サイトゾル内)あるいは細胞外で移動していく場合には、その物質の移動は広義の拡散であると考えてよいでしょう。水を溶媒とする溶液中をそれぞれの物質が拡散によって移動して広がっていきます。また、浸透あるいは浸透圧は、生理学Ⅱ&Ⅳで取り上げられる体液量の調節のメカニズムを考える上で、どうしても頭に入れておかなければならない概念です。「血液膠質浸透圧」については『生理学のための化学』第6章の最後で簡単に触れましたが、同じく生理学Ⅱ&Ⅳで取り上げられるはずです。

 受動輸送は、それぞれの物質が濃度勾配や電位勾配、またはその両方にしたがって移動することを指していいます。溶質の移動である拡散(狭義の拡散)は物質の大きさや極性の有無によって、単純拡散、膜チャネルを介した拡散、そしてキャリアタンパク質を介した拡散に分けることができます。物質の特徴と移動方法の違いを整理しておきましょう。同時に、どんな物質が、それぞれの特徴を持っているのかも一緒に考えられると、この後の学習にも役立つと思います。

 溶媒である水の移動は浸透として、溶質の移動とは区別します。受動輸送である点は同じですが、体液成分の大部分を占めている水の移動は、生体機能全体と関わらせて考えると、溶質の移動とは区別する必要があります。

 浸透圧の定義自体は授業で説明したとおりで、「溶媒分子が半透膜を通って浸透するときに半透膜にかかる圧力で、溶媒分子の移動を止めるために必要な圧力の大きさに等しい」ということです。しかし、今後の学習の便宜を考えると、溶質濃度の高い方(水濃度の低い方)が溶質濃度の低い方(水濃度の高い方)から水を引っ張っていると考えた方がわかりやすいでしょう。この水を引っ張っている力の大きさが、すなわち浸透圧の大きさです。したがって、浸透圧は膜を通過できない溶質の濃度に比例します。

 説明が途中で切れてしまったのでわかりにくくなるかもしれませんが、来週は、細胞膜を介して浸透圧に差があるとどんなことが起こるかを考えるところから始めます。

 来週は、細胞膜を介した輸送の残り、能動輸送と小胞による輸送を説明した後で、さまざまな細胞の構造と機能を取り上げます。ただし、プリントのすべてを説明する余裕はありませんので、ニューロンだけに触れますので、この部分の予習はニューロンの構造と機能だけとします。また、第3章では静止膜電位について、今日配布したプリントをよく読んでおくように。