2017年度 第27回 脳幹による運動調節と小脳の機能

 年明けの第1回目でした。試験も迫った中野で短い冬休みでは、それほど頭を切り換えることも難しかったのではないでしょうか。運動機能の調節という点では年末の授業からの継続で、引き続き反射について考えました。

 授業でも触れたように、脳幹から直接出ている運動神経はすべて脳神経に含まれているため、支配している骨格筋の部位は限られています。ただ、脊髄に向かった下行路もあるため、姿勢の調節には全身性の反応も含まれます。大きくイメージをつくった上で、考えるようにしましょう。

 授業で割愛した嚥下反射は消化器で学んだ内容です。[反射]についての説明がどの程度あったのか分かりませんが、体性運動神経だけではなく自律神経系も関わった反射ですので、合わせて別の機会に取り上げたいと思います。

 脳幹の機能の中で眼球運動や頭部の運動に関わる調節は大きなウェイトを占めていますので、時間をかけて説明しました。脊椎動物では頭部(あるいは体幹を含めた頭部側)が動くことに対して、眼球が独立して運動することができます。したがって、頭部や体幹が運動する中でも視線を一定に保つことができます。視覚機能を生かす上で必須の機能でしょう。これを保証しているのが前庭動眼反射です。

 反射弓は、脊髄反射で考えた神経回路よりもやや複雑です。プリントの説明を見ながらよく考えてみましょう。拮抗抑制などの多シナプス反射を理解する上で良い参考になると思います。

 姿勢を維持するための反射も、受容器の違いはあるにせよ脳幹が中枢とした神経回路によって成立しています。前庭が刺激を受けた場合と固有受容器が刺激を受けた場合を一例ずつ取り上げました。身体の運動を無理なく遂行する上でも有効に活用できる場合がありますので、興味があれば是非深く調べてみましょう。

 小脳については簡単な説明しかできませんでした。随意運動を協調させる、運動を学習し記憶させるなどの役割に注目して、研究上は非常に興味を持たれている器官です。逆に、障害を受けた場合には平衡障害や推尺異常などの運動機能障害(運動失調と呼ばれます)を生じます。神経内科で学ぶと思いますが、治療的にはかなりの困難を伴う症状のようです。

 次回は大脳の機能と大脳から脳幹、脊髄の運動ニューロンへの伝導路を取り上げます。